「鍋のカエルの話を知っている?」
泳いでいるカエルの入った鍋は、火にくべられている。
水はゆっくりと加熱されて熱湯になる。
「温度変化は少しずつ。だからカエルはその温度変化に気づかず、いつの間にか茹であがる」
「それどうしたの?」
「あいつらがその状態だ。迷宮は深部に入るに従って亜人が増えていった。少しずつ敵が人間に近くなり、そのうちに人間を斬れるようになっていた」
巻木の部屋には隠密ギフト持ちのカンナがいる。
「だからそれがどうしたの? 私が聞いているのは、君がどうするかということ」
「見ててわからない?」
巻木は壁に手を添え突っ立っていた。
支えがないと今にも崩れ落ちそうな状態だ。
心ある者が見れば「どうする?」というカジュアルな声をかけはしないだろう。
結局石垣は迷宮から出て**********
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