テラーノベル
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イギリス「……フランス、ちゃんと、敬意は払ってくださいね。私の両親、少し……癖があるので」
フランス「わかってるって。大丈夫だよ、ちゃんと“好きな人の親”って気持ちで会うから」
イギリス「……っ、ば、ばか、そういうのは、言わなくていいです!」
玄関のベルを鳴らすと、思ったよりすぐに扉が開いた。
イングランド「ようこそ!おやおや、イギリス、今日はご機嫌斜めか?ほほ、青春だな」
スコットランド「いらっしゃい。あら、あなたが噂の……素敵な方ね。イギリスにはもったいないくらい」
イギリス「……母さん、余計なこと言わなくていいです」
フランス「あ、あの……初めまして。フランスと申します。今日は、お時間をいただきありがとうございます」
イングランド「おぉ、見目麗しい青年ではないか!やあやあ、我が家へようこそ!……ふむ、紅茶は飲めるかな?」
スコットランド「ほらもう、座って座って。お菓子も焼いてあるの。ふたりとも遠慮せずにね」
(……妙に緊張する。特に父親の目が……いや、光の加減か)
イギリス「その……今日は報告があって、来たんです。私と、フランスは……」
フランス「……付き合っています。真剣に、お互いを想い合って」
イングランド「……ふむ……なるほどなるほど。いやぁ、若者の情熱というやつか。だが、イギリス、これは重大な話だぞ。未来を左右するほどの……」
スコットランド「私は素敵だと思うけどねぇ。イギリスがこんなに穏やかな顔してるの、久しぶりに見たわ」
イギリス「母さん、余計なこと言わないでください!」
フランス「……でも、そう言ってもらえて、嬉しいです。イギリスは、僕にとって特別な人なので。ずっと一緒にいたいと思ってます」
イングランド「……むむ。なんとも直球な愛の告白!ううむ、悔しいが……若い者に負けたか」
スコットランド「ふふ。あなたたち、似てるわね。あの人と私が若かった頃にそっくり」
イギリス「似てません!」
フランス「似てないよ。だって僕らは、こっちのほうが幸せでしょ?」
イギリス「…………っ」
(……ずるい。ほんと、ずるい奴だ)
イングランド「……まあ、イギリスが選んだ相手なら、信用してやろう。なにせ我が息子、見る目はある……はずだからな?」
スコットランド「ふたりとも、これからも仲良くね。何かあったら、いつでも帰っておいで」
フランス「ありがとうございます。……本当に、ありがとうございます」
イギリス「……っ、今日はもう、十分でしょう……さっさと帰りますよ、フランス」
フランス「はいはい。……また来てもいい?」
スコットランド「もちろん!」
イングランド「今度は紅茶を一緒に飲もうじゃないか!」
イギリス「……勘弁してください……」
(でも――どこか心があたたかかった)
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