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花言葉

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花言葉

5 - 🐻‍side

2025年03月11日

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夕飯を食べ終え、作るのはあまり出来なかったから後片づけくらいは、と思い食器洗いなども頑張ったのだが、またもやかるてっとさんの手際が良すぎて後片付けの3割ほどしか手伝えなかった。 寝る前に少しだけ、と一緒に1時間ほどゲームをしてから寝る支度をはじめる。

急 に押しかけておいてベッドを使わせてもらうのは流石に図々しすぎると思い、ソファで寝るといったのだが、かるてっとさんは「どうせ徹夜でゲームする予定だったから」といってベッドを譲ってくれた。


 夜一人になると、どうしてもはこたろーさんのことを考えてしまう。

何の考えもなしに家を出てきてしまったため、かるてっとさんの家に泊まらせてもらった後のことが何も決まっていない。

何日もお世話になるわけにもいかないし、かといって他にあてがあるわけでもない。やはりはこたろーさんのところに帰るしかないのだろうか。しかし、まだ話し合う心の準備ができていないのだ。

 家には、手紙と花だけ置いて出てきてしまった。なにも残さずに出ていくなんて不義理なことはしたくなかったから手紙を書こうと思ったのだけど、「最近はこたろーさんからの愛が感じられない」と文字に起こすと、分かっていたはずなのにはこたろーさんは俺のことをもう好きじゃないんだと再確認させられて、涙で手紙の文字が滲んでしまい、結局手紙には「いままでありがとう」としか書けないまま置いてきてしまったのだ。

 花は、はこたろーさんになら花言葉も伝わるだろうと思い手紙に書けなかった意味を込めて「秋明菊」を置いてきた。

 もともと花言葉を調べるのが好きだった。きっかけは多分、少女漫画か何かで読んで「ロマンチック」だなと思って調べたのが最初だったと思う。

 はこたろーさんと付き合えたのも花言葉のおかげだ。口で直接好きだと伝えるのは恥ずかしくて、最悪気づかれないままでもいいと思い、「この恋に気づいて」という意味をもつリナリアの花を渡した。

数日後、どういう話の流れだったかは忘れたが、通話をしているときにはこたろーさんにリナリアの花言葉を知っているかと訊かれ、バレたものはしょうがないと想いを告げたところ、はこたろーさんも俺と同じ気持ちでいてくれたことが分かって、晴れて恋人同士となった。

それからは、記念日にはお互いに花束を贈るようになり、二人の中で「花」というものが特別な物になっていった。

 俺は、そんな二人にとって大切なものを、自分が傷つかないために、逃げ道に使った。そのことに罪悪感を抱かないわけでは無い。けど、心のどこかで「先に二人の信頼関係を壊したのははこたろーさんなんだから、しょうがなかった」と思う自分が居て、ますます自分が嫌いになる。

この感情は、どこに吐き出せばいいのだろう。やはりはこたろーさんと話し合った方が良いのだろうか。でも、まだ気持ちの整理ができていないし、こんな状態ではこたろーさんと話し合っても無意味に終わるだけだろう。しかし、このままずっとかるてっとさんの家にお世話になっているわけにもいかない。

 結局俺はそのまま考えがまとまらないうちに寝てしまった。

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