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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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「今日はお泊り最終日なのでぇぇぇ……派手に! 行きました! たぁんと食べんさい若者達!」
「「「いただきます!」」」
奥様の宣言通り、お泊り最終日の夕食の時間。
テーブルには、数々のご馳走が並んでいた。
お肉もお魚もいっぱいあるし、物凄く豪華だ。
ついでに言えばご飯も大盛りで、男子諸君は一斉に飛びつく勢い。
あの後もtimelimit:10の訓練が続いて、本当に疲れたので……仕方ないんだろうけど。
「す、すみません……準備をお手伝い出来ず……」
「良いの良いの! 最終日くらいは思いっ切り楽しみなさいな!」
物凄く明るくそう言われてしまい、もう食べるしかないって勢いで箸を伸ばしてみると。
「お、美味しい……コレ、何のお肉ですか!?」
「ふっふーん。白川さんでも食べた事無い物が提供出来ましたかぁ……フッフッフ、なんだと思う?」
「えっと、えっと?」
これまで食べた事の無い感じの味わいと食感、そしてちょっとだけ後に残る独特な香り。
必死で考えるが、全然答えが出てこないでいると。
「正解は、猪! 近所の人が狩って来たんだって、お裾分け貰っちゃったぁ~」
「こっちには狩人がいっぱい居るんですか!?」
田舎、凄い。
ちょっとこれまででは考えられない情報が、次々入って来る。
なんて事をやりながら、私もパクパクと食べ進めていると。
「すんごいねぇ~ホント、色んな世界のプロってヤツは。踏み込んでみないと分かんない、全然違う世界だわ」
そんな事を言いながら、ナナさんも私と同じ物をパクリ。
今では普段通り、明るい彼女に戻っている訳だが。
「こういうのを全部活かして、糧にして……今度のsevenは、前よりもっと強いかんね?」
なんて小声で呟きながらも、コツンと肩をぶつけられてしまうのであった。
結構思い詰めていたというか、凄く真剣に自分と向き合っているみたいだったけど。
元気になったみたいで、良かった。
「はいっ! 私も負けませんから!」
「うっし! 食べよ食べよ! 腹が減っては何とやら~ってね!」
冗談みたいに笑い合ってから、ナナさんと一緒に普段よりいっぱいご飯を食べてしまうのであった。
ちょっとお腹が苦しいけど、でも美味しかった。
それに、凄く楽しい合宿だったと言えるだろう。
◆
で、終わればすんなりだったんですが。
「やはり皆様、“実際に”試してみたいでしょう? なので、今日の夜の訓練は……コレで、やりましょう」
その夜、timelimit:10が言い出した訓練メニューは……ガンサバでの、彼との対戦。
こ、これは良いんですか?
などと、私とナナさんはちょっと慌ててしまったけど。
「ご安心を、私も“サブ”というヤツです。この日の為に、作っておきました」
コソッとそう言われ、ホッと一安心。
しかしながら、どうやら事前情報は与えてもらえないらしく。
一人一人、一対一で勝負が終わるまで別室で待機という形に指示されてしまった。
「き、気になる……超気になる。出っ歯、どれくらい対応出来てんだろうな……最近作ったキャラって言ってたけど、中身はあの佐々木さんだぜ? 自分の身体能力までステ振っただけでも、絶対強いだろ」
待っている者としては全然落ち着かず、グレーさんはずっとそんな事を呟いていたけど。
やがて戻って来た出っ歯さんは、物凄くスッキリした顔。
「お前達も、やってみれば分かるさ……これは紛れもなく、最終試験だ」
なんて言葉を洩らしていた。
その後グレーさん、黒沢君の順で呼ばれ。
次にナナさんが呼ばれて、帰って来た後。
「では最後に、白川さん。始めましょうか」
「は、はいっ!」
最後に私の番が回って来たので、別室へと移動。
どうやら個室らしく、部屋の中には私しか居ない。
しかしながら、VRゴーグルをつけた瞬間。
『お兄様からは正式に許可を頂いておりますので、“6key”でログインしてください』
「……え?」
ゴーグル内からは、timelimit:10の声が聞えて来た。
『ご安心を、運営様も此方を監視している状態です。集中してもらう為に、音声は繋がないでいただいておりますが。それに小鳥遊さんも、“seven”で対戦いたしましたよ。もちろん、私もメインを使います』
え、え、うん?
まって? ほ、本当に良いの?
