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:ココ視点です:
今日も天気が快晴だ。
…と、言いたかった。
「今日、雨かよ…。」
俺は窓から見える景色を見ながらそう呟く。
「ま、こればっかりは仕方ねぇな。」
三途はそう言うと、俺の分のコーヒーまで持ってきてくれた。
「総長と花垣は?」
「バイクでどっか行ってる。千冬の墓参りじゃね?」
「んな簡素なものに参りに行くのかよ…。金なら出したのに…。」
俺は自分の金の残高を見て言った。
軽く100兆は超えているであろう金額だ。
国家予算ほどの金額が今手元にあると思うと、嬉しかったが、同時に自分に呆れた。
「今日は気持ちが浮かねぇな…。」
三途がそう言う。
「マイキー不足か?」と、冗談交じりに答えた。
しかし、三途の反応は予想に反していて、「ちげぇ。」と言って机に突っ伏した。
そして、こちらをギロリと睨みつける。
「なんだよ…。」
俺は少々引き気味に言った。
「仕方ねぇじゃん、今は花垣と過ごせてるんだから、その…。」
なんとかマイキー擁護のため、たじたじだがそう説明したが、途中で言葉が詰まった。
だって、これが終わったらマイキーは…。
「だから違ぇって!」
春千夜はそう言うと、机をバンと叩いて立ち上がった。
そして、俺の方にすたすたと歩いてくる。
春千夜は俺の目の前で止まると、俺をぎゅっと抱き締めた。
「は!?ちょ、おっま…」
俺はなぜか知らないが顔が紅潮する。
「離さねぇぞ、しばらくは。」
春千夜はそう言って、俺をしばらく抱き締めて離さなかった。
:みっち視点に戻ります:
俺は花を持って、千冬の墓の前にいた。
隣に半分のペヤングも置いて。
もう半分は場地くんのところにある。
ココくんが立地まで完璧なところに建てようとしていたので、俺はそれを全力で止めて、普通の墓を墓地からちょっと離れた山に建ててもらった。
マイキーはというと、一人で行きたい場所がある、と言って俺を置いてそこに行っている。
俺は前に一緒に撮った写真を墓の向かいに座って見ていた。
そこには、満面の笑みを浮かべた千冬と俺が写っていた。
「千冬…ずりぃよ…。」
未だに憶えている、千冬の最期の笑顔。
少し儚げだった、笑顔が、今でも思い出せるくらい、正確に。
「あー、こんなんだったら、千冬に「前向け」って言われそ。」
俺は墓を見てそう言う。
もちろん、返答が来るはずもなく。
昨日一昨日でみんなが俺に気を遣ってくれたのに、俺はそれに応えられずにいた。
「全くだよな、本当。」
俺は目を潤ませて言った。
前を向けない自分の不甲斐なさに嫌になりながら。
「でも、もう数えるほどしかマイキーといれないから、俺、頑張るよ。千冬がいなくとも、やってみせる。」
俺は自分に言い聞かせるのと同じように、墓にいるであろう千冬に言った。
少しの決意と、少しの別れを添えて。
:マイキー視点:
逃げ出したいときや困ったときにここに来る、俺の悪い癖。
海岸線沿いの出っ張ったコンクリートの上を歩きながら、俺は思った。
みんながいなくなって、タケミっちが戻ってくるまでの数十か月。
俺がここに来ることはなかった。
なのに、タケミっちが戻ってきて、また来るようになった。
なんでなんだろう。
いつもはここにきて寂しいと思うのに、そう思わない。
俺は海を見た。
どこまでも続きそうな青色は、俺の底知れない闇を埋めるのにちょうどよかった。
もう、いっそのこと、溺れて死ねればいいのに。
それすらも阻害する俺の無気力さには、死ぬほど呆れた。
もうそろそろ戻るか…。
俺はバイクへまたがり、エンジンをかけて発進させた。
吹く風は、真冬の様に冷たかった。
雨が降る兆しだ。
俺はもうちょっとだけスピードを上げた。
タケミっちまで、水に溺れさせたくないから。
マイキー殺害まで あと