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帰り道、私はポツリと晴斗にさっき見たことを伝えた。
「私って、馬鹿だよね。」
自分をあざ笑うかのような乾いた笑みをうかべる。
・・・久しぶりに会った幼馴染相手に、何話しているんだろ。
この雨で、私の涙が見えなくなって、このくらい空の中で、消えられたらいいのに。
私がぼんやり、そんなことを考えていると、その静寂を破るように、声を発した。
「そんな訳、ないだろ。」
晴人が静かに、けれどはっきりと発した。
「お前は悪くない。お前を選ばない、そいつらの方が馬鹿だろ。」
怒っているような、私を元気づけるような言葉。
不器用な、晴斗らしい言葉が嬉しくて、涙が引っ込んでいく。
「そんなことで泣いていないで、お前は笑っていろ。」
周りが薄暗くても、耳障りなぐらいうるさい雨音の中でも、晴斗は輝いている。
優しくて、口が悪くて、不器用で、ちょっぴり意地悪で、お日様みたいに明るい。
そんな晴斗の前だと、私は飾らない私でいられる。
「‥‥ありがと」
晴人は口をパクパクして、覚悟を決めたように声を出した。
「別れろよ、そいつと。」
晴斗の声が、視線が、私を心配して言っているのだと伝わってくる。
「お前とは、釣り合わない。」
はっきりと、そう口にした。
つい、目をそらそうとする私の目を、逃がすまいととらえる晴斗の特徴的な紫色の瞳。
サラサラした茶髪は、周りの光にも見劣りしないくらい綺麗な色。
「‥‥そう、簡単には」
私は弱虫だから、怖いんだよ。
親友も彼氏も失った後、私はきっとみじめな思いをする。
親友に彼氏を奪われ、それにすら気づけない馬鹿な女。
大切な親友と彼氏に裏切られ、泣き寝入りをすることしかできない弱い人間。
私は、そんな人なんだよ。
沈黙が続き、私の家が近づいてきた。
「今日はありがと、またね」
なるべく笑顔で、家に向かう。
気まずい時間になって、申し訳ない。
晴斗がわざわざ、話を聞いてくれたのに。
そんなことをぐるぐる考えていると、後ろから声が聞こえた。
「俺が、守ってやるから」
思わず振り向くと、晴斗は見たことないくらい真っ赤で、真剣な顔をしていた。
「それだけだ。じゃあな。」
私は思わずフリーズし、帰り道を歩く晴斗の姿を見ながら、棒立ちでいた。