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何の前触れも無く。 いや……あったのかもしれない。 それでも小学生の時の僕はそんな事には一切気が付かず、数秒後に辺り一面を真っ赤に染めた元凶を。 その爆弾を。 それこそ嵐の前の静けさと言わんばかりに、微笑みすら浮かべて眺めていた。 今になって思えばあのスイカ……確かに怪しかったかもしれない。
大きさだってやたらと大きかった。 サイズで言えばボンバーマンが使うソレと同じくらいのサイズはあった……気がする。 色だってそうだ! 真っ黒で、スイカ特有のギザギザのシマシマも無かった。 そもそも、ベランダに放置されていたのもおかしかった。 丸のままじゃ冷蔵庫に入らないにしろ、切り分ければ入ったハズだ。
しかも、それまで何回もベランダに出る事があったのにも関わらず、スイカの存在に気付いたのが爆発したあの日だけだったのもおかしい……。
もしや、あのスイカ爆弾は加賀家に向けて仕掛けられた爆弾テロだったのでは……。
もっと言えばあの時間。 8月の……真っ昼間。 母親は仕事で出掛けて家にはいなかったし、小学生の僕は夏休みの昼食時……もちろん家にいる。 まさか……狙われたのは、僕。
そう考えれば辻褄が合う……気がする。 スイカの爆発でケガこそ負わなかったものの、飛び散ってリビングを真っ赤に汚したスイカのカスや破片をキレイに掃除する羽目になったし、仕事から帰ってきた母親にはスイカが勝手に爆発したなんて事は信じてもらえずに、『食べ物で遊ぶな!』とこっぴどく叱られて大変だった。
スイカの爆発直後、真っ赤に汚れたリビングはさながら殺人現場か事故現場で、あまりの衝撃的な出来事に語彙力を失った僕の脳みそは、間抜け丸出しにこんな言葉をただ浮かべていた。
……殺人現場と言えばこんな事もあった。
スイカ爆発事件から数年後。 高校生になっていた僕は、好きな子をデートに誘って告白する計画を立てていた。 一緒に映画を見たり、買い物したり。 その後、景色の綺麗な場所に行って告白かなぁ。 なんて高校生らしくドキドキわくわくムクムクしてたんだけど……。 当日、待ち合わせ場所で殺人事件が起きて全てが台無しになってしまった。
他にも、御利益があると噂の神社でおみくじを引けば、何も書いてない白紙を引いてしまったり。 コンビニでプリンを買えばスプーンは絶対に入ってない。もちろん入れてくれとも言うし、入れた所を確認しても、家に帰って袋から出してみればあら不思議。スプーンは消えている。 それどころか、プリンがおにぎりに変わっている事だってあった。 まったく! 今考えてみれば、昔から本当に運が無いなぁ……。
─── って違う! そうじゃない!
いや、実際にあった出来事だから違くも無ければ、そうじゃなくも無いんだけど……。 そんな事を考えている時でも、場合でも、どちらでも……無い!!
辺り一面血だらけだ……それも、僕の血で! 車に轢かれて、車は……逃げた。 只今、絶賛轢き逃げられ中。
絶体絶命? あれ? 絶対絶命? 何これ、超怖い。 いち生命として命の危険を覚える程に怖い。 いや、まさに今が命の危機的状況なんだけど……。 やばい、今更パニックになってきた。 でも、体は動かないし。
何これ、超怖い。 いち生命として命の危険を覚える程に怖い。 ……って違う! そうじゃない! いや、違くは無いんだけど。 ってダメだ、繰り返してる。
もう……。