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「ねぇ…グリムはどこにいったの?」

「グリム…かい?」

リドル先輩が悲しげな表情を浮かべた。

「…グリムは_________」

その時、建物が大きく揺れた。

「うわっ!?」

「何じゃ!?」

「この揺れ…アイツだ。」

「『アイツ』ッ…!?」

大理石の冷たい床から、何かが湧き出てきた。

それは、自分たちの影だった。

「あっ、あれは…僕!?」

「影が切り取られた、ということですか。」

全員が身構えると、どこからともなく声が聞こえてきた。


『あぁ…あの爆風で仕留められませんでしたか。残念です。』


「これは…学園長の声!?!?」

「そう。学園長の声だ。」

ジャックが冷静に僕に言う。


『あなたは知らないんでしたっけ…グリムくんの行方。』


「が、学園長が何かしたのか!?」


『えぇ。知りたいですよね? 教えてあげます。私優しいので。』


いつものセリフなのに、声のトーンが違って、別人に聞こえる。


『グリムくんは、今こちらで預かっています。檻の中で、丁寧にね。』


「そんな…!!!」


『丁寧に預かっているんだからいいじゃないですか。でも、あと数日したら、私の魔法で処分します。』


「えっ…処分!?!?」


『まぁ、周りの皆さんはご存知ですよね? 前日お伝えしましたから。』


「どうしてそんなことをするの!? いつもの学園長はどこにいったの!?」


『いつもの学園長…? あぁ、この体は、ディア・クロウリーの悪の魂が乗っ取っています。なので、いつもの学園長は存在ごと粉砕しました。だって、いらないでしょう? 私は一人いれば十分なんですから。』


「そんなの…やだ…っ、学園長とグリムを返して!!! 僕たちを、ここから解放して!!!!!


『帰りたいですよねぇ。なら、皆さんに初めてのお話をしましょう。ここから出ることができる唯一の方法です。』


「ここから出れる、唯一の方法…。」

「何なんだ?」

「早く話せ!!」


『せっかちですねぇ。それではお教えしましょう。ここから出ることができる唯一の方法…』


『それは、人狼ゲームで生き残ることです。』


「…え?」

「人狼ゲーム?」

「そんなお遊びをここで…?」


『人狼ゲームのルールはご存知ですか? では、規則に厳しいローズハートくん。答えてみてください。』


「それぐらいわかります。

人狼ゲームとは、味方になりすました嘘つきを会話で見つけ出すパーティゲームのことです。

ゲームマスターのサポートが入りながら進行していきます。

その嘘つきは人狼という、人の姿をした狼です。

人狼はとある町を襲撃し、滅ぼそうとしています。

市民たちは、毎日、発言や仕草を頼りに見分けのつかない人狼、裏切り者を探し、多数決で最も疑わしい一名を人狼とみなして処刑します。

人狼たちは、人知れず毎晩誰か一人を選んで餌食にしていきます。

人狼を全員処刑できたら市民の勝利で、生存者の半数を人狼で占めたら人狼の勝利となります。」


『お見事です。素晴らしい説明でした。では、次にオルト・シュラウドくん。役職についてお願いしますよ。』


「わかりました!

市民! 市民は人間で、特別な能力はない! 嘘をつかずに、正直な言葉で人狼を探すことが勝利への鍵!

占い師! 毎晩一人だけ生存者を選び、その人が人狼かどうかを占えるよ!

霊媒師! 毎夜、直前に処刑された者の正体が人狼だったかどうかを判定できる

騎士! 毎夜、生存者を一人選び、人狼の襲撃から守るよ! だけど、自分自身と昨日守った相手は守れないよ!

内通者! 人狼が誰なのかあらかじめ知っている役職だよ! 人狼が勝利すると、内通者も勝利するよ!

人狼! 嘘で自分の正体を偽るよ! 誰が味方の人狼かを知っていて、毎夜、誰か一人を相談して襲撃し、殺すよ!

恋人! 今までに説明した役職とこの役職で、一人に役職が二つあるよ! 恋人は二人いて、最後まで両方とも生き残ると勝利になるよ! 勝利条件は、恋人同士になる人の役職によって変わるよ!」


『わかりやすい説明、ありがとうございます。オルト・シュラウドくん。』


「なーんだ、人狼ゲームやったら帰れるのかー。…って、なると思ったんすか?」

ラギー先輩がギロリと目を光らせた。

その時、イデア先輩が帰ってきた。

「はい乙乙〜。マップデータ拾ってきましたぞ〜。…って!?」

イデア先輩の髪の毛が逆立つ。

「何? 拙者たちがリアル人狼ゲームをやる? 冗談はやめてほしいですな〜。リアル人狼ゲームだなんて、よく小説とか漫画とかでやってるアレでしょ?? ないない。このメンツで人狼とか。キツすぎワロタ。陽キャ勢揃いの中に一人だけ陰キャが*ポツーン…*とか絶ッッ対イヤ!!!! ねぇ監督生氏?? コレって吊られたり襲撃されたりしたらアチラの世界に行っちゃう系??」

肩を上下に振るわせながら早口で僕に問いかけてきた。

「ぼ、僕にいきなり言われましても…。偽学園長、そうなんですか…?」


『大正解です! お見事! パーフェクトな回答です!!』


「ウッッッソ!?!?!? だっっる!?!?!? …はぁ、もうホント、こんな所に強制リスポーンされて迷惑なんですわ。

こっちはがけもの記念ライブとオフ会があるから推し活に忙しいんだよ!!!!!」


『おぉ、そうでしたか。でも、こっちもデスゲームで忙しいのでねぇ。そんなこと言われても、返すわけにはいきませんよ。』


「もういいよ兄さん。ボクがなんとかしてあげるから。ライブは諦めよう?」

オルトが慰めるが、イデア先輩は諦めなさそうだ。

「いいや、絶対にライブに行く。だから、このクソ人狼ゲームを速攻で完全攻略してやる…。ノーダメノーミスクリア…。」

「イデア先輩…他の人から酷い視線を向けられてますよ…。そろそろ気づいてください…」


『ゴホン…それでは、デスゲームを始めましょう。リアル人狼ゲームの開幕です!!』

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