家の前に着き、深く深呼吸をする。
(……よし)
ガチャ。
「た、ただいま…!」
思い切って声を掛けたけど、誰も返事をしなかった。
(あ、そっか…お母さんとお父さん、仕事に行ってるんだった)
…あれ?でも桃は?
疑問に思ってリビングのドアを開けると、桃がソファに座りながらゲームをしていた。
(無視されただけか……笑)
そういえば私が高校生の時、桃は反抗期真っ只中で、私の事もよく無視していたな。
「桃、ただいま」
「……」
シーンとした空気に、ゲームの銃撃音だけが響く。
「今日って、部活休みだったの?」
「……」
私には目も向けずに、ただひたすらゲーム画面を見つめている。
(昔はたくさん遊んで、私に甘えてたのに……)
昔を思い出すと、少し寂しくなった。
(でも、私が22歳から高校生になった事を言えば、少しだけ私と話してくれるかも…)
「ね、ねぇ桃。私ね、実は22歳なの」
そう言ったけど、また桃に無視された。
「本当なんだよ。22歳から、なぜか高校生に戻ったの」
私が言うと、桃は少しだけ手を止めた。
「……バカかよ」
!
「バ、バカって何…!?本当なんだってば!信じてよ!」
「は?頭おかしくなったんじゃねぇの?」
私にそう言うと、桃は2階に上がった。
(…桃も信じてくれない…。)
なんとか桃にも分かってほしい。
そして、ちゃんと桃にも相談したい。
(もう1回、桃と話してみよう)
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