傾「待て。杏は行っていい。」
宿を出ようとし、ノアのみが傾に出発を遮られる。
傾「シイシャン、荷物はどこに置いてきた。」
ノア「ここに持って…ない…!?うわ、イリア達の部屋に置いてきちゃった!取ってくる!」
ノアは改めて自分の手を見て、荷物を持っていないことに気づき、慌ててイリア達の部屋に戻る。
傾「馬鹿だろアイツ。」
アリィ(否定しきれない自分がいる…。)
傾「その服は動きやすいか?」
アリィ「動きやすいよ。」
傾「それならいい。」
アリィ「ねぇあれ何?」
そう言い、アリィは川の中からこちらを覗いている生物を指さす。
傾「河童だな、川に近づくなよ。底まで引きずり込んでヒトを殺す妖だ。」
アリィ「こっっっわ!?アヤカシってそんなのばっかなの!?」
傾「そうでもない。ヒトを好きな変わり者の妖もいるには居る。鬼とかな。まぁそうそうお目にかかれないがな。」
アリィ「…あのさ、ずっと気になってたんだけど…」
傾「なんだ。」
アリィ「今まで私達のこと、散々名前で呼ばなかったのに、偽名になった途端呼ぶようになったのなんで?」
傾「では逆に聞いてやろう。シイシャンはのっぽか?」
アリィ「…ちっちゃい。」
傾「そういうことと、もう1つはミスリードだな。今のところ気配は無いが、念入りにした方がいい。」
アリィ「アンタのことはそのままでいいんだよね?」
傾「あぁ。」
ノア「お待たせー。あって良かった…。」
傾「商人としては落第レベルだな。行くぞ。」
アリィ「今日はどこまで目指すの?」
傾「第2休憩所地点を飛ばして、第3休憩所地点まで行くのは最低目標だな。」
ノア「…それまでに悪魔がこっちに来て閉鎖されなければいいんだけど…」
アリィ「ずっと気になってたんだけど、なんで悪魔が出た途端門の解放じゃなくて、閉鎖なんだろう。普通は門を解放して避難させるよね?」
傾「1つ、門の閉鎖は国際問題を避けるためだ。トスク国で出た悪魔をトスク国から逃がして、他の国が被害を被れば、責任を問われるのはトスク国だ。2つ、悪魔が秋月の山に、正確には俺に近づくことは絶対にない。理由は、アレは悪魔でなく、妖だからだ。…というか目の前で斬ったというのに、よくアレが本体では無いと分かってたな。」
アリィ「手応えが無さすぎる。」
ノア「遺体残ってないし。 」
傾「どんな生活してたんだお前達。」
ノア「でもなんで妖なら傾を襲わないの?」
傾「俺はここの人間には嫌われているが、妖には何故か好かれている傾向にある。」
ノア「理由は分からないんだ…。」
傾「あちらからしたら俺は、敵に回したらまずいと考えているんだろうな。俺を好きな妖が復讐に来るが故に。」
アリィ「だからさっきの妖は襲ってこなかったんだ。直接来ればいいのにって思ってたからすっきり。 」
傾「それでも蛮勇な愚者はいる。足元はよく見ろよ。でないとお前はいつの間にか片足を失っていそうだ。」
アリィ「それは流石に気づく!」
傾「どうだか。」
ノア「妖と仲がいいなら、運んでもらえたりしないの?」
傾「無理だな。3人も運べん。それに対価として渡せるものもないと俺は考えているが…まさかお前はタダ働きをさせようと?いいご身分なことで。」
ノア「そんな訳ないでしょ。全くすぐヒトを煽って…」
傾「…この先道がないな。 」
ノア「ヒトの話も聞かない…」
アリィ「道なら目の前にあるけど…」
そういい、アリィは道を指さす。
傾「今はな。ここから道が途絶えている。」
そう言い、傾はアリィ達から借りた地図のある地点を指さす。
