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(深澤視点)
昔…って言っても、高1の時に図書館で幸福論っていうのを読んだことがあった。
ヒルティとかアランとか、そういうやつ。
快楽がどうの、自己抑制がどうの、政治、神様、環境とかとか。
何を持ってそれが幸福と感じるのか。
人間にとっての幸福とは何か。
そんなものを、読んでたな…
そん時の俺が何を思っていたのかはわかんないけど、図書館にあった幸福に関する哲学書を引っ張り出して、開館時から閉館時まで、ずーっと読んでたよなぁ…
今思うと、あの頃の俺、相当ヤバいやつだよね?わら
毎日通ってたのもあって、司書さんに哲学書お好きですねって言われるくらいだもん。
まぁ、俺が好きなのは哲学書じゃなかったんだけどね、わら
幸福論について学んでわかったけど、幸福に定義とかなくない?
何をすれば人間にとっては幸福になるって言われても、宗教とか民族の違い、感性の違い…いろんなものがるわけだし、全員が全員それをすれば幸福になんてなれるわけないじゃん。
公共の授業で習った時も思ったけど、今、幸福?
本当に、読んだものをすれば幸福になれるの?
………そんなわけないじゃん。
俺が幸福論について書かれてる分厚い哲学書に手を伸ばしたのは、興味があったからじゃない。
幸福になれるのかどうか知りたかったからだよ。
もういない偉人に向けてこの幸福論間違ってるよ!なんて言えるわけないし、その人の個人の見解であることだって理解してる。
だからさ、いまさら文句言っても意味ないんだけどさ。
……俺は、そんなんじゃ幸福にはなれなかった。
どんなに頑張っても、俺は幸福にはなれなかったんだよ。
いっぱい、いっぱい頑張ったのに……
どう頑張っても、幸福を手にすることができない人がいるんだよ…
俺みたいに、死ぬ気で幸福論読み込んで実践してみた人だっているかもしれない。
俺よりも、今にも死にたいってくらい辛い人だっているかもしれない。
みんなが幸せになれる?
そんなこと叶うんだったら、なんで自殺する人は0にならないのかなぁ?
幸福論なんて所詮、虚像にしかすぎなかった。
それが、あの頃の俺の結論。
『………ふっか』
……?
誰か、いるのかな?
声が聞こえた方に顔を向ける。
今は確か、佐久間たちと一緒にかくれんぼしてて……
もしかして俺、見つかっちゃったのかなぁ…?
『悩み事があったら、相談してね?』
あぁ…なんだ夢か…
そうだよね、阿部ちゃんがここにいるわけないもんね…
阿部ちゃんは、ずっと俺のこと気にしてくれてたっけ?
ただの、同じ予備校に通ってただけの先輩の俺に……
阿部ちゃんにも幸福論の話したなぁ…
真剣にうんうん頷いてくれて、ほんとに可愛い俺の弟みたいだったな。
でも、それが良くなかったね。
そのせいで、あんなことに……
「んん……」
どれくらい寝てたんだろ?
軽ーく伸びをしながら身体を起こす。
ははっ、やっぱり誰もきてねーわ、わら
暇すぎて、久しぶりに幸福論な話思い出しちゃったなぁ…
「幸福、ねぇ……」
高1の俺、どんだけ幸福を求めてたんだよ。
まぁ、環境の変化とかには簡単に慣れるのが難しいからね…
相当追い詰められてたのかな?
図書館にこもってひたすらに幸福論読み込んだり、何かしてないと落ち着かなくって、異常なほど勉強したり……
……今は、幸福なんてどうでもいいよ。
そんな虚像、追いかけてた俺の方が馬鹿だった。
生きてくために本当に必要なのは、幸福なんかじゃない。
“順応性“なんだよ。
どうせ俺は幸福になれない。
それが俺の運命なんだ。
夢花𓂃𓂂ꕤ*.゚
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だったら、現実を受け止めて生きてくの。
家庭環境だって……そうなんだよ。
あれは、しょうがないこと…受け入れるしかないんだよ……
『お前なら…俺の気持ちがわかるだろ…?』
『そうだよな、お前だけは俺の味方でいてくれるんだもんな?』
『暴れんなよ。父さんの言うことに従うんだ』
『安心しろ…ひどいことはしないからな?』
『……父さんのこと、慰めてくれるよなぁ…?そうだよなぁ…!!?』
『お前だけだよ、父さんのことを受け入れてくれるのは…』
「…………」
全部……しょうがない、こと…
俺が、受け入れなくちゃ…いけない、こと……
(岩本視点)
人多すぎて、移動すら難しいな…
それに、ほとんどの生徒がクラス企画そっちのけで怪盗探しに参加してる…
これは、風紀委員長として注意すべきことなんだろうけど、この人数は流石に無理あるだろ。
「……ほんとに、なんてことすんだよ…!」
多分、佐久間先輩ともう1人の先輩…確か、翔太?先輩だったか?
