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ちぐ視点
——あの日から、学園は静まり返っている。
中庭で闇に飲まれていった あき の姿が、目に焼き付いて離れない。
💙「……私の、せいだよね。」
誰もいない教室で、私は呟いた。
机に残る、あきさんが刻んだ小さな傷。
強がっていた人の、不器用な痕跡。
最初は怖かった。
冷たい言葉。
きつい視線。
容赦ない嫌味。
でも——
時々、ほんの一瞬だけ。
あきさんは、泣きそうな目をしていた。
💙「どうして怒ってるんですか?」
あの日、私が聞いたとき。
彼女はほんの少しだけ、戸惑った。
まるで、助けてほしい人みたいに。
なのに私は、守られる側でいることに甘えていた。
放課後、四人で集まる。
あと は拳を握りしめている。
❤️「俺たちが追い詰めた。」
あとが私を好きだって、気づいてる。
でも今、その優しさは苦い。
まぜ は静かに言う。
💜「正義って、何だったんだろうね。」
隣で けち が目を伏せる。
何も言わないけど、その沈黙が重い。
そして——
少し離れた場所に立つ ぷり。
彼だけは、ずっと空を見ていた。
💚「俺は……守れたはずだった。」
その声は震えていた。
婚約破棄したのに。
距離を取ったのに。
それでも彼の視線は、最初から最後まで——
あきさんを追っていた。
夜。
私は一人、中庭へ向かう。
闇が残る場所。
冷たい空気。
💙「……ごめんなさい。」
もっと早く、手を伸ばせた。
「あなたは悪役なんかじゃない」って、言えた。
守られるだけじゃなくて、隣に立てた。
でも私は、怖くて。
嫌われるのが怖くて。
彼女を“敵”にして安心していた。
最低だ。
涙が止まらない。
本当は——
私は、あきさんのことが嫌いじゃなかった。
強くて、まっすぐで、不器用で。
誰よりも孤独だった人。
💙「戻ってきて……」
返事はない。
闇は静かに揺れるだけ。
そのとき。
背後から声。
💚「ちぐ。」
振り返ると、ぷり。
💚「……俺は、あいつが好きだった。」
息が止まる。
💚「嫌われても、婚約破棄しても。あいつは、ずっと一人で戦ってた。」
ぷりの目は、初めて涙を浮かべていた。
💚「なのに俺は、世間体を選んだ。」
みんな、間違えた。
正義のつもりで。
守るつもりで。
結果——
一人の女の子を闇に堕とした。
私は立ち上がる。
💙「連れ戻します。」
あとも、まぜも、けちも、ぷりも。
全員で。
今度は“断罪”じゃない。
“救う”ために。
💙「待っててください、あきさん。」
あなたを悪役で終わらせない。
たとえ物語が決まっていても。
私たちは、書き換える。
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