ノア「橋が壊れてるから使えないね。でもどこに迂回すればいいかな…。」
傾「…お前、飛べるか?」
ノア「そんな有翼族じゃあるまいし…あ。…ヒトの目さえ無ければ飛べる。」
アリィ「ちょ、ちょっと待ってよ。飛んで直接行くの?ノアが飛べても私は飛べな…」
アリィの制止を聞かず、傾は突如アリィを持ち上げる。
アリィ「…ふざけてる?」
傾「いたって大真面目だが?この重量ならいけるな。行くぞ。 」
アリィ「説明してくれない??」
傾「嫌だ。」
アリィ「…あのさぁ…説明くらいはするべきじゃない?すれ違いでトラブルが起こっても困るでしょ。」
傾「言わん方が事故が少ないと考えた。」
アリィ「いや私としてはそれじゃこま…」
傾「言えばお前のわがままでより、進むのが遅くなるだろうな。」
アリィ「はぁ!?私は別にそこまで聞き分けのないヒトじゃ…!」
傾「現にお前がぎゃあぎゃあ文句を言うせいで歩みがただでさえ遅くなってるんだぞ。」
アリィ「こんの…!」
ノア「2人とも行くよー。」
(仲裁するのめんどくさくなってきた。)
ノアはそう言い、スタスタと先を歩き2人を置いていく。
傾「橋の壊れた地点まで来た訳だが。あそこまで飛べるか?」
傾はそう言いながら、崖を指さす。
ノア「相当高いね…ボクは再現魔法で有翼族の姿を借りるだけでいいけど…傾はいけるの?」
傾「良いことを教えてやろう。人間に近い亜種と違い、俺は原種だ。」
そう言いながら初めて傾は、纏っていた羽織を被るのをやめる。
ノア「それだけ長い耳だと枝とか引っ掛けない?」
傾「そんなヘマをするか。耳は畳める。」
そう言いながら傾はピンと立った長い耳を、ペタンと伏せ畳む。
ノア&アリィ(凄くシュール…。)
傾「ヒトは今のところ近くにいない。シイシャンが先に行け。」
ノア「分かった。」
ノアは2人から少し離れ、再び姿を変える。
茶色と白の2色に分かれた髪と、茶色の背中を生やす。
アリィ「私初めて有翼族って初めて見た。」
傾「アイツらのテリトリーは、空だからな。会えることは本来中々ない。」
ノア「土埃舞うだろうから、目を閉じてた方がいいよ。 」
アリィ「わかった。」
傾「そっちの姿の方がまともなのに、なんでわざわざシイシャンにしたんだ?」
ノア「本来、無いパーツを生やすって魔力消費が凄いんだよ。」
そう言うと、ノアは飛び立ち崖の上に静かに降りる。
アリィ「毎回思うんだけどノアの魔法ってホント凄い…汎用性も高いし…」
傾「良かったな。お前の声がシイシャンに届かないくらい高い崖で。」
アリィ「え?」
傾「シイシャンの前で言うなよ。それはヒトの努力を踏みにじる発言だ。」
傾に言われアリィはハッとし俯く。
傾「最初から力を使いこなせる者など存在しない。血のにじむ努力をして、汎用性を高く見せてるだけに過ぎない。」
アリィ「…私…」
(今の私、凄く嫌なやつだ…。よりによって傾に指摘されるなんて…)
アリィ「…でもそれが分かってるなら、どうして私の事強いとか…そもそも…ん?」
アリィがもごもごと話していると突如、傾がアリィを抱えあげる。
アリィ「なんで私また抱えられて…?」
傾「舌を噛みたくなきゃ、口を閉じてろ。」
アリィは訳が分からないまま言われた通りにしたと直後に、傾は突如高く跳び上がる。
アリィ「!?」
足場とは思えない場所に傾は着地し、再び跳び立つ。そして何度も跳んでは着地を繰り返す。
ノア「さっすがー。」
ノアと合流すると、アリィは傾に抱えられたままノアに渡される。
傾「返品。」
アリィ「私は物じゃない!」
