🩷大介side
🩷じゃ、おっさきーーー!!!
俺は照よりも早く、楽屋を飛び出した。
すぐに出られるよう衣装のつなぎの下に私服を着込んでおいてよかった。スタジオに暖房がきいてて途中死ぬかと何度も思ったけど。私物も合間にちょくちょく片付けてたし、一番乗りに出られたんだから結果オーライだ。
俺は今日の二人のスケジュールを完璧に把握している。
それスノ収録後、阿部ちゃんも翔太も揃って空き。
あの二人がそういう関係なら、必ずどこかで落ち合うはず…!
俺はそんな仮説を立てて今日の計画を立てた。
一方、グループメンバーなら誰でも閲覧できる共有スケジュールの佐久間欄には、二人を油断させるためにダミーの予定を入れておいた。担当マネージャーに不思議な顔をされたけど、阿部ちゃんを油断させるためには必要な準備だ。万一俺に似た人を見掛けたとか言われても、スケジュールをたてにごまかすこともできる。
標的はSnowMan随一の頭脳メンバー。出し抜くなら徹底的に準備しなければならない。
俺は俺、康二、蓮、涼太の四人しかいないLINEグループにメッセージを送った。
🩷『現在二人を待ち伏せ中です』っと
すぐに三人とも既読が付き、康二と蓮からは激励のスタンプが返って来た。
一人じゃないみたいで心強い。
🩷……それにしても…外…さっぶいな…
気づかれるわけにいかないので、俺は局の出入り口の植え込みのそばで、ひたすらかがんで待っていた。
2月の屋外の風は冷たい。収録がいつも通り延びて、日はもうとっぷりと暮れていた。
🩷ひゃっ!
右のほっぺたに急に熱いカップをあてられて、思わず声が出た。
慌てて振り返ると、サングラスを掛けた涼太が後ろに立っている。
❤️はい、ミルクティー買って来た
🩷えっ?なんで?
❤️……寒いかなと思って?
涼太は不思議そうな顔をして答える。
いや、そうじゃねーよ。
こいつと話してるとマジで会話のテンポが遅くて調子が狂うな。
🩷…いや、そうじゃなくて、なんでいるの?
❤️ああ…俺も付き合うよ
🩷まじか。ありがとうっ!!!
俺は涼太の手をがっちりと掴む。めめや康二と違って涼太は意外にも協力的だ。
普段何考えてるかわかりにくいやつだけど、結構いいところあるんだよな。
🩷二人はまだ楽屋?
❤️さあ、どうだったかな…
🩷さあ…って
急に不安になる。
やる気あるのかこいつ。もしかして単なる野次馬か?
そんなことを考えていると、視界の向こうにターゲットの一人、阿部ちゃんが現れた。
🩷あっ!来た!!隠れろっっ
俺は涼太の頭を掴んで強引に座らせる。
とりあえず阿部ちゃんは今のところ一人だ。
携帯をいじりながらこっちに向かって来る。すぐに隠れたので、こちらには気づかなかったようだ。まずは一安心。
阿部ちゃんはそのまま目の前の路地に出て行った。今日はタクシーで帰るらしい。 マネージャーの移動車じゃなくて助かった。
🩷よし。俺は阿部ちゃんを追うから、涼太は翔太を頼む!!
❤️いや、俺も行く
🩷は?せっかく二人で尾行してるんだから二手に分かれようぜ?
❤️断る
🩷あ!タクシーに乗っちゃう!!行かなくちゃ!!!
俺は阿部ちゃんの乗るタクシーの後ろからたまたま来た空車のタクシーに乗り込んだ。
運が良かった。
宣言通り、一緒に涼太も乗り込んでくる。
🩷運転手さん、前の車追ってください!!!
二台のタクシーが、連れ立って夜の街を走り始めた。
コメント
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こっちはこっちで書くの楽しいです笑閲覧数少なそうだけど、良かったらコメント残していってくださいね🩷🩷