「あい!」
そう、後ろから女の子のような声がした。声は怒っている様子だった。一体誰だろう…。穂香ではなさそうだ…。ゆっくり後ろを向くとそこには浜田琴葉がいた。
「琴葉…どうした?」
「どうしたじゃないでしょ!」
初めてかも…こんなに…怒鳴られたのは…私…何かしただろうか…。けれど…琴葉に何かしたわけでもないし…一体なんだろう…。
「わかってなそうね。」
「わからないよ。だって、私。何もしてないよ?」
すると、琴葉はため息をつく。少し、ムカつく私。早く仕事が終われば席につくのに…琴葉め…。
「なんで、健翔と話したのよ!」
あ…健翔のこと好きな女の子だったんだ…。そりゃ…申し訳ないな…。何もしてないことなかったわ…。
「それは…ごめん…。」
「許さない!」
へ?いやいや私、健翔と話しただけだよ?怖い怖い…。こんなんで、呪われないといけないの…?そして、友達に嫌われていかないといけないの?(誰もそこまで言っていない。)
「はぁ!?ふざけんなよ!話しただけで怒るなんてどうゆう神経しているんですか!?」
私は急いで牛乳パックを取ってかごに入れて、教室に向かう…。すると…琴葉が私の腕を引っ張る…。男の子のような強さで痛かった…。
「痛い…。はなして!」
「お前が悪いんだ!全部!」
いやいや、健翔が私を心配してくれただけなのに…どうして?なんで、だよ!本当にムカついて、手が出そうだわ…。
「私は悪くないよ!何言ってるのよ!琴葉が変な目で見てくるから悪いんでしょ!?私はあいつのこと好きにならないし!」
私がそう言って、腕を振り放し戻る…。すると…琴葉は後ろでシクシクと泣いていた…。近寄って「大丈夫?」なんて声をかけたかったけれど…むかつきが勝ってしまって…教室に戻ることに必死だった。すると…琴葉は…
「あんたは…許さないから…。」
「お前のことも二度と許すかよ!」
そうして…教室に戻る…。また涙が出てくる…。あ…こんなときに…みんな見てるのに…嫌だ…。嫌だ…。泣き虫だなんて…思われたくない…。そんなんじゃ、ぶりっ子だなんて、思われちゃうよ…。
ドアの前でしゃがみこんでしまう…私。すると、たった一人の男子が私の目の前に来た。どうせ、悪口とか言うんだろ…。言えよ!さっさと…。
「愛…。大丈夫?なんか、変だよ。」
そう優しく声をかける。この声は…和樹だ…。好きな人の声だからなんとなくわかる。好きな人の声…。そして…ドアを、ゆっくり閉めてくれた。
「和樹……。大丈夫……ごめんね…席に戻るよ。」
そう言って、和樹の顔も見ずに自分の席へ戻る私。最低だ…。なんか、一言あればな…。「ありがとう」でも良かったのだろう…。最低な私だ…。
何度後悔しても変わらないのに…今日は後悔するばかりだった。
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