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その日は日曜日。
ヴェルツィ高等魔法学校は休み。
しかも…
「給料日だー!!!」
教員達が待ちに待った日
しかし…
「…7000エル?」
とうぜん、給料もレベルに分けられる
100レベル以上を担任する先生には50000エルくらい渡される。
「教頭!なんですか7000って!」
俺は教頭室のカールマン教頭に詰め寄る
「アルゴ先生58700エルですよね!?8倍じゃねぇっすか!教えはどうなってんだ!教えは!」
カールマン教頭は椅子に座り、机に肘をついて語る
「だって…君レベル1じゃん」
……
「…はい?」
ぶち〇すぞジジイと思ったのは12年前に特訓中に師匠に思って以来だぞ。
「それに特別寮にタダで入れてるんだから文句言わないの。」
いやいやいや、1ヶ月5000エルだぞこの野郎、51700エルを消し飛ばすな。
「ほら、出てって」
バタンッ
「……」
どうしよ。
「共産主義推し進めようかな」
俺は自分の頬をぶっ叩く。
資本主義と自由主義と民主主義の根本みてぇな国の兵士が何言ってんだろ。
副業禁止のクセにこれっぽっちかよ、最低賃金ちょうどだし、残業代も出ねぇ
「…はぁ」
匿名で指名手配犯見つけて王国警邏隊に突き出したら金貰えるけど…
校舎の廊下を歩き進める
その廊下には俺の足音しか無い。
……ん?
おかしい
そういえば職員室から一度もクラスの扉を見ていない、なんだ?
アガート…いや、アイツの魔法は幻じゃなくて黒い空間への「拘束」のハズだ。
アイトラー…いや違う、アイツは今日…というか2人とも買い物に行っているハズだ。
…結界でもないな、なんだコレ
「おやおや…なんだクラウス先生か…」
振り返ると、レベル126の特別待遇生で、この学校のエースであるベルナー君が居た。正直言ってク〇みたいなガキだ。
「はぁ…ベルナー、教員をはめるなんてどういう神経してるんだ…」
俺が溜息をつくとベルナーは高笑いする
「まあまあクラウス先生、私はあの超優等生、アイトラー君とアガート君を我がクラスに招き入れたいだけだよ。」
俺は正直、何を言ってるのかさっぱりだった、というか、なんだって何?あと敬語
「…アイトラーを?たぶん思ってるようなキャラじゃないと思うんだけど。
というかアガートは下手したらお前は…うん、命が危ういかも。」
ベルナーは更に笑って嘲笑う。
「ハハハ!まさか、あんなキュートな子達が?取られたくないからってそんな嘘が…」
「…(青春って分かんねぇな)」
という訳で出してもらおうとした。
しかし…
「出すって?まさか
アイトラー君とアガート君 を認めるまで出しはしないよ!」
まさか俺の事父親だと思ってんのか?
…まさかな
「…それじゃあ、何魔法か教えて貰える?この謎の空間。」
ベルナーは硬直して、何故だと問う。
なんでも良いだろと言うと、ベルナーは溜息をついて無限空間魔法だと言った。どうせクラウス先生にはどうにも出来ないと言う。
「はぁ…まあいいや」
俺は魔法陣を廊下になぞる。
その上に立つ。
「…よし、無限破壊魔法」
魔法陣が光り、辺りが光に塗れると、いつもの空間に戻っていた。
「…なんで?」
ベルナーは困惑して周りを見渡す。
無限破壊魔法は無限空間や、存在しない空間を破壊できる強力な魔法。
ベルナーみたいな凄い魔法使いでも、気絶するくらいの魔力を消費するので、普通は使えない。
「アイトラーが助けてくれたみたいだ」
そう言い残して、気づかれないように無時間移動する。
ヴェルツィ 首都街
首都で1番栄えているところ。
アイトラーとアガートは買い物を楽しむ
「…そういえば、あの双子には会った?」
アイトラーが聞くと、アガートは団子を食べながら首を横に振る。
「初級魔法学校からは会ってないね、今はたぶんこの国には居ると思うけど…」
アイトラーは動きを止める
アガートはアイトラーの方を見ると、アイトラーが見つめる先を見る。
テント式の物産街の500mほど先に、とてつもない魔力が見えた。
「…アレイ…?」
アガートが言うと、アイトラーはアガートの方を触れた瞬間、無時間移動をしてクラウスのところへ向かった。
ヴェルツィ高等魔法学校から西に7km
バルコイ市 郊外の広場
「おい、次はバルコイの銀行で良いんだよな?前のヴェルツィの銀行強盗失敗したじゃねぇか!」
3人組の銀行強盗が黒い服を着ていた
「うるせぇぞ!聞かれたらどうする」