ノア「うわぁ心臓の音がこっちまで聞こえる。」
アリィ「だ、だって跳ぶにしても自分が運ばれる側はは、初めてで…正直お、落とされるかと…。」
傾「…心臓の病を疑うレベルだな。」
アリィ「だって!」
傾「行くぞ。」
傾は再び羽織を被り、スタスタと2人を置いていく。
ノア「せっかちなんだから…」
ノアはアリィを下ろしながら文句を垂れ、傾に着いていく。
アリィ「…橋が壊れたのは何日前だろう。下手に時間が経っていれば何かいることも…」
傾「お前が気づく前に俺の方がとっくに気づいてる。無駄なことを考えるな。」
アリィ「無駄とは思わないんだけど…」
ノア「門までの距離ってあとどのくらい?」
傾「まだまだ先だ。無駄に土地が広いからな。」
アリィ「国門増やせばいいのに。」
傾「同感だ。…ま、お偉いさんが管理できるのは五つまでということだろう。情けない。」
アリィ&ノア「えっ?」
アリィ「国門って…四つだよね?」
ノア「ボクらが調査した時は全部で四つだった。」
傾「…あー…ちっ。」
アリィ「花冷えの平原の櫻雨町にある、大櫻門。秋月の山にある静葉之町の、零れ月の門。青嵐の谷にある、天火門。あと…なんだっけ? 」
ノア「風花の地の、風霜の門だね。3つもよく言えたね?」
アリィ「櫻雨町の門がダメになった時のことを考えて、頑張ってルートを調べてたからね!」
ノア「…で、5つ目ってどこにあるの?」
アリィ「零れ月の門より近い? 」
傾は頭を抱えながら渋々答える。
傾「…近くはない。が、早い。」
アリィ「早い…?」
傾「…この国でそれなりの罪を犯せば、行けなくはない。」
ノア「…もしかして、国外追放する為に罪人専用の国門があるってこと?」
傾「そういう事だ。他の国門を使用するのは危険だからとそれ専用の物がある。誰も罪人など留めおきたくはない。故に出るだけなら早いだろうな。」
ノア「ボクらが聞いた時は誰も教えてくれなかったけど…なんで知ってるの?」
傾「…言っとくが俺は追放された訳じゃないからな。」
ノア「分かってるよ。それならここに入れてないし。」
傾「まぁ地元の民でたまたま知っている区分に入っただけだ。お前らに皆教えなかったのは、それだけ罪は犯さない、危険な目にはあって欲しくないと信頼を置いていたからだろう。野次馬をしに行く愚者がたまに居るんだ。 」
アリィ「…出るのは早いか。」
ノア「どうする?」
傾「俺は断じて認めんぞ。故意に罪を犯すことを避け、話していなかったというのに…。」
そう言いながら傾は、足を強く地面に数回叩きつける。
アリィ「まぁ…やらないかな。リスクが高すぎる。…私既に他の国に目をつけられてるからね…。 」
傾「お前は一体何やらかしたんだ。」
ノア「傾も目立ちたくはないよね?」
傾「お前には眼球がないのか?見ればわかるだろう。」
傾はそう言いながら己の姿を指さす。
ノア「…ボクも流石に無理かな。…シイシャンは…ちょっと不味いし…他も…」
傾「この話は無しだ無し。行くぞ!」
ノア「すごい怒ってる…」
アリィ「目立ったら、よっぽど不味いらしいね。」
傾「全く進んでいない。何故だ…?足の遅さか?」
アリィ「いや私もノアも足が早い方だから。それはアンタが迂回に迂回を重ねるからでしょ。」
ノア「どうやら1周してきたみたいだね。」
3人は木々に囲まれた空間で、迷っていることに気づく。
傾「なるほど遭難したか。」
アリィ「遭難!?」
傾「とまぁ冗談は置いておいて…」
アリィ「びっくりした…」
傾「…こんな器用なことが出来るのは悪魔だと思うが…何体いる?俺が迂回したのは、戦闘を避けるためだ。」
