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新庄 駿
270
茶々丸
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私立明鳳学園――そこは全寮制の超名門校。本日、この学園に「5人のイケメンが同時に転校してくる」という噂で、女子生徒たちは朝から色めき立っていた。しかし、校門に現れた彼らを見た瞬間、女子たちはどよめきを通り越して、文字通り「発狂」することになる。
「嘘……全員、超絶イケメン……っ!」
「っていうか、なんで新制服の『萌え袖獣耳パーカー』着てるの!? 破壊力高すぎて死ぬ!!」
そう、彼らは全員、このあまりにも恥ずかしい新制服に大反対だった。しかし、転校生ゆえに断る権限もなく、全員お揃いのパーカー(しかも尻尾付き)を着せられて登校する羽目になったのだ。
「……見世物じゃないんだけど」
漆黒の狼耳をピクリと動かし、霧島流空(きりしま るあ)が気怠げに長い萌え袖で顔を隠す。
「きゃあああ! 流空様、クールなのに萌え袖ガードは反則ーーっ!」
女子が数名、鼻血を吹いてその場に崩れ落ちた(通称:尊死)。
「みんな、おはよー! 今日からよろしくね!」
石神秀兎(いしがみ しゅうと)が犬耳をパタパタさせて手を振ると、
「秀兎くん、まじ大型犬! 尊い!」
とさらに数名が尊死。
「ふっ、怪盗のように鮮やかに、君たちのハートを盗ませてもらうよ」
新庄駿(しんじょう しゅん)がウサ耳を揺らしてウィンクすれば、
「駿くんキザ可愛い!」
と悲鳴が上がる。しかし、現場のボルテージが「限界」を突破したのは、後ろからトボトボと歩いてきた小柄な二人が見えた瞬間だった。
「……っ、な、何見てるんだよ……! あっち行けッ!」
顔をリンゴのように真っ赤にして、長い袖で口元を隠しながら怒っているのは、小形遥太(こがた はるた)。トイプードルのような犬耳が、羞恥心で激しく震えている。実はものすごい照れ屋なのだ。
「僕を観察するな……。あ、集団でそんな目で見られると、その……計算が狂う……っ」
末田渉(すえだ わたる)もまた、メガネの奥の目をキョロキョロと泳がせ、猫耳をペタンと寝かせて赤面していた。彼もまた、重度の照れ屋だった。赤面+萌え袖+獣耳。この世の「可愛い」を全て凝縮したかのような二人の姿に、女子たちは完全に理性を失った。
「ぎゃあああああああ!!! はるたん!!! わたるん!!!」
「何あの生き物!? 尊すぎて無理!! 息ができない!!!」
「はるたん! わたるん! こっち向いてーーー!!!」
「は、はるたん……っ!? 誰がそんな可愛い名前で呼んでいいって言った!! 僕はカッコいい男だぞ!!」
遥太が「チート能力(超身体能力)」で地面を蹴り、一瞬で校舎の2階まで飛び上がれそうな勢いで怒るが、その仕草すら「ワンコがジャンプした!」と女子を悶絶させるだけだった。
「わたるん……? 僕の脳内メモリにそんな不名誉なニックネームは記録されていない。ハッキングしてその記憶を消去したい……っ」
渉もチート頭脳をフル回転させて威嚇するが、恥ずかしさのあまり猫尻尾がボフッと膨らんでしまい、女子たちは「猫の威嚇キタアアア!」と次々に尊死していった。
◇
命からがら登校初日を終え、5人は学園の敷地内にある男子寮へと逃げ帰った。幸いなことに、転校生である5人は「全員同じ大部屋」を割り当てられていた。
「ふぅ……死ぬかと思った。女子の執念、怪盗キッドを追う中森警部より恐ろしいよ……」
駿がパーカーを脱ぎ捨ててベッドに大の字になる。
「本当にね。でも、はるたんとわたるんは大人気じゃん?」
秀兎がニヤニヤしながら二人をからかう。
「秀兎!! その名前で呼ぶな!!」
「僕の精神的ダメージはすでに限界値だ。次言ったら秀兎のスマホを文脈ごと消去する」
遥太と渉が、部屋着に着替えてもなお、顔を真っ赤にして怒る。二人はとにかく「可愛い」と言われるのが不服でたまらないのだ。その時、窓際で外を見ていた流空が、冷ややかな声で言った。
「……おい。カーテン閉めろ」
「え? なんで?」
秀兎が窓の外を覗き込むと、そこには驚愕の光景が広がっていた。寮の敷地外にある木の上、電柱の陰、さらには隣の女子寮の屋上から――望遠レンズを構えた女子生徒たちが、大量のカメラをこの部屋に向けていたのだ。カシャカシャカシャ、と無数のシャッター音が遠くから響いてくる。
「うわあああ!? 盗撮されてるじゃん!!」
遥太が飛び上がる。
「ふむ……あのカメラのレンズ口径からして、僕たちの部屋の机の上のノートまで鮮明に写るな」
渉が冷静に分析する。
「おっと、僕たちのプライベートをタダで盗まれるわけにはいかないね。よし、怪盗らしく、ここは煙幕(スモーク)でも焚くかい?」
駿がノリノリで手品用の小道具を取り出す。
「バカ、余計大騒ぎになるだろ」
流空が呆れたようにため息をつき、萌え袖のまま勢いよく遮光カーテンを閉めた。新制服への大反対から始まった5人の転校生活。しかし、女子たちの「尊死」と「執念の盗撮」の猛攻は、寮の部屋の中にまで押し寄せてくるのだった。
コメント
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えー、これめっちゃ面白かったわ!「萌え袖獣耳パーカー」からの尊死祭りとか、転校初日からみんなのキャラが爆発してて最高だった。特に「はるたん」呼びに本気でキレてる遥太と、冷静にスマホ消去宣言する渉のコンビが絶妙でニヤニヤしちゃったw 盗撮まで始まった展開、この先どう収集つけるんだろう。続き読みたいです!