テラーノベル
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それから数分後、啓次郎は街に戻っていた。これが裏切りというものなのだろうか。先程のことを未だに受け止めきれていなかった。
そういえばと啓次郎は雪彦が言っていたことに疑問を持つ。タトゥーのことだ。彼は啓次郎に説明をする際、首や“胸”にタトゥーがあると言っていたが服を着ているエントは胸が見えないはず。さらには防弾チョッキ。防弾チョッキを着ているのならば尚更そうだろう。なんなら服を着ていれば防弾チョッキを身に着けているなんてことはわからない。本当にそうなのかもしれないと啓次郎の心は正気を保てなかった。辛い過去を持っている彼がなぜ…?しかしそこで足を止めてはならない。啓次郎は自分で自分を奮い立たせた。
すると、「ゴツン」そう啓次郎は女性と肩をぶつけた。
「ほんとごめんなさい!…啓次郎さん…?」女性はそう謝る。
「あ…ええ永島です」
「あ…いえ……」
その女性に啓次郎は見覚えはなかった。
「そういえばそちらのお名前は…?」
「私は…若井海音(わかいうみね)です」
その女性は若く、ぱっとみ20代前半だろう。
「どうかされました?若井さん」
「いえ…なんでも…そういえば、永島明日香ちゃんを見てませんか?探してて」
「え…?明日香を…?」
啓次郎は驚いた。まさか、自分の子供がこのハッピーランドに居るなんて。そして明日香を探している人がいることに。
「はい」
「俺の娘です」
「やっぱり。そうなんですね」
「だから…それで明日香との関係は?」
「…私の来世が彼女なんです。」
「え…?」
その頃、雪彦はあるところにいた。レインボーシティ。城内の地下室に居るエントのリーダー・水上の元にいた。
「リーダー。計画は順調ですか?」
そう言うと雪彦は顔の仮面を外す。
「ああ。順調さ。あとは彼女を捕えるまで。トップはもう吐いたから捜索だ」
リーダーの水上はそう余裕そうに話す。
「そういえばさっき永島が来ていましたけどどのようなことが?」
「特には。だけどあいつは厄介だ。きっと後々邪魔になるだろう。そこで雪彦にはあいつをどうにかしてもらうと思う」
「なるほど…ですが俺はあの人とすでに信頼を築いています。下手に行動すれば…」
「いいやそれを利用する。彼は今のハッピーランドを知らない。俺達は…俺達こそが英雄なのだから」
「さすがリーダー。“あの頃”と変わらないですね」
「ふっ…まあな」
そう言うと水上は仮面を外した。それと同時に被っていたフードも脱いだ。金色の髪をなびかせる。銀朱色(ぎんしゅいろ)の瞳はキラキラと輝いていた。
「まあ。俺達はこの世を“アンハッピー”に変える。そのためには彼女が必要不可欠だ」
「ですね。必ず成功させましょう」
コメント
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明日香と太陽だっけ?子供