テラーノベル
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月曜日。
朝の教室。
いつもと少し違った。
「なあ、聞いた?」
「何?」
「天城ってさ……」
男子たちが小声で話している。
星羅は席に座りながら。
その会話を聞いていた。
「……」
嫌な予感。
すると。
「星羅」
玲が近づいてくる。
「おはよう」
「……おはよう」
「どうした?」
「ううん」
星羅は笑う。
「何でもないよ」
その直後。
「天城さん!」
女子生徒が駆け寄ってきた。
「土曜日、彼氏といたって本当?」
「……!」
教室が一瞬静かになる。
「え?」
「駅前で見たって子がいて」
「……」
星羅は少し困った顔をする。
「うん」
「やっぱり!」
教室がざわつく。
「誰?」
「同じ学校?」
「もしかして――」
視線が玲へ集まる。
「……」
玲は黙っている。
星羅は。
玲の袖をそっと掴んだ。
「……私の彼氏」
教室が静まり返る。
「えええ!?」
「マジ!?」
「いつから!?」
「誰なの!?」
質問が一気に飛んでくる。
星羅は苦笑する。
「最近だよ」
「相手って黒瀬?」
「……うん」
再び。
「ええええ!?」
大騒ぎ。
玲は少し困った顔をする。
「……」
星羅は玲の腕に寄り添う。
「嫌だった?」
「別に」
「よかった……」
そのとき。
男子の一人が言った。
「でもさ」
「?」
「天城って、星乃セラにめちゃくちゃ似てない?」
空気が変わる。
「……」
星羅の表情が止まる。
「確かに」
「声も似てるよな」
「いや、まさか」
「でも、髪型とか雰囲気とか……」
星羅の手が震える。
玲はすぐに気づいた。
「星羅」
「……」
「大丈夫」
玲が小さく言う。
「俺がいる」
「……!」
その言葉だけで。
星羅の呼吸が少し落ち着く。
「うん……」
しかし。
噂は止まらなかった。
昼休み。
SNSには。
『うちの学校に星乃セラにそっくりな子いる』
『天城星羅って子』
『もしかして本人じゃね?』
そんな投稿が出始めていた。
「……」
星羅はスマホを握る。
怖い。
これ以上広がったら。
学校にいられなくなるかもしれない。
配信活動にも影響が出る。
そして。
玲にも。
「……玲くん」
「ん?」
「もし私が学校にいられなくなったら」
「……」
「どうする?」
「一緒に考える」
「……」
「一人で抱えるな」
星羅の目に涙が浮かぶ。
「……うん」
放課後。
二人は人の少ない階段にいた。
「ごめんね」
「何が?」
「私のせいで」
「星羅のせいじゃない」
「でも……」
「俺は気にしてない」
「……」
玲は星羅を見る。
「セラだってことも」
「……」
「俺たちが付き合ってることも」
「……」
「俺は何も変わらない」
星羅の目から涙が落ちる。
「……玲くん」
「ん?」
「好き」
「……」
「大好き」
星羅は玲の胸に顔を埋める。
「ありがとう……」
玲は少し迷って。
星羅の頭に手を置く。
「大丈夫」
その一言で。
星羅は安心する。
でも。
同時に。
胸の奥に別の感情が生まれていた。
――玲くんは私を守ってくれる。
――私の味方。
――だったら。
私も玲くんを守りたい。
誰からも。
何からも。
「……」
星羅は顔を上げる。
「玲くん」
「ん?」
「私、絶対に玲くんを幸せにするね」
「ああ」
「だから……」
星羅は微笑む。
「玲くんも、私だけを見ててね?」
「……」
玲は少しだけ驚く。
でも。
「分かった」
そう答えた。
「……!」
星羅は嬉しそうに笑う。
その夜。
星羅の配信。
『今日は、ちょっとだけお休みします』
普段なら明るく話す時間。
けれど。
今日は違った。
『みんなに言いたいことがあるの』
コメントが流れる。
『どうしたの?』
『大丈夫?』
星羅は笑う。
『私には、大切な人がいます』
一瞬。
コメント欄が止まる。
『その人は』
星羅は静かに続ける。
『私がどんな人でも、変わらずそばにいてくれる人です』
そして。
『だから、私もその人を絶対に大切にしたい』
配信を終える。
画面が暗くなる。
星羅はスマホを置く。
「……」
玲からメッセージ。
『大丈夫だった?』
星羅は笑う。
『うん』
『玲くんがいるから』
送信。
少し考える。
そして。
『大好き』
送信。
返信。
『俺も』
星羅は胸を押さえる。
「……幸せ」
でも。
SNSを開くと。
まだ噂は続いていた。
『星乃セラ説』
『天城星羅って子、本人じゃない?』
「……」
星羅の表情が変わる。
そして。
スマホを閉じる。
「……大丈夫」
誰にも渡さない。
玲も。
自分の居場所も。
自分の秘密も。
全部。
――私が守る。
その決意は。
もう「恋する少女」のものではなくなり始めていた。
#恋愛
まり
40
奇蹟あい
1,760
#一次創作
コメント
1件
ああ、良い回だった……。星羅が「私だけを見ててね?」って言った瞬間、ゾクッとしたよ。守られる側から守る側へ、彼女の内面が確かに変わっていくのが伝わってきた。玲くんの「俺がいる」「一緒に考える」という言葉も、飾り気がなくて誠実で、すごく沁みた。教室の噂の広がり方やSNSの流れもリアルで、現実の重みと二人の絆の対比が効いてた。この先、星羅が「全部守る」と決意した先に何が待ってるのか、続きがすごく気になる。