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「私の来世が彼女なんです」若井が言った。
「え…?」啓次郎は更に困惑した。混乱している脳にまたさらに意味不明の事が追加された。
「えっと…それはどういうことで…?」啓次郎はそう質問した。
「私は23で亡くなりました。そして死後、こちらの世界に来たのです。ハッピーランドに居ても現実世界は変わりなく進むといいます。なので私は現実世界ではどうなっているか知りたくてこのハッピーランドでは記者になったんです。様々な記事を書いていくに連れ仕組みが分かってきました」
「はあ。仕組み」
「人が死に、その人の意識がハッピーランドへ送られます。要するに体は2つあり、どちらかに意識があるかということです。体が動かせる方は今。そして、現実世界はいってしまえば私のクローンが動いているということになります」
「ほう…」
「ですが、死後、ハッピーランドへ送られるかは運次第です。実際生きている人がこの世界(ハッピーランド)にいるということもあります」
「俺もそうなのか…生きてるし」
「きっとそうなのでしょう。そして死後、こちらに来る人は“現実世界へ戻ってくることは不可能”に近いです。なにより現実では死んでいますからね。ですが一つ、故人が現実世界へ行ける方法があります」
「方法…?」
「はい。それは、“自身の来世の体を乗っ取ることです”」
「乗っ取る…?」
「はい。ですがそれには来世の自分からの許可が必要になります。例えばハッピーランドへ意識が行っている時など。方法は様々です」
「え…?でも来世の自分ってどうやって確かめるんですか?」
「言ってしまえばそれは神からのお告げです。感覚として「来世の自分生まれたな」って分かるんです。でもその感覚はその時でしか分かりませんから。そしてその期間は約3,4年と言われています。ですが、極稀に10年とか居るんです。なのでそれは研究段階という形です」
「ははあ…なるほど…です」
「記事用に作った図があるのでそちらを渡しますね」
そう言うと若井は肩に掛けていた薄橙色のハンドバックからクリアファイルを取り出した。そしてそれを啓次郎に渡した。
※逆=現実世界
「お〜分かりやすいですね」
「まあはい。一応それ記事に載せたので」
すると、啓次郎がなにかひらめいたように口を開いた。
「…!まさか…!」
「え?どうされましたか?」
「俺、探してる人がいるんですけどもしかしたらその人、”俺の知ってる人の前世”なのかもしれないです」
「どんなところが?」
「2年くらい前にこのハッピーランドに来たんですけど、その時久玲華っていう人が「私の夫はあなた」とかいう虚言をずうっと言ってたんです」
「まあ…その可能性はあります。もし彼女が来世の情報を得ていれば。現実世界とハッピーランドの容姿は変わりませんから」
そこで啓次郎はある提案をした。
「じゃあ提携を結びませんか?」
「提携?」
「はい。そうです。若井さんと俺の探している人物を探します。二人で。もし彼女たちが俺の娘やら嫁であればどこかでつながっているはず」
「なるほど…それは浮かびませんでした」
「どうです?探しませんか?」
「はい。いいですよ」
「じゃあ俺達は人探し頑張りましょう!」
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