《ステージ 龍巻地獄》
「ここが……俺の対戦場所……」
気がつくと俺は蒸気がそこら中から出ている岩の上に居た。
天気は青空で太陽が光り輝いている。
「『女神』……」
「アオイの本性を知って絶望したか?」
蒸気の中からゆっくり歩いて俺の前に現れたのは漆黒の禍々しい鎧を着た俺と同じくらいの歳の男。
「俺の相手はやっぱりお前か、エス」
「俺とお前、本当に決着をつけるときが来た」
「思えば、俺がこの世界に来て一番最初に敗北したのはお前だったな」
「フン、あの時は俺も失望したぞ、この程度が勇者なのかと」
「いつからだ?」
「?」
「いつからアオイさんはお前達のリーダーだった」
「…………愚問だな、最初からだ」
「っ!」
アオイさんとはずっと会っていないわけではない。
だが、最初からと言う事はあの時も……あの時も!
「だから、どうしたと言う?」
「は?」
「お前達が壊滅させた『女神の翼』のリーダーはアオイだった、あの奴隷達を作り上げたのもアオイだ、そして今お前達を殺そうとしているのもアオイ」
エスは漆黒の双剣を出して構える。
「お前はそんなアオイをどう思う」
「アオイさんを……」
思い出す……アオイさんと初めて会った時の事、今までこの世界で挫けそうになった時アオイさんを思い出して頑張れた事……アオイさんの笑顔。
アオイさん……アオイさん……アオイ。
「俺は……それでも、好きだ」
「……」
「だけど、今のアオイさんはアオイさんじゃない」
俺もエスにレイピアを構えた。
「本当のアオイは今のアオイかもしれないぞ?」
「だったら、俺が力づくで正しくする!間違ってると!それがどんなに辛く、時間がかかろうとも好きなのに変わりはないから!あの時のアオイさんの笑顔は嘘じゃない!」
そうだ、俺は好きなんだ。
アオイの事が、好きで好きでたまらないんだ!今までの自分を否定しまうとかじゃない!単純に!
「アオイが好きだ!」
「決心はついた様だな……」
「あぁ、決着を付けよう、俺とお前の腐れ縁に」
俺は唱える。
最大の魔法を!
「【武器召喚アンリミテッド】」
大きな黄金のランスは形を変えていき使いやすい黄金のレイピアになった。
「ようやく、神の武器を自分のものにしたか……『黒狼』、来い」
エスの影から黒い狼が出てくる。
「『融合』」
その瞬間、黒狼はエスの鎧に吸い込まれ、漆黒の鎧がさらに禍々しく変化していきエスの持っていた双剣も長くなっていく。
「黒狼は四聖獣の称号を持った魔物だ、今の俺はクリスタルドラゴンや山亀よりも強いぞ』
「上等、それくらいなきゃ話にならないからな!】
俺とエスの間に間欠泉が吹き。
「行くぞ!】
「来い!リュウト!』
俺たちの最後の戦いが始まった。