アリィとノアは顔を見合わせながら答える。
ノア「多分…1人。」
アリィ「私も自信は無いけど…1体だと思う。」
傾「この広範囲をか?…ということは魔法か?」
ノア「霧が出てるけど…湿気がないこの場所で出るわけがない。これも魔法の一部だと思う。」
傾「知り合いの魔法では無いのか?」
ノア「ボクが知る限り、霧の魔法をもつアヴィニア人は居なかった。」
傾「杏に心当たりは?」
アリィ「無いよ。ノアが知らないんだもん、私が知るわけないよ。」
傾「…質問を変えよう。俺は『羊』とベツから、お前が人間でありながら魔法を使えるのを聞いている。…お前のような人間が悪魔と呼ばれる存在になることはあるのか?」
アリィ「分からない…。少なくとも私にはその感覚がないかな。」
傾「そうか。隠し事はもっと上手くやれ。 」
アリィ「緊急事態だったし…。」
傾「どちらも心当たりが無いとなると…」
ノア「新しく魔法が開花した可能性があるね。開花したてだったら… 」
傾「全員八つ裂きだな。今のところ襲ってくる気配はなく、俺達を閉じ込めているだけか。…木々が邪魔だな。」
ノア「でも切り倒すには絶対霧に触れないと…ボクは触らない方がいいと思う。 」
傾「俺は近づかなければ木を切れん。お前の武器では切れないのか?本体がどこにあるか分かるのが1番いいが…」
ノア「ちょっとそこまで分からなくって…霧で誤魔化されてて特定が出来ないんだ。とりあえず木を切れないかやってみる。」
傾「杏、お前にもアヴィニアと同じで魔力が見えるのか? 」
アリィ「うん?ノア程正確には無理。たまに見える感じ。 」
傾「どう見えてるんだ?」
アリィ「んー…物体やヒトを纏ってるオーラ…みたいな?」
傾「ほう。」
ノア「えぇー!?嘘でしょ!?」
アリィと傾が雑談をしていると、ノアが大きな声を上げる。
アリィ「どうしたの?」
ノア「は、弾かれたぁ…。」
傾「霧に弾かれるのか…?ふむ。」
傾は足元にあった小石を霧に投げ込む。
すると小石はまるで紙のように、いとも容易く8つに千切れる。
アリィ「石なのに…ちぎれて…」
傾「シイシャンの考え方は正解らしい。武器は?」
ノア「魔力を纏わせてたから平気。他者との魔力は反発して小さいものであれば、無効になることもあるからね。 」
傾「弾かれたということは、霧に見せた壁か。つまるところこうか。」
傾は地面に落ちていた枝で、棘の生えた壁を描く。
アリィ「こっわ…!しかも最初より…霧増えてきてるよね…?」
ノア「迫ってきてる。時間制限付きだね…。」
傾「遠距離武器もだめ、近接なんてした暁には持ち主ごと八つ裂きか…。空も…だめだな。霧に包まれている。」
アリィ「アヤカシっていうのは巻き込まれてないの?」
傾「あいつらは遠くから見ているだけだ。手助けはせんだろうな。好奇心で着いてきてるだけに過ぎない。となると魔法だが…」
ノア「完全に魔力で作ったような武器があってもダメだよ。ボクの武器は特別で、武器専門の魔法を扱えるアヴィニア人に作ってもらったものだから。」
傾「それしか武器は無いのか?」
ノア「ううん、予備があってそれは魔法じゃなくて普通のチャクラム。…でももう試した。」
傾「再現魔法は?」
ノア「全部片っ端から試す訳には行かないよ。そんなことをしたら、ボクは死んじゃう。アリィから魔力を貰うとしても食べ物も有限だし…」
アリィ「魔力が減るとお腹減っちゃうからね…。多分ないと餓死しちゃうんだと思う。」
傾「代償でかいな。」
