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3
秋の終わりが近づいていた。
校舎を吹き抜ける風には、
少しずつ冬の気配が混じり始めている。
ひなは教室の窓際で、
隣の席に座る恵ちゃんをそっと見つめていた。
最近、
その表情に浮かぶ不安は日に日に色濃くなっていた。
「ひな」
昼休み。
恵ちゃんに呼ばれ、
人気のない階段の踊り場へ向かった。
恵ちゃんの顔は、
いつになく真剣だった。
「もし私が……急に変なこと言っても、嫌いにならない?」
ひなの胸がぎゅっと締め付けられる。
「絶対に嫌いにならないよ」
その言葉を聞いた瞬間、
恵ちゃんの瞳に涙が滲んだ。
「ありがとう……」
けれど、
それ以上のことは話さなかった。
ただ、
ひなの手をぎゅっと握る。
その震える指先から、
どれほど大きな不安を抱えているのかが伝わってきた。
放課後。
教室を出たひなは、
廊下の向こうに龍園翔の姿を見つけた。
鋭い眼光。
余裕を感じさせる笑み。
その視線は一瞬、
恵ちゃんの方へ向けられていた。
ひなの背筋に冷たいものが走る。
その夜。
学生寮のラウンジ。
ひなは綾小路くんと向かい合っていた。
「恵ちゃんのの様子が、ますます変なんだよ」
綾小路くんは静かに頷く。
「そうだろうな」
「やっぱり何か知ってるの?」
少しの沈黙。
そして彼は、
いつものように落ち着いた声で答えた。
「近いうちに、状況が動く」
「……恵ちゃんは大丈夫だよね?」
ひなの声は震えていた。
綾小路くんは、
まっすぐにひなを見つめる。
「軽井沢は強い」
その一言に、
ひなは少しだけ安心する。
だが彼は続けた。
「それでも、一人で抱え込むことには限界がある」
「ひな」
名前を呼ばれる。
「お前がそばにいてやれ」
静かな口調。
だが、
それは確かな信頼の言葉だった。
ひなは強く頷く。
「うん。絶対に」
綾小路くんはわずかに目を細めた。
「お前の存在は、軽井沢にとって大きい」
その言葉に、
ひなの胸の奥が温かくなる。
誰かの力になれること。
それは、
かつて傷ついていた自分には想像もできなかったことだった。
寮へ戻る途中。
夜空には、
冬を告げるような冷たい星々が瞬いていた。
嵐の前の静けさ。
今はまだ、
日常は穏やかに見える。
けれど、
確実に何かが動き始めている。
友情も、
恋も、
そして試練も。
すべてを乗り越えた先で、
ひなはまた一歩成長することになる。
コメント
1件
はる。だわ。今回のエピ、めっちゃ空気感が重くて刺さった。恵ちゃんの不安そうな表情と、龍園の一瞬の視線でゾッとする緊張感が伝わってきた。綾小路くんの「軽井沢は強い」って台詞、あの距離感と信頼が滲んでてグッとくる。ひなが「お前の存在は大きい」って言われるシーン、過去の自分を思うと胸熱。嵐の前の静けさってタイトル、終盤の夜空の描写と相まってすごく映えてた。続きが気になりすぎるわ