テラーノベル
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「……なんで俺がこんなとこ連れてこられてんだよ」
Kの声には焦燥とかすかな怯えが滲んでいた。美術室の奥、普段は使われない倉庫のような場所に、彼は引きずり込まれるようにしていた。
積まれたキャンバス、乾きかけの油絵の香り、そして薄暗さが、やけに肌を敏感にさせる。ひんやりとした空気が、Kの肌を撫でるたびに得体のしれない熱が内側から湧き上がるのを感じた。
「静かで良い場所ですよ??……Kさんが怒鳴らければの話ですけど」
Nはにこやかに答える。その声は優しげなのに有無を言わせぬ圧を孕んでいた。
「お前どこで仕入れたんだよッ!!こんな……鍵までかけやがって……ッ////」
Kは焦りを隠せない。閉じ込められた空間で、Nと二人きり。この状況が何を意味するのか、嫌でも理解させられる。
「鍵がないとKさん……すぐ逃げようとしするでしょ??……それに、誰かに邪魔されたら困るでしょう??」
にこりと笑うNの指がKのネクタイをゆっくりと引いた。わずかな抵抗も許さないその仕草に、Kの心臓が早鐘を打ち始め、そのまま胸元に顔を寄せ、囁くように唇を寄せてくる。吐息がKの首筋にかかり、ゾクリと背筋を這い上がった。
「……今日Kさん避けてましたよね??僕寂しかったんですよ??」
「避けてない……お前が勝手に寄ってくるから……ッんぅ……♡」
言い切る前にNの唇がKのそれを塞いだ。唇を食むような、焦らすような、けれど逃がさないキスだった。Kは肩を震わせ、睫毛を伏せて抗議の声を呑み込んだ。Nの舌がKの口内をねっとりと探り、甘い痺れが全身に広がる。
「……言い訳いらないです……感じてくれればそれでいいですから」
そう言ってNはKの腰を抱き寄せた。シャツの裾に指が触れ、すべり込む。冷たくて細い指先がやけに熱く感じる。Nの指がシャツの下の肌をゆっくりと撫で上げていくたび、Kの体がびくりと跳ねた。
「ば……ッ////やめ……ッ♡こんなとこで、ッ♡……ッ♡
んぁ♡」
Kの声はもうほとんど吐息だった。Nはそれを楽しむように、さらに深くキスを落とす。
「ここには誰も来ませんよ……声、我慢してるの可愛いですね……でももっと聞かせてくださいよ」
キャンバスの裏に隠れるようにして、Kは壁に押しつけられたまま、Nの愛撫に翻弄され。羞恥と快感とで脚が震えるたび、Nはそれを楽しむように深く、ゆっくりと攻めてきた。Kの腰に回されたNの腕が、さらに力を込め、二人の体を密着させる。
「ねぇKさん……乱れるとこ、僕にだけ見せてください……他の誰にも見せないKの顔」
「……やぁ♡……お前ッ♡ほんと、やりすぎッ♡
あ゛ッ♡」
Kの抵抗はもはや形ばかりのものだった。声は甘く乱れ、瞳は潤んでいる。
「やりすぎ??……まだ少ししか触ってないですよ??……まだたくさん、先生をめちゃくちゃにしてあげますから」
乾いた絵の具の匂いに包まれながら、静かな空間にKの甘く乱れた吐息だけがこぼれていく。いつもの真面目で冷静な仮面が崩れていく様に、Nの目がふわりと細まった。Nの指がKのシャツのボタンに触れ、ゆっくりとそれを外していく。
「Kのそうゆう顔……その奥にあるものも、全部僕のにしたい」
Nの指がはだけたシャツの隙間から滑り込み、Kの肌を撫でる。その冷たい指先が触れるたびに、Kの体が熱く震えた。逃げ場のない密室で、KはNの甘い支配になすすべもなく絡め取られていった。
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