テラーノベル
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雨花「結局石売れなかった……」桃時「形からしてうんこなのよ?売れるわけないじゃない」
雨花「ちぇ〜つまんないの〜ロマンがないなぁ」
桃時「うんこにロマンを感じるのはあんただけよ」
雨花「うんこと人間は切り離せない関係じゃん?人間がロマンを語る限りうんこもロマンを語って良いんだよ!!」
桃時「あんたは何を言ってるの?」
雨花「辛辣で草」
桃時「「草」の部分、別の漢字にみえてくるからやめてくれるかしら」
雨花「すみません」
桃時「もうアタシたちの分のフリマは終わりね。そろそろ兎白のところ行きましょ」
雨花「へ〜い」
兎白side
兎白「れ、列が長すぎる……」
兎白の「フリーマーケット」では、女子たちの長蛇の列ができていた。
「私が手に入れるのよ!!」「いいえ!私よ!」「出しゃばらないで!!」「うるさいのよ!!」
兎白「ど、どうすれば……」
すると……
雨花「おーい!兎白くん!」
桃時「何この列」
兎白「な……っ!」
雨花と桃時がやってきた。
兎白「(ま、まずいぞ……この列に並ばれたら桃時に気づいてあれよこれよと噂を話すかもしれない……絶対桃時に俺は自分から伝えたいのに……)」
桃時「アタシたちも列に並びましょ」
雨花「う、うーん……」
桃時「ほら早く」
雨花「あっうん」
雨花と桃時が列に並んでしまった。しかし……
「あんた邪魔なのよ!!」「あんたこそどっか行きなさいよ!!」「紅蓮先生のフリマにでも行ってきなさいよ!」「はぁ?あんなかっこ悪い先生の何が良いのよ!!」
桃時「この人たち何を争ってるの?」
雨花「(多分、周りの女子同士の争いに夢中で桃時ちゃんに気づいてないんだな……しゃっ!)」
「ていうか」
雨花「紅蓮先生もフリマやってたんだ」
ちなみにその頃、紅蓮先生は、
紅蓮「女子からの収益がゼロ……何故だ!!!!」
紅葉「それは男子向けの18禁グッズしか売ってないからでしょ?」
閑話休題
兎白「(この調子なら噂がバレる心配はないな。あとは……)」
「「ハートのコースターを渡すまで持ちこたえるだけだ!」」
兎白は、コースターを一枚ずつ売っていき、そして……
兎白「(あと二人目で桃時に渡せる!!)」
しかし……
「あっごめんごめん。先に並ばせちゃって」「良いよ。別に。あんたもお目当てのもの買えたんでしょ?」「うん!買えた買えた」「じゃあいいわよ」
兎白「…………」
「あの二人分お願いします!」
兎白「…………どうぞ」
「え!?きゃあ!ハート付き貰えた!!」
「え?!兎白先輩から?やったじゃん!!」
なんと兎白のハート付きコースターは他の者に売れてしまった。
兎白「…………」
雨花「兎白くん、顔面蒼白になってる……」
桃時「何だったの?さっきの女の子たちは?」
兎白「俺は……どうしても買って欲しかったのに……」
雨花「……仕方ない。兎白くん手出して」
兎白「え?手?」
兎白は手を出すと、先程雨花が貰ったハートの石を雨花から貰った。
兎白「黒いのに徐々に白色に変わっていく……」
雨花「コースターって言うより、ハート付きの物を買って欲しかったんでしょ?ならこれでも良いんじゃない?兎白くんの真っ直ぐな気持ち。桃時ちゃんなら受け取って貰えるってわたしは想いたいな!」
雨花はニコッと笑う。
兎白「ありがとう。雨花」
雨花「うん!」
兎白は桃時に向き直る。
兎白「桃時」
桃時「ん?何?」
兎白「これを買ってくれないか?」
桃時「まぁ!綺麗な白色の石!こんな綺麗なもの自分で持ってなくて良いの?」
兎白「お前に持っていて欲しいんだ」
桃時「うふふっ、分かった。買わせてもらうわね」
兎白と桃時は微笑み合っている。石は徐々にピンク色に変わっていく。
雨花「その石はね。持ち主を支えてくれる色に変化する石なんだって!兎白くんから聴いたんだ!」
桃時「へぇ〜そうなの!」
兎白「雨花……」
兎白は心の中で雨花に大きく感謝の意を示した。
兎白「なぁ桃時」
桃時「何?」
兎白「桃時は知らないと想うんだが、このフリマでハートの物を買った者と売った者は、結ばれるそうなんだ」
桃時「ハートの……物……」
桃時は自身の手にあるハートの石をみる。すると……
桃時「////」
兎白「ははっ!その顔がみたかった」
桃時「……雨花知ってたでしょ?」
雨花「ふぃーふーふー」
桃時「吹けてないわよ!!アタシあんたたちにめちゃくちゃ気使わせてたことになるじゃない!!」
雨花「いやいや、そこは気にしなくて良いでしょ!わたしたちが勝手にやってる事なんだから」
兎白「そうだ。気にしなくて良い」
桃時「はぁ……まぁアタシのためだったんだし別に良いわ。うふふっ、ありがとう。兎白。雨花」
兎白「いいえ」
雨花「どういたまして!」
橙、瑠璃人side
橙「このマフラーを瑠璃人さんに……よしっ!」
橙はメッセージを打っている。
橙「瑠璃人さん。今から私のフリーマーケットまで来てくれませんか?」
瑠璃人『おう!良いぜ!手伝いか?』
橙「いえ!その……買って欲しい物があって……」
瑠璃人『そうなのか!分かった!今からそっちに行くな?』
