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「フィン、もう一度言ってくれ。」ローザリンドが目を丸くして聞き返した。
フィンは一瞬戸惑いながらも、再度言う。
「だから、俺、副業を始めるって言ったんだ。」
その言葉に、仲間たちが一斉に顔を見合わせる。ドーベンが眉をひそめて言った。
「副業? 魔王討伐終了で忙しい時に、そんなことしてどうするつもりだ?」
フィンは微笑んだ。
「まぁ、金銭的にも少し不安だからな。それに、ただ戦うだけじゃなくて、やってみたいことがあるんだ。」
アリシアが冷徹な目でフィンを見つめながら言う。
「戦乱の中で、そんなことを考える余裕があるのか?」
フィンは肩をすくめて答える。
「なんとかなるだろう。ローザリンドもやるだろ?」
ローザリンドは目を見開いて驚いた。
「え? 私? いや、私はそんな不安定な仕事には興味ないわ!」
フィンはにやりと笑った。
「でも、どうしてもやりたいなら、教えてあげてもいいよ。副業のコツを。」
ローザリンドが戸惑いながらも返す。
「じゃあ、どんな副業を始めるつもりなのよ?」
翌日、フィンは町の広場で張り紙を掲げていた。そこにはこう書かれている。
「募集中! 勇者のバイト! 時給100ゴールド!」
ローザリンドが横から覗き込む。
「バイト? それ、ただの依頼でしょ?」
フィンは肩をすくめる。
「うーん、まぁ、依頼みたいなものかな。でも、ただの戦闘じゃないんだよ。お助けバイトだ。」
ドーベンが腕を組みながら不安そうに言った。
「そんなことで、戦力が分散してどうするんだ?」
フィンは自信満々に答える。
「戦力じゃないんだよ。重要なのは、信頼だ。いざというときに頼りにされるために、今から少しずつでも仲間を増やしていく。」
アリシアが冷静に言う。
「あなたの言う通りなら、戦争の合間を縫って商売を始めるのは悪くないだろうけど。」
「そうだろ?」フィンがにっこり笑うと、突如として後ろから声がかかる。
「おい、フィン、何してんだ?」
振り返ると、そこにはドレイクという大柄な男が立っていた。彼は自信満々に続ける。
「俺もそのバイト、やってみようかと思ってな。頼りにしてるぞ、勇者!」
フィンの新しい副業は、実際には町の防衛を手伝うようなもので、怪物の討伐や商人の護衛といった地道な仕事だった。しかし、フィンは予想以上に楽しく、その仕事を進める中で新たな仲間を得ていった。
ある日、フィンとドレイクは商人から依頼を受けた。依頼は簡単だった。輸送隊が途中で怪物に襲われないよう護衛すること。
商人が興奮気味に言った。
「これで、ようやく安全に商品を運べる! 勇者様、本当にありがとうございます!」
フィンは少し照れながら言う。
「まぁ、これは副業だから。俺の本業は魔王討伐なんだけどな。」
「魔王討伐も大変だろうけど、こういう仕事も面白いだろ?」
ドレイクがにやりと笑いながら言う。
「そうだな、あんまり派手じゃないけど、意外といいもんだ。」
二人が話しているうちに、森の中から怪物が現れた。巨大な狼のような姿をしたその怪物は、商人の護衛を破ろうと迫ってきた。
フィンはすぐに構え、ドレイクも大剣を抜いた。
「さぁ、仕事だな!」フィンが叫ぶと、二人は一斉にその怪物に向かって駆け出す。
その後、フィンはそのバイトを通じて新たな仲間たちを得て、少しずつだが大きな力となっていった。だが、フィンにはまだ気づいていないことがあった。副業を始めたことで、彼の周りに集まった人々が、やがて大きな力になることを。
次回予告
「次回:副業の裏で進行する陰謀」
フィンの声が聞こえる。
「副業って、やっぱり思った以上に面白いな…。」
ローザリンドが冷静に言う。
「でも、こんなことしてる場合じゃないわよ。」
ドーベンが少し警戒しながら続ける。
「暗い影が忍び寄っている。」
To Be Continued…