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ー空舞sideー
愛楽のことが大切だ。保育園から一緒で、愛楽は僕たちが守らないといけないと思っていた。そう思い始めたのは小学校に上がってからだ。
「愛楽ちゃんってさー、ずっと奏舞くんたちと一緒でずるいよ」
「?じゃあ奏舞と一緒にいれば?」
「愛楽ちゃんが離れればいいじゃん」
「なんで?」
愛楽は賢くて、人に興味がないから虐められやすかった。小学校は他の保育園だった人もいたから誤解も多くて、いざこざが多くなった。だから、僕達で守ろうって思ったんだ。
でも、いつからか「僕たち」が「僕が」に変わった。奏舞と一緒じゃなくて、僕だけが愛楽を守るって。奏舞は距離感が近いから、最近は本当にイライラする。愛楽に触らないで欲しい。コイツもだ、和倉光平。急に現れて、愛楽とたくさん話して、意味がわからない。
「お前なんなの?」
「なんでもないさ」
愛楽は僕だけのものなのに。
「空舞、なんか変だよ…?」
「いつも通りだよ。大丈夫」
愛楽は僕が守るのに。
「愛楽ちゃんも大変だねー」
「まぁ…そうかもしれないね」
「こんな奴と話す価値ないよ。愛楽」
「い“っ…」
痛くはなかった。反射的にそう言ってしまった。でも、愛楽の顔を見て僕の胸は痛んだ。
「空舞のものさしで光線くんを測るのは良くない。それに、私は勝手に価値のないものにされたくない。私は自由に生きるから」
愛楽は怒っているような、悲しいような顔をしていた。なんでそんな顔をするんだろうと思ったけど、きっと僕が悪いからなんだと自覚した。
「あのさ、愛楽ちゃん」
「ん?」
「俺、光平」
「あぁ、ごめんね。人の名前覚えるの苦手なんだ」
その日は愛楽と一緒にいられなかった。
コメント
1件
空舞くんの内面の変化がじわじわと描かれていて、すごく怖くて切なかったです。幼い頃からの「守る」が独占に変わっていく過程がリアルで、愛楽ちゃんの「私は自由に生きるから」という台詞が胸に刺さりました。愛楽ちゃんが自分で境界線を引ける子で本当に良かった…!次が気になります。
#受け攻めどっちもおるよ
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田中なす@思想強め
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