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ソファ。
エリオットの背中はクッションに沈んでいる。
金色の髪が広がる。
その上から、チャンスが覗き込んでいた。
黒ジャケット。
白シャツ。
黒ネクタイ。
そして。
そのネクタイは――
エリオットの指に巻かれている。
くい。
軽く引かれる。
チャンスの体が少し前に傾く。
「……」
チャンスは黙っている。
さっきまでの玄関の空気とは違う。
静かで、少し低い空気。
それでも。
エリオットは笑っていた。
「チャンス」
「……何だ」
エリオットはネクタイを指に巻き直す。
ゆっくり。
わざと。
くい。
また引く。
距離が少し縮まる。
「さっきさ」
エリオットが言う。
「煽るなって言ったよね」
チャンスは低く答える。
「ああ」
エリオットは楽しそうに笑う。
「でもさ」
ネクタイを軽く揺らす。
「今、完全に来てるじゃん」
沈黙。
チャンスの肩がわずかに動く。
エリオットはさらに続ける。
「壁ドンして」
「ソファまで連れてきて」
くい。
ネクタイをまた引く。
顔の距離がかなり近くなる。
「これで俺が悪い?」
完全に挑発。
チャンスの声が低く落ちる。
「エリオット」
「ん?」
「本当にやめろ」
エリオットは数秒チャンスを見る。
そして。
小さく笑う。
「やだ」
即答。
ネクタイをまた引く。
くい。
「だってさ」
声が少し楽しそうになる。
「チャンス、絶対こうなるの分かってたのに来たでしょ」
沈黙。
数秒。
チャンスがゆっくり息を吐く。
そのあと。
ネクタイを掴んだままのエリオットの手首に、チャンスの手が重なる。
逃がさないように。
声が低く落ちる。
「……エリオット」
エリオットはまだ笑っている。
「なに」
チャンスが少しだけ顔を近づける。
距離がほぼゼロ。
そして言う。
「それ」
ネクタイを軽く引く。
「まだ握ってるのに」
一瞬の沈黙。
「俺を煽るな」