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驚愕の部屋

12 - 記憶を呼ぶ声

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2025年06月12日

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「……志乃さんは、どうして編集の仕事を?」

それは打ち合わせが終わって、ふたりきりになった廊下でのこと。

窓際に差し込む夕陽が、彼女の横顔を淡く照らしていた。

志乃は少し考え、遠い記憶を撫でるように言った。

「……子どものころから“消えていくもの”に敏感だったんです。

記憶とか、言葉とか……誰にも気づかれずに、消えるものに」

彼女の声は静かだった。けれど、圭吾の中に何かが波打つ。

まるで――

自分の存在が、その言葉で“見つけられた”ような気がした。

「先生の作品も、そうですよね」

「“消えてしまいそうなもの”に、触れようとしている」

その言葉に、圭吾はドキリとした。

今まで多くの編集者に会ってきた。でも、ここまで核心を突いた人はいない。

「……あなた、俺のことを知ってるみたいですね」

「そうかもしれません」

志乃は微笑んだ。けれど、どこか寂しげに見えた。

その瞳に――確かに、あの夏の夜に見た瞳が重なった。


数日後、志乃から1本のメッセージが届いた。

【夜分すみません。

デビュー作『月の隣にいたひと』、今さらながら読み返しました。

……泣いてしまって、何と伝えたらいいかわかりません。】

圭吾はそれを読んだ瞬間、何も言えなくなった。

その作品は、影の圭吾が書かせた最初の物語だったからだ。

内容は――

“自分という存在が、誰にも気づかれず月の隣でずっと浮かんでいる”

という、孤独な少年の話。

志乃がそれを読んで泣いた。

つまり、彼女は“あの少年”の存在を、覚えているのだ。

その夜、圭吾の中で、影の声がはっきりと聞こえた。

《彼女、ほんとうに僕を見てたんだね》

圭吾は息を呑んだ。

それは、ただの記憶の残像ではなかった。

――影の圭吾が、今も彼の中で生きている証だった。

そして、声は続けた。

《お願い、また会って。彼女に、ちゃんと話してほしい》

その声には、焦りがにじんでいた。

まるで、消えてしまう前の最後のチャンスを訴えているように。


翌日、圭吾は志乃に言った。

「……次の打ち合わせ、よければ場所を変えませんか?」

「どこか、決まってますか?」

「……実家です。あなたに、どうしても見てほしいものがある」

志乃は一瞬驚いたが、頷いた。

ふたりは“鏡のある家”へと向かう。

影の記憶と、揺れはじめた恋心を抱いて――。


ちなみにですね!!お師匠様(推し様)から頂いたリクエストはですね!!「恋愛系・ミステリアス系」だったので、恋愛系に挑戦してみたいと思います!!あんま、恋愛とかしたことないんでね、、挑戦魂ですが!!!

下手くそだったら教えて!!参考にするから!(-д☆)キラッ!!ってことで!!!お次は後編です!!

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