ノア「とりあえず誰を再現するべきかボクは考えてるね。」
傾「…ああ。俺はノアの魔法は知っているが、アヴィニア人でないお前の魔法はしらない。杏、お前の魔法は何だ?」
アリィ「…今ここで役立つ魔法じゃないよ。私の魔法はあくまで筋肉の増強をさせるだけ。」
傾「近接か。」
アリィ「よく落ち着いていられるね。私達今絶対絶命なのに。」
傾「俺には何も出来んからな。それで…お前の魔法は本当にそれで全てか?」
アリィ「そうだよ。今ここで私を問い詰めてもなんにもならないでしょ。」
傾「シイシャンの判断を待っていれば、全員お陀仏の可能性もある。故に聞いている。 」
アリィ「流石にそこまで時間はかからないと思うけど…」
傾「…聞いてないのか?」
アリィ「え?」
傾「アヴィニア人は記憶を失うことがない。故に決まって最期は耐えられない記憶の量に、廃人になる。…アレは一番の若者で1000年以上生きている。」
アリィ「は、廃人って…」
傾「そこは重要じゃない。アイツの記憶の中の人物は、一体何人いると思う? 」
傾に言われると、アリィの顔を青ざめる。
傾「記憶の魔法を扱う人物が現れてからは、廃人になることは無くなった。その記憶を消すことができるからだ。…しかし、ソイツはイカれていて、自らの記憶を消さない。尚且つ、他者の記憶を魔法で、記憶の主から切り離し保管している。…その記憶もあったら尚更まずいだろうな。 」
ノア「ちょっと!アリィを怖がらせないでよ!」
傾「事実だろう。お前は思考を集中させろ。」
傾に言われると渋々ノアは再び考え始める。
傾「もう一度聞こう。お前の魔法は、何だ? 」
アリィ「だから筋肉を増強させるだけだって…!」
傾「建前じゃない。俺は本当の魔法を聞いている。」
アリィ「はぁ…?」
傾「この状況でお前が情報を開示しないせいで、全員死ぬかもな?」
アリィ「アンタまさかここに誘導して…」
傾「それはない。俺まで死にたくは無いからな。 お前の我儘で誰かの命を犠牲にするつもりか?」
アリィ「…いい加減にしてくれる?本当に何も無いから。こんな緊急事態で煽るなんて、お前こそどうかしてるんじゃないの?」
傾「ようやく化けの皮が剥がれてくれたようだな。煽ったかいがあったというものだ。良いことを教えてやろう。アイツは俺をお前とは呼ばん。アンタと呼ぶ。」
アリィ「もう気付かれるとは…大した奴だ。」
アリィはそう言いながら、ノアに目を やる。
傾「アイツは集中してるだろう。こちらには気づいていない。」
アリィ「それは幸運。あの童には少し会いたくなくてな。畏怖されても困るのだ。」
傾「いつからだ。」
アリィ「我に質問するのは良いが、1つ誓いを交わしてくれ。」
傾「…なんだ?」
アリィ「我らの愛しき娘をあまり、怒らせないでくれ。」
傾「…はぁ…努力はする。」
アリィ「ならばよい。我がこの娘と入れ替わったのは、記憶の守り人があのように考え始めてからだ。」
傾「違う。俺が聞いてるのはその肉体にお前の魂が入ったのはいつだと聞いている。」
アリィは目を見開く。
傾「本来ひとつの器にはひとつの魂しか入れない。」
アリィ「お前は何故それを知って…まさか…ありえん…!それが出来るのは…我とあの死者のみのはず…!そうか。ようやく我の疑問が解消された。お前が嫌悪していたのは…この我か。」
傾「質問に答えろ。」
アリィ「いつ…といってもな。お前に言ったところで伝わらんだろうな。少なくともこの娘が生まれた時からではないと言っておく。それより、お前は何故屍でありながら生きている? 」