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🦁の本能が発揮されててヒヤヒヤしました笑 キノコがこのお話の鍵なのかな…??
Side Zebra
目覚めると、太陽の光が眩しい。
木々の間からのぞく空は青くて、爽やかな気持ちになった。
「みんなおはよ。朝だよ」
樹と大我、高地は起きていた。北斗と慎太郎も、眠りから覚める。今度は誰もいなくなっていないことに、ほっと息をつく。
「…やっぱ動物のままか。ったく、いつになったら人間に戻れるんだろ」
早速毒づく高地。疲れているのか、取り合うメンバーはいなかった。
「とりあえず、朝飯食おう」
と慎太郎は起き上がり、鼻をひくつかせる。そばの低木に実っていた木の実をもぎ取って、大我と分け合った。
俺も地面の草を食べる。夜のうちに雨が降ったんだろう。朝露に濡れた草はシャキシャキしていて、野菜みたいで美味しかった。
北斗も同じように地面を突っついてるけど、食べてる物はたぶん一緒じゃない。逆にタカが草食べてたら、それはそれで面白そうだけど。
「腹減った…。俺、昨日の夜から飯にありつけてないんだよ」
樹が嘆いている。昨夜は俺らと並んで草や実を食べてみてたけど、あんまり口には合わなかったみたい。
「まあ、どっか歩いてたらなんか捕まえられるんじゃない?」
逆さまの大我は楽観的だ。
「じゃあ早く行こうよぉ…」
ライオンはごろんと寝転がった。
それぞれの食事が終わり、6匹はまた歩き出した。でも、もう正直どこへ向かえばいいのかわからない。
「俺ら、このまま人生閉じなきゃなんないのかな? 人じゃなくて…なんだ、ハリ生?」
ブラックジョークみたいなことを言う高地。らしくない、と俺はため息をつく。「やめてよ。きっと戻れるから」
その声に応えてくれるひとはいなかった。
だんだん、みんなの足が重くなっていく。ついに先頭を歩いていた慎太郎が立ち止まった。空を飛んでいた大我と北斗も、木に留まってしまう。
「ちょっと休憩しよう」
北斗がそう声を掛けた。俺は仕方なく、脚を折って地面に伏せる。
そのときだった。横から、異様な視線と雰囲気を感じた。振り向くと、ライオンがぎらつく牙をむいてこっちを睨んでいる。
「He? 樹?」
呼びかけても、樹は獣のような低い唸り声を上げて俺ににじり寄ってくる。
「樹、冗談だろ…」
北斗の怯えたような声がする。
慌てて立ち上がって逃げようとしても、足がもつれてその場に転んでしまう。何やってんだ、シマウマ。
「おい樹、やめろ! そいつはジェシーだ。食べたらどうなるか…」
慎太郎が後ろ足で立ち上がり、行く手を阻む。でもライオンは「ガウッ」と吠えて襲い掛からんばかりだ。
「あっ樹! あっちにキツネがいるよ!」
ふいに明るく大我が言った。右の手で示したほうを、みんな一斉に向く。その直後、ライオンがぴょんと跳ねてそっちに駆けて行った。
怖くて動けなくなっていた俺は、安堵してへたり込む。ああ、びっくりした。
やがて戻ってきた樹は、何事もなかったかのように口周りをぺろぺろ。
「やっと食えた…。ま、シマウマって絶対ひとりじゃ狩れなさそうだしな」
呑気に言う樹に、「何やってんだよ! メンバーは襲わないって最初決めただろ?」と高地が小さいながらも声を張り上げる。
「ごめん。腹減ってて、つい。本能的っていうか…」
そうしょんぼりする姿は、人間の樹と同じだった。
「しょうがないよ。とにかく先行こうか。また食べ物見つけられるかもしれないし」
俺の言葉にみんなもうなずく。いざ進み出したとき、視界の片隅にあるものを見つけた。
「……わっ! あれ見て。あのキノコ、前もあったよ」
大きな木の根元。そこには、以前見た摩訶不思議な色のキノコがある。
「え、なんでここに?」
「わかんね」
「戻ってきたんじゃ?」
「一周したってこと?」
みんな口々に言う。誰もどうなってるのかはわからない。
「一回、食べてみようぜ! 美味いかもしんねーじゃん」
慎太郎が突飛な提案をする。だけど、もしかしたらそうかもしれない。
6匹は自然と顔を見合わせた。
続く