「しっかりと魔力を貯めとけ」
「…3人で7万エルか」
「おう、懸賞金はな…」
そこに、クラウスが居た
「な!?誰だよお前!」
リーダーらしき人物が問う
俺はネクタイを締めて言う
「賞金稼ぎの1人だ。」
黒いフードとマスクを着ける。
3人は魔法の杖を召喚して持つ
「そうか…聞いたなら死ねい!」
途端に稲妻のような光が空中から発生し、こちらに向かってくる。
「特別魔法 複合装甲」
稲妻は複合装甲のバリアを貫けずに分散して消える。
「なっ…俺の魔力でも!?」
「兄貴!もう一回!」
そんなやり取りを眺めながら、俺は手からとある物を出す。
「ほいよっ」
そのとあるモノのピンを引き抜き、固まっている3人組に投げると、真ん中のリーダーがそれを取る。
「…ん?なんだこれ」
その瞬間パンっ!と弾け、そのモノから白い煙が吹き出す。
「なんだよこれ!?」
「魔法…ゴホッゴホッ!」
「涙と鼻水が止まんねぇよ!」
M67催涙手榴弾…
アメリカで開発された鎮圧用の非殺傷武器、生け捕りに限るから弾薬は使う訳にはいかない、結構キツイんだよな。アレ。
俺はガスマスクを出して着け、煙が漂う中3人組を縛り付けて担ぐ。
「2分くらい我慢しててくれよ、すぐ刑務所に着くから」
すると、目の前に2人が現れる。
アイトラーとアガートだ。
「せんせ…いっ!?」
アイトラーが驚く。
まあ黒いフード被ってガスマスク着けてたらビビるよな…
「おう、2人とm…」
すると、アガートがアイトラーを庇うように前に出て手を俺に被せる。
「特別魔法 雪の聖剣」
すると、手から白い剣が飛び出し、俺に刃を向けて今にも飛んで顔を貫いてきそうだった。
(マズイ!気づいてないのか!?)
本能で30mくらい一歩で飛び下がる。
しかし…
2人の実力をここで試すのも悪くない
…このまま続けるか。
白い剣は物凄い勢いで飛んで来る
俺は手をかざす
「特別魔法 アイオワ装甲」
アイオワ級の特殊鋼の装甲307mm、さらに、普通の307mmではなく魔法に対する装甲として…つまりは何倍も装甲は硬くなれる。そんな装甲の硬さに等しいまま薄く透明化して、バリアとして機能する。
剣は少し速度を保ちバリアを傷つけるが、地面に落ちる。
「なっ…!?神電龍の外殻を貫通するほど強力なのに…!」
すると、アイトラーはいつものように手加減する様子は無く自分の魔法杖を召喚して、その先をこちらへ向ける
「攻撃魔法」
…水の騎槍の魔法か?
あれくらいなら傷つけることも出来な…
「水破壊爆発」
……
…はい?
カッ!
ドガアアアッ!!!!
「広場の修理費4万エル、きっちり払ってくださいね???」
役場の職員に請求される。
いちおう3万エルを稼ぐ事は出来たが…半分以上取られてしまった…
爆発でアイオワ装甲は焼け焦げ、100レベルの魔法くらいしか防げなくなってしまった…まあ、修復魔法すればいいけど…
爆発直後
「おいマジかッ…!」
貫通した爆風に吹き飛ばされかける
「無時間移動ッ!」
「アイトラーちゃん!やりすぎやりすぎ!街吹き飛ぶって!あとスカート!」
アガートが止める
アイトラーは正気に戻って爆発を止める
「ち…ちょっとやり過ぎたかも…」
爆発が止まると、目の前は黒焦げだった
「…あれ、でも…」
そこには誰も居なかった。痕跡も。
「水破壊爆発」は水属性と火属性、両方を扱える人にのみ使える魔法で、水魔法ではトップの破壊力を誇る魔法。
下手すると火山噴火より威力がある。
大量の水を最大火力の火で爆発させる、いわゆる水素爆発。
魔力値が200ほど無いと使えない。
ちなみに俺は使える。(プライド)
学校に帰ると、校門は修復中で、そこを1人で通過する。
すると、偶然アイトラーとアガートに遭遇する。「お疲れ様」と言うと、2人は興奮しながら話をする。
2人の攻撃をモロともしない謎の三人担いだフルブラックのマスク男が居たと。
「(俺…)」
そう思いながら、校舎に戻る。
「まあ、お疲れ様…そうだ」
2人は「?」みたいな顔でこちらを見る
「大変だっただろ、今日は給料と臨時収入入ったしちょっといい飯屋行くか」
2人は顔を見合せ、その後にキラキラした目で頷く
行き際、俺は何歩か先を行く2人の偉大な背中を見て、思わず呟く
「…成長…したな…」
「ん?先生なんか言いました?」
アイトラーが聞くが、なんでも無いと言うと、また先を行く。
今思えば、あんな平和の為の戦いなど、地獄の他に無かったと思う。
「…ん?なんか忘れてる気が…」
「そうだっけ?」