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番外編42『夏だ!海だ!祭りだ!合宿だ!?』中編
『シノノメ・ユーハンの心の葛藤』
夜、訓練キャンプにて
『え、ユーハンが……?』
リビングでバスティン、ラトの話を聞く。
『はい。私とバスティン君の鍛錬で私が天使の役をしていました。私から1本取れば勝ちというルールで。』
『そして、1本取ったあとも、ユーハンは止まらなくて…。』
『ユーハンさんにとって、一番憎い相手を思い浮かべてといったんです。そしたら…。』
『ユーハンにとって一番憎い相手…。』
『…元東の大地当主…サルディス・フブキのこのね。』
『お姉ちゃん…。』
お姉ちゃんがリビングにやってくる。
『…ユーハンは今も鍛錬を?』
『あぁ。俺達の声が聞こえないくらい集中してるみたいでな…。』
『どうするべきでしょうか…。でも私はあのままでもいいと思いますよ。憎い相手を思い浮かながら鍛錬すれば自然と強くなると思います。』
『…それじゃダメよ。ユーハンは冷静さを欠いたらそれこそ…悪魔化してしまうかもしれないわ。』
『……主様。どうか今はユーハンに着いていてくれ。』
バスティンは私を見つめた。
『えぇ。分かってるわ。』
私はユーハンのいる森へ向かう。
『はぁ、はぁ、はぁ……っ。』
(…抑えられない怒りが、湧き上がってくる。
あの時の…屈辱と、痛みが…っっ。)
ガサッ。
『!!』
『ユーハン…。』
『あ、主様…。』
(ダメです、今私に近付いたら――。)
『バスティンとラトから聞いたわ。ユーハン、落ち着きなさい。貴方の憎む相手は今ここにいないのよ。』
『っ、そんなの、分かってます…っ。でも、止まらないんです。あの時の私の決断が…故郷も、家族も……っ。』
主様はゆっくり私に近付いてくる。
『やめて、ください。来ないで下さい、貴方まで傷付けたくないんです。』
『……そう。じゃあそのどうしようもない怒りの矛先。私にぶつけて結構よ。』
『え……?』
私は剣を抜いた。
『施しをしてあげる。主として執事に。』
『……。』
私はユーハンに向かって剣を振るった。
『く…っ!』
ガキンッ!剣先がぶつかり合い、火花が散る。
『遠慮は要らないわ。これでも鍛えてる方なの。さぁ。』
『っ……!』
ユーハンの目がギラついた。
ガキンッ!
『っ…!』
(反撃して来なさい、ユーハン。)
『はぁぁぁっ!!』
ガキンッ!ドサッ!
『っ……!!』
ユーハンは私を地面に押し倒す。
『はぁ、はぁ……。』
そして、ユーハンは私に剣を振り上げる。と、その時――。
『……そこまで。ユーハン。』
ユーハンの首元にハナマルの刀が触れる。
『はぁ、はぁ、はぁ…っ。』
『主様を斬る気なら、ここでお前の首も落とす。』
『はな、まる……。』
『…無茶し過ぎ。マジで。』
ハナマルは私を睨む。
『…。』
ユーハンは力が抜けたのか私に向かって倒れた。
『わわっ…。』
『気を失ってるみたいだな。主様、ユーハンは俺が担ぐから後ろから着いてきて。あ、着いたらお説教だから。』
『分かったわよ、甘んじて受け入れるわ。助けてくれてありがとう。』
ハナマルはユーハンを担いで訓練キャンプに戻る。
『主様。もうこんな泥だらけになって……。』
『ご、ごめんなさい…。でも、ユーハンがあんな風になって、止められるのは私だけだと思ったから……。』
『だとしても一人で行くなんて…。』
ルカスは私の頬にタオルを当て、泥を拭う。
コンコンッ。ガチャ。
『主様。ユーハンが呼んでる。』
『目を覚ましたのね?』
『あぁ。主様とふたりで話がしたいんだと。』
『分かったわ。ルカス、ありがとう。』
『念の為俺ドアの外いるから。』
『心配性なんだから…。』
ユーハンのいる部屋
『…申し訳ございません。貴方に刃を向けてしまうなど…。』
『いいのよ。どこも怪我してないし。ユーハン。どうして急にああなったか教えてくれる?』
『…ラトさんに自分の最も憎い相手を思い浮かべろと言われて…。それでサルディス・フブキの顔が浮かびました。そしたらもう…抑えていた怒りが…止まらなくなり…。』
『……。』
『失望、しましたか?自分の感情も制御できない未熟者だと…。』
『いいえ。そんなことないわ。』
『っ…。』
『ユーハン。』
ぎゅっ。
私はユーハンを抱き締める。
『主様…っ?』
『故郷や家族が亡くなったのはユーハンのせいじゃないわ。悪いのは全部サルディス・フブキ…。ユーハンのせいじゃないの。家族のみんなだってユーハンを攻めない。私も、みんなも。』
『ですが…。』
『約束するわ。ユーハン。私が生きている間に必ずサルディス・フブキを見つけ出して一緒に殺しましょう。』
主様の目がにっこりと微笑み私を見つめる。
『主、様……?』
『執事の為なら私は喜んで犯罪者になるわ。ユーハンにだけその十字架は背負わせない。殺すなら、最も痛くて、故郷や家族を皆殺しにした方法よりずっと残酷な方法で…殺さないと。ね、ユーハン。』
『麻里衣様…。』
『だから、その日まで死んじゃだめよ。
主命令。』
『……。』
私は主様に跪く。
『かしこまりました。主様。』
数日後――。
それぞれ訓練の目標もクリアし、後の日数は夏のバカンスを楽しむことに。
『お祭りに、海…楽しいこといっぱいだね!』
『はしゃぐのはいいけどみんな疲れてない?』『全然平気っす!むしろ早く主様と遊びたいっす!』
『アモン……。』
『ふん、お前は主様の新しい水着姿が見たいだけだろ。』
『なっ!』
『ちょ、ボスキさん……っ。』
『……別に、構わないわ。』
『へ?』
『訓練キャンプ…頑張ったご褒美よ。』
『っ…!!』
次回
後編に続く!!