そこの2人だけの企画だったらここまでならなかったと思う。
それこそ、生徒のクラス企画を放棄なんてことは、な……
どこを歩いてても聞こえてくる単語…
「深澤先輩見つかった〜?」
「まだに決まってるじゃ〜ん!!」
「私が1番に深澤先輩見つけるだから!!」
「絶対、深澤先輩からのご褒美をもらうんだからっ!!」
あいつが原因じゃねぇかよ…
この騒ぎを抑えるには、まずはあいつを見つける必要がありそうだな。
それに、先生たちも1番にあいつを探してたし…
佐久間先輩は……あの先輩なら普通に見つかりそうだよな。
翔太先輩?も、見つけられるんじゃない?
ただ、あいつだけはしぶとそうなんだよな…
見つかっても平気で逃げそうだし…色々と厄介なのは嫌って言うほどわかってるし。
どこにいるんだろ…
あいつのサボり場所の屋上と空き教室は先生がとっくに探し回ってたし……
「………」
生徒の波に飲まれそうになりながらも、周りを見渡す。
それで、ふと目に入ったのは、立ち入り禁止のテープが貼られた場所。
いい感じに校舎が影になってて、注意しないと気づくことすらできなさそうな場所。
ここ、確かゴミ捨て場がある場所だよな。
文化祭だから立ち入り禁止になってるのか。
「………」
足跡、あるな。
確実にここに入った足跡あるぞ。
あいつの履いてる靴も足のサイズも知らないけど、形的にはスニーカーか?
俺のサイズよりも全然小さいけど、女子生徒ではないだろうし。
入るか。
もしここにあいつがいたら、すぐにとっ捕まえて先生に突き出してやろう。
(深澤視点)
文化祭終了まであと1時間かぁ……
もう一眠りできそうだな。
にしても、まさか怪盗Sも怪盗Wも見つかってないなんて、結構意外だな。
怪盗Sとか絶対ボロ出て即退場だと思ってたのに!わら
「………?」
……いや、気のせいか。
一瞬、何かを感じて後ろを振り返る。
でも、誰もいないし、ただの葉っぱとかが風に当たってる音でしょ。
さてさて、文化祭終了までもう一眠りっと…
「見つけた」
「…………………ぁれぇ?」
と思ったけど、なんか、声したんだけど…?
もう1回、後ろを振り返る。
「……い、岩本くんじゃ〜ん…あっはは…やっほ〜…わら」
なんで、岩本がここに来れたわけ!?
「とっとと先生のとこに行くぞ」
「ちょ、ちょちょちょちょ!!待って待って!!ターイム!!!」
岩本にあっけなく腕を掴まれて、引きずられてく。
やっべ、このまんまじゃ先生から説教だ…
それだけは回避しないと…後夜祭のライブ出れなくなる……!!
なんとか気を逸らさせる話題…えっと、んと…
「岩本くんはさ、今幸せ?」
「………は?」
やべー、さっきの記憶のせいで話題がこれしか出てこない。
絶対岩本に聞く話じゃないし…
焦りすぎだろ、俺!!!!
「なんで急にそんなこと聞くわけ?」
ですよねー…何言ってんだこいつって目をされている…
でも、引っ張る足が止まった!!
「いや〜…気になっちゃってさ?わら」
もうしょうがねぇ!!この話題で振り切ろう!!
「………幸せなんじゃない?よくわからないけど…」
「それはどうして?」
あ………つい食い気味に言っちゃった…
でも、気になる。
岩本は、何を感じて幸せだと思うのかが……
「どうしてって言われても………そうだな。家に帰ったらご飯が食べれて、風呂に入れて、学校に行ける。何不自由なく暮らせてる。家族の支えを感じられてる……それが幸せなんじゃないのかな?」
「…………そ、っか……」
「ごめん、うまくは説明できない」
「あ、ううん!そういうことじゃなくて……」
俺の反応が、自分の説明がわかりにくかったからって勘違いして謝る岩本。
違う、そういうことじゃないんだよ……
その当たり前の幸せが、俺の当たり前じゃないの……
どうして、俺の幸福は壊れたんだろう?