ちょっと戸惑いつつ、ログイン情報に6keyのアカウントを入力してみると。
すぐさま、お兄ちゃんと早乙女さんからのメッセージが。
『問題無いから、全部教わって来い。俺も見てるからな、楽しんで来い』
『早乙女です。今回の件は10からの賞金首教育プランとして、正式に採用されておりますので、御心配なさらず。契約書まで交わして、正式に“練習試合”として承認しております。頑張って下さいね』
だ、そうです。
本当に良いんだ……などと、ちょっと呆然としてしまったけど。
とにかくログイン作業を完全に済ませ、相手からの対戦申し込みを受けてみると。
いつか彼のコピーNPCと戦ったフィールドに転送され。
「では、最後の授業を始めましょうか」
「っ! よ、よろしくお願いします!」
6keyとなった私の前に、正真正銘timelimit:10本人が……微笑みながら刀を抜き放つのであった。
何度対峙しても思うけど。
この人、本気だと滅茶苦茶怖い。
まさに“肌で感じる”って程に、本物の“狩人”って雰囲気が凄いのだ。
「試合開始と参りましょう。しかしながら……これまでのおさらいです。まずは、私を探してみて下さい。見つけ次第攻撃してくれて構いませんので。此方からも攻撃しますが、もちろん回避だって有りです。存分に、“生き残って”下さい」
それだけ言って、彼はスッと暗闇へと入っていった。
狭い裏路地に見えるが、左右の建物内は結構繋がっていた筈。
だからこそ、ただ追いかければ良いって訳じゃない。
しかも追いかけたところで、きっとまた奇襲を食らうだけ。
これにその場その場で対処しているんじゃ、今までと全然変わらない。
だったら……。
「そうです。今は勉強の時間だと思って、集中してみて下さい」
どこからか、相手の声が聞えて来る。
建物内に反響して、いまいち場所が掴めないけど。
けど、大体の方角は分かる。
だからこそ顔を向け、そっちに集中。
聞えて来るのは、周囲の音。
けどこれらは、ステージに設定されているだけのBGM。
使い回しだってされている、ガンサバの“いつもの音”。
なら、他を探せ。
僅かな音でも、それはヒントになるんだから。
「ほら、行きますよ?」
視覚外、私が意識していた方角とは別の場所。
そんな所から、彼が刀で“突き”を放ってくるが。
「ふっ!」
軽く上体を逸らすだけで避けてから、突っ込んで来た相手に向かって迷わず引き金を引く。
数発の発砲は、素早くそのまま通り過ぎた相手の身体に当たったけど……浅い。
防弾服の上だ。
「そうです、ちゃんと経験が生きてますよ。良く避けられました、素晴らしい。やはり“そのアバター”を使っている時の貴女は、どこまでも“効率的”だ」
再び響く声に耳を傾けながらも、静かに腰を落として銃を短く構える。
きっと今までだったら、慌てて身を隠していた事だろう。
相手はどこに居るんだって、内心慌てまくっていた気がする。
けど。
「――スッ!」
「そこっ!」
今度は振り返った先に発砲、しかし相手からもナイフが飛んで来た。
コレも身体を逸らす程度で回避し、再び暗闇に入る彼を迎撃したが……やはり、キルは取れない。
私は射撃が下手だ。
だからこそ、相手が踏み込んでから戦闘を始めた方が可能性もあるのでは?
などと、忙しく思考しながら再び相手を探し始めてみると。
「貴女の最大の特徴は、“その人になり切る”事が可能な事。もしも貴女本人に、シックスの様な身体能力があれば……その技術は、現実でも再現可能だと断言します」
続く言葉に、内心首を傾げてしまった。
確かに私は、キャラクターに“のめり込む”癖がある。
それはステータスだけではなく、その立場なども含めて。
6keyでなら落ち着いて対処出来たりするのに、46leatherでは出来なかったり。
これは、射撃能力にも結構影響を及ぼしている気がする。
この辺は私の特徴というか、変な拘りみたいなモノだと思っていたのだが。
「貴女はもっと自信を持つべきだ。確かに身体能力はまだまだ未熟、しかしながら頭の方は……物凄く、高度な事を平気でやっているのですよ? もっと自分を褒めるべきだ」
「……え?」
思わず呟いてしまった瞬間、視界外から再びtimelimit:10が襲って来た。
今度はまた刀。
小さく振るったソレに対して、身を伏せる様にしながら刃を避け。
迎撃とばかりに数発発砲。
しかしながら……やはり、攻撃後も計算に入れているのか。
なかなか“クリティカル”が取れない。
思わず舌打ちを零しそうになりつつ、再び彼が消えた方向に集中し始めるが。
「では、“頭”で理解出来る様に言葉にしましょう。これは確かな実績であり、結果です。だからこそ、貴女は否定しようがない筈」
いったい何の事を言っているのか、もしかして問いかけて此方を混乱させる作戦なんじゃ……などと、思っていたのだが。
「シックス、貴女……今のところ、その場から動いていませんよ? これまでの貴女に、そんな事が出来ましたか?」
「……え? あれ?」
体勢を変えたり、反撃したりはしたので。
“一歩も動いていない”とは言えないけど。
私は、初期位置に立ったままずっと彼の相手をしていたらしい。
今までだったら、絶対こんな事出来なかった。
超近接戦のプロの相手をするんだから、どうにか私の土俵に持ち込まなきゃって、必死で走り回っていた気がする。
例え攻撃を受けても、とにかく得意なフィールドを作る為に。
でも今はまだ一撃も貰っていない上に、こっちは反撃出来ているのだ。
「しかしそればかりではいけません。さて……貴女の“得意分野”も織り交ぜた状態で、戦ってみて下さい」
そんな言葉と共に、ツインバレルの銃を構えたtimelimit:10が通路の先から飛び出してくるのであった。
これは流石に……走るしかない!
コメント
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第158話、読み終えました。お泊り最終日の豪華な夕食から一転、timelimit:10さんとの本物の対戦……「最終試練」の名前にドキドキしました。特に、彼に「その場から動いていませんよ」って指摘される場面、ぐっときましたね。主人公が無自覚のうちに成長してるのが伝わってきて。6keyでお兄ちゃんと早乙女さんから許可のメッセージが届くところも、見守られてる感じがして温かかったです。最後のツインバレルの銃……続きが気になります!