橙「はい!」
橙はメッセージを打ち終わって、瑠璃人を待つことにした。
橙「気長に待ちますか」
しかし……
「うぇぇぇぇん!!!!」
橙「?」
橙の目の前には、大きく泣きじゃくる子供がいた。
橙「(近くに親らしい人はいませんね)」
橙は子供に話しかけることにした。
橙「大丈夫ですか?親御さんと離れ離れになってしまったんでしょうか?」
「いなくなっちゃった……うぅ……」
橙「では、一緒に親御さんを探しましょう」
「うわぁぁぁぁん!!!!」
橙「(これはかなり辛そうですね……あっ)」
橙にある考えが浮かんだ。それはとても迷うことだった。しかし、橙は覚悟を決める。
「……ひっぐ……ぐぅ……。?」
橙「あなたにこのマフラーを差し上げます。首に巻いておくと安心できるかなと想うので」
橙子供の首にマフラーを巻いてあげた。
「……なんかいい匂いがする……しかも少し可愛い……良いの?」
橙は少し黙ると……
橙「はい。良いですよ」
橙は、優しく微笑んだ。
「あっやっとみつけた」
「あっお母さん!」
「もう勝手にいなくなっちゃダメでしよ!」
「ごめんなさい。このお姉ちゃんが助けてくれたの!!マフラーも貰ったよ」
「そうなのね。ありがとうございました。マフラーまで頂いて……」
橙「いえ、気にしないで下さい。とても寂しそうにしてたのであまり責めずにしてあげて下さると幸いです」
「本当にありがとうございます。」
「じゃあね!お姉ちゃん!」
橙は手を振って、子供とその親御さんをみ送った。
橙「ふぅ……どうしようかな」
瑠璃人「橙ー!」
橙「あっ瑠璃人さん」
瑠璃人「びっくりしたぜ!持ち場にいないからなぁ」
橙「すみません。実はもう買って頂きたいもの売れてしまって……」
瑠璃人「え!?そうなのか……ん?」
瑠璃人は橙をみる。少し元気がなさそうにみえる。
瑠璃人「なぁ。少し休憩室入らね?」
橙「え?分かりました」
「フリーマーケット」の隅の方には休憩室があるため、橙と瑠璃人は休憩室に向かった。
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橙「少しオシャレですね。ここの休憩室」
瑠璃人「今回のフリマには、地域のお偉いさんも来るから今日限定で、近くのカフェと連動してる休憩室を開いてるみたいだぜ」
橙「そうなんですね。じゃあ私何か買ってきます。」
瑠璃人「じゃあオレも……」
橙「瑠璃人さんは座ってて下さい。少し待たせてしまいましたし」
瑠璃人「じゃあせめて金だけは出させてくれ!」
橙「はい、分かりました」
瑠璃人「…………」
やっぱ元気ないな
橙は、お金を入れるとカフェラテにしようとした。すると……
橙「え」
橙「お待たせしました!」
瑠璃人「おう!あんがとさん!」
「おぉ!」
瑠璃人「すげぇ!橙!みてみろよ!」
瑠璃人のカフェラテの泡がハート型になっていた。
橙「ふふっ、私が作りました」
瑠璃人「そうなのか!写真撮っとこ」
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橙「え」
橙の目の前には、泡をハート型にするやり方が書かれた本が置いてあった。
橙「(カフェの私物でしょうか……これなら私も……!)」
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瑠璃人「よくこんな大変そうなもの作れるな!すげぇ!」
橙「ふふっ」
瑠璃人さんからお金も貰ってますし、売ったということにはなるはず……
瑠璃人は橙の作ったカフェラテを味わって飲み、それをみながら暖まる橙。この暖かさはカフェラテから来るものなのか、それとも……
こうして、雨花、橙、桃時、兎白、瑠璃人のフリマは終わったのであった。
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雨花「うぅ〜ん終わった終わった」
桃時「後片付けまでやらされるなんて……」
橙「完全に町内会の方々、学園に不服を申し立ててますね」
瑠璃人「まぁ終わったんだし良いんじゃね?」
満月の下には虹色に咲く花々が風に揺れている。
兎白「そうだな。……おぉ!綺麗な満月だな」
瑠璃人「花めっちゃ綺麗じゃね?!」
橙「すごい……虹色に輝いてます……!」
桃時「本当にあんたの言う通り満月なのね」
雨花「あははっ!なんかおでん食べたくなってきた!大根食べたい!大根!」
橙「まだおでんは早いんじゃ……ていうかこういうのって普通お饅頭とかじゃないですか?」
雨花「甘い食べ物苦手なんだもん〜」
瑠璃人「オレは餃子の皮だな!」
兎白「餅」
桃時「真珠」
橙「皆さん変わってますね!?ていうか最後に至っては食べ物じゃないじゃないですか!?」
雨花「真珠綺麗だもんね〜!…………」
雨花たちは、月をみる。それぞれの瞳には各々が描いた夢絵が映る。
ただ独り、ある少女の瞳には周りの者たちには言えな秘密事が詰まっていた。
その少女の目は、月すらもの飲み込む真っ暗な漆黒に染められていた。
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