初めて思ったのは中2の時。
親が離婚したあの日から、俺の周りの環境が変わってた。
俺は何も変わってないのに……
親が離婚した原因はただ1つ。
俺をどう育てるかの論争の悪化。
俺が、母さんと父さんの関係を悪化させた。
俺が、2人を離婚まで導いてしまった……
昔から、俺は頭が良かったんだ。
物分かりが良くて、周りの子よりも理解能力が高かった。
勉強だけじゃなくて、俺は空気が読める人間だった。
こういう時はこうすればいいっていうのを理解して動ける子供。
先生はもちろん、近所の人たちからも賢い子って有名だったんだ。
もちろん、そんな俺を母さんと父さんのは自慢だって言ってくれた。
俺は、2人の自慢の息子なんだって……
2人に褒められるのが嬉しくて、いっぱい勉強頑張って、手先も器用だから、なんでもできて……
何かをするたびに、周りにいる大人たちが褒めてくれる。
母さんが頭を撫でてくれた。
父さんがいっぱい俺のことを抱きしめてくれた。
それが、何よりも嬉しかった。
家の中の空気が変わったのは、小6の時だった。
母さんは、俺に中学受験を勧めてきた。
俺ならもっと上を目指せるって。
名門校のポスターを片手に、笑顔で俺のことを見つめてくる母さん。
俺がそこに入れば、もっと笑顔になってくれると思った。
だったら、断る理由なんてなかった。
「名門校?………お前、本気で言ってるのか?」
喉が渇いて、たまたまリビングに降りただけだった。
父さんの声が、まだ眠い俺の脳を揺らした。
「本気よ。あの子ならもっと上を目指せるはずよ」
「それは俺も知ってるけどなぁ……俺が心配してるのは金のほうだよ」
(……父さんと母さん、言い争い……?)
喉の渇きなんて忘れて、俺はリビングの扉の隙間から2人の会話を聞いてた。
結局、中学受験の話は母さんが折れたみたいでなしになった。
でも、中学生になってからは予備校に入るように言われた。
「あなたなら、もっと上を目指せるわ」
いつからか、それが母さんの口癖になってた。
母さんも親戚も近所の人も先生もクラスメイトも友達も……みんなが口を揃えて言うんだ。
『あなた/深澤くんには期待してるよ』
「………っ……」
嬉しいはずなのに、それがひどく怖かった。
段々その言葉はプレッシャーになってって……
何をするにも、俺は完璧じゃないといけなくなって……
1回だけ、プレッシャーが強すぎてテストの順位が落ちた。
結果は、5位……
みんなが俺を心配した。
少し失敗しただけなのに……
あの時の母さんの顔は、いまだに頭に焼き付いてる。
怒鳴るわけじゃない……
「…………はぁ」
ただ、失望の瞳が俺に向けられたんだ。
「………深澤?」
「…………っ…!!」
過去に向いていた意識が、岩本の声で今に戻る。
「大、丈夫か?腕…っていうか、手、すごい震えてる」
「………ぁ……」
岩本に言われた通り、俺の手はすごい震えてて、冷や汗も止まらない。
「もし体調悪いんだったらさ、保健室にでも……」
「……だ、大丈夫だよ!この後の先生からの説教を想像しただけ〜、わら」
駄目だな……こんな話題続けてたら、俺がもたなそう…
別の話題……
「あ、そうだ。1番に俺を見つけられたご褒美」
ご褒美忘れてたや。
「女子が騒いでんぞ。先輩直々のご褒美欲しいって……」
「え〜?俺直々?そんなことするわけないじゃ〜ん!わら」
よかった、こっちの話題も続けられそう。
「……もしかして、岩本くんは期待してる〜?わら」
「んなわけあるか」
「え〜?俺は全然いいけど?お兄さんがえっちなことでもしてあげようか?わら」
「気持ち悪………」
「あっはは!冗談じゃん!ほんと釣れないなぁ、わら」
コメント
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ぁ、ぁ、、、この時点で泣いちゃったらラストとか目ぇ腫れちゃうよぉ、、 やっっぱ見つけちゃうの岩本くんなんですねありがとうございます。 岩本くんの普通《幸福》と深澤くんの普通《幸福》。 2人の違う普通、過ごし方、それが2人を惹きつけてるのかな、な〜んて考えちゃってまたまた泣いちゃうがぅたんでした。 がぅたんがこんなに泣いちゃう物語を書いてくださり、ありがとうございます .ᐟ
ふっか💜は、普通…っちゅう幸福がほしいだけなのに手にはいらない それは何よりも怖いコト… ひぃ💛に話して見たら?って思うけど、あべちゃ💚と何かあったみたいやけ直ぐには無理なんやろね… (ってか毎回AIヤバくない?云いたいこと全部云われるんだが)
うわあ…深澤くんの過去、重すぎるよ…😭 幸福論を必死に読んでたのに「虚像」って結論に至ったのが切なすぎる。親の離婚も自分のせいだと思い込んでるのが胸に刺さる…。岩本くんの「当たり前の幸せ」が深澤くんには届かないもどかしさ、涙出そうになった。最後の軽口で隠すところがまた深澤くんらしくて刺さる…!! 続きが気になるよ〜😖💕