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金も、美味い飯も、良い家も、ほんの少しのプライドを犠牲にするだけで手に入る。そういう類のことを言いながら、山岡さんは俺の服を脱がした。「あの人」が欲しがっているのは肉体であり、俺の手腕じゃないってことも、彼は付け加えた。

「きみがちゃんと期待に応えられるかどうか、僕がチェックする」

「……はい」

「すぐには堕ちないでね。からさんのダーキニーになりたいんでしょ?」

俺は頷き、身体を這う指の感触に学生時代を思い出した。あの頃の俺の日常とは、サークルの仲間たちに毎日輪姦されて精液まみれになることだった。あのときから俺はおかしくなった。性的快楽のある世界が正常になり、セックスのできない日に狂う。果てのない性への欲望を解放するためだけに、好色な金持ちのいるこの事務所を選んだ。

「あの人はね、いじめるのが好きなんだ」

服を脱がない山岡さんの指は、俺の耳、首筋、鎖骨をゆっくり這って下り、乳首に触れた。

「筆でくすぐったり、針で刺したりね」

緩やかに乳首を捏ねていた指の力が突然ぎゅっと強くなる。

「人の苦しむ顔が好きなんだよ。金で人を黙らせて、虐待して……コンプレックスの表れかな」

俺は痛いほど勃起していた。一秒でも早くいじめられたくて反り返ったものは既に汁を腹に垂らしている。

「あ」

「何?」

「あなたもされたんですか」

「……お前に関係ないだろ。オナホが喋るな」

あからさまな動揺に、ああこの人も同じなんだなと俺は感じた。徹底的に苛め抜かれたんだ。嫌だと絶叫しながらぐちゃぐちゃに犯されて、自分の中の欲望に気付いたに違いない。スーツの下にはきっと縛られた痕が生々しく残っているんだろう。

彼の愛撫は気持ちよくて脳がとろけそうだ。この人は悦楽を知っている。こういうのは自分で快楽を受けた経験がなければ、人にもできない。

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