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そらるside
朝起きた。
若干の頭痛と吐き気がある。
でも、今日はまふとの約束があるからな…。
休んでられない。
さっさと支度してまふの家へいこう。
「ごめん、待ったか?」
「いや、全然待ってないです!」
そんな付き合いたてのカップルのような会話を交わす。
「ほんとごめんな。」
「大丈夫ですって!はやく決めないといけないこと決めちゃいましょ?」
「あぁ。」
新曲についての話し合いだ。
普通ならすぐに終わるはずだが、今日はそうもいかなかった。
「うーん、今回の曲は難しいですね…。」
「、、?あ、そうだな。」
先程から吐き気が強くなってきた。
限界とまではいかない。
だが、吐きたくない。
「…どうしましたか?」
「…え?あ、いや。なんでも…。」
さすがに気づかれてしまった。
まふには迷惑をかけたくないのに。
さすがに限界を迎えたのか、目の前がぐるぐるする。
そして上半身に衝撃がくる。
倒れてしまったのだろう。
「そ、…さ、」
まふの声も聞こえなくなってきた。
いつしか、俺の意識は無くなっていた。
まふまふside
そらるさんがおかしい。
さっきから反応が遅いし、よく口を押さえている。
顔も真っ青。
さすがにと、僕はそらるさんに声をかけた。
「…どうしましたか?」
「…え?あ、いや。なんでも…。」
そらるさんは目を逸らしながらそんなことを言ってきた。
これ、絶対なんでもなくないやつですね。
「なんかあったら僕を頼ってくださいよ?」
テーブルの上の資料を見ながら何気なくそう言った。
しかし、そらるさんからの返事は無かった。
「…そらるさ、」
ドサッ…
「…え?」
すぐ隣を見ると、そらるさんが倒れていた。
倒れるほど体調が悪かった…?
「そらるさん!?しっかりしてください!」
結構大きな声で叫んだが、反応は無い。
気を失ってしまったのだろうか。
とりあえず、ここにいるのは良くない。
僕はそっと客室のベッドに寝かせた。
そらるside
目を覚ますとそこはベッドの上だった。
「…あ、起きました?」
横にはまふがいた。
「あ、うん。ごめんな、こんな急に…。」
「どうしたんですか?体調が悪いんですよね?僕が看病しますよ?」
やはり、まふは優しいな。
だが、現実に俺は吐き気が止まらなかった。
ケプッ…
不意に喉の奥からそんな音がした。
…吐いてしまう、嫌だ、吐きたくない…!
「!?そらるさん!?吐いちゃいます!?」
「ッ…、ゴクッ」
俺は嘔吐恐怖症だ。
ただでさえ吐くことが怖いのに、まふがそばにいるので、吐けるわけがない。
「そらるさんダメですよ!!飲み込んだら!!吐いた方が楽になれますよ!!」
「う”、コプッ…」
また飲み込んでしまう。
無理だ、怖い。吐けない…。
「とりあえず、トイレまで行けます…?」
「う”、ん。」
よろよろとトイレまで歩く。
正直、トイレでも吐ける気はしなかった。
トイレについて便器の前に座り込む。
「そらるさん、吐けそうですか?」
まふが背中をさすってくれている。
「無理、かも。」
「そうですか、また吐きそうになったら僕の手を握って教えてください。」
「ん、分かった…。」
まふは俺の後ろから左手を握ってくれた。
それから一分も経たずに、また吐き気が襲ってきた。
俺はまふの手を握る。
「…ごめんなさい。」
まふが小さくそう言った。
その瞬間、まふが俺の口の中に指を入れてきた。
舌の奥を押される。
「う”、え”っ…あ”ぅ”」
同時にお腹の方も押され、俺はついに吐いてしまった。
「う”、お、え”っ…。」
ビチャビチャと俺の嘔吐物が出てくる。
嫌…だ、吐いてしまった。
「ごえんなさ…っ、お”ぇ”っ」
「ッ…、ごめんなさい。まだ出そうなので…!」
奥の方を押される度、吐いてしまう。
そんなこんなで10分間、俺は吐き続けてしまった。
「ごめ、なさっ…!おれ、は、吐いちゃっ」
「そんなことはどうでもいいんです!もう気持ち悪くありませんか?」
「うん…。」
「あと、無理やり吐かせてしまってすみませんでした…。」
ちゃんと謝ってくれる。むしろ、謝るのはこっちの方なのに…。
「くち、ゆすぎます?洗面所はすぐ隣です。」
「ん…、ありがと…。」
まふまふside
そらるさんが吐きそうになっても、無理やり嘔吐物を飲み込んでいる。
なぜ?吐いてしまった方が楽なのに…。
もしかして、嘔吐恐怖症…?
ここまでして拒んでいるのだから、可能性としては十分有り得る。
でも、いつまでも飲み込んでいては仕方ないので、狭くて逃げ場がないトイレに行かせることにした。
さすがに、吐いてもらわないと。
僕が後ろにたったら、ほぼ逃げ道が無くなる。
少し乱暴になってしまうけれど、そらるさん、許してください。
吐きそうだと合図をしてくれたそらるさんに小さな声で謝罪をし、口に手を入れた。
舌の奥の部分を押す。それだけじゃ吐けないので、同時に腹部も押す。
そらるさんは苦しそうにえずいていた。
約10分ほど、そらるさんは吐き続けていた。
吐き終わると、僕のところへ倒れ込んできた。
ぐったりしていて、少し涙目になっている。
それほど体調が悪かったのに…僕は気づけていなかった。
これは僕の責任だ。
とりあえず、口をゆすぎに行かせる。
嘔吐物も処理をきちんとする。
「まふ…。」
「そんなに辛い顔しないでください。今日はきちんと休みましょ?僕が隣にいますから。」
「…うん。ありがと。」
ベットに戻ると、よほど疲れていたのか、すぐに寝てしまった。
寝顔は可愛かった。
そらるさんは嘔吐恐怖症。
そらるさんついて新しい情報が増えた…!
そっとそらるさんの髪を撫でて、こういう。
「もっと僕を頼ってくださいね…。」