テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
仁人side
柔太朗の勢いはすごかった。
俺が自販機に飲み物を買いに行こうとすると、
柔太朗「仁ちゃん、俺が行ってくるから座ってていいよ。いつものコーヒーでしょ?」
仁人「う、うん。ありがと……」
他にも
柔太朗「仁ちゃん、本番お疲れ様!良かったよ」
仁人「……そう?ありがとう」
こんな調子で、何かと俺のそばに来ては話しかけてくる。
……なんなんだよ、こいつ。
なんで今になって、そんなに優しくするんだよ。
嬉しくないわけじゃない。
むしろ、ずっと欲しかった言葉や行動ばかりだ。
でも、だからこそ困る。
今さら期待してしまいそうになる自分が嫌だった。
そんなことを一人で悶々と考えていると柔太朗が俺の前にやってきた。
柔太朗「仁ちゃんちょっといい?話したいことがある」
仁人「分かった……」
帰るまでにはまだ少し時間があったため、俺は小さく頷いた。
すると柔太朗は俺の手を取って、人気のない階段へと連れていった。
仁人「……柔太朗、話ってなに?」
少し気まずい。
柔太朗「昨日の話、」
……やっぱりそうだよな。
そう思った次の瞬間、
柔太朗「仁人、俺にもう一度チャンスをください」
仁人「……え?」
柔太朗「俺、まだ仁ちゃんが好きだ。俺が仁ちゃんにしたことは、許されないことだって分かってる」
「だけど、俺……仁ちゃんと別れたくないよ」
柔太朗の声は少し震えていた。
今にも泣き出してしまいそうな顔で真っ直ぐ俺を見つめている。
……ずるいよ。
そんな顔されたら、何も言えなくなるじゃん。
俺だって、まだ柔太朗のことが好きだ。
でも、一度傷ついた心をもう一度信じるのは簡単じゃない。
また同じことが起きたら?
またあのときみたいに一人で苦しむことになったら?
そう考えるとどうしても答えを出せなかった。
仁人「……少し考えさせてほしい」
それだけ伝えると俺は柔太朗の顔を見ないままその場を離れた。
楽屋に戻るとそこには勇斗しかいなかった。
どうやら太智と舜太は先に帰ったらしい。
勇斗「仁人」
仁人「ん?」
勇斗「柔太朗と何があったかは分かんないけどさ、最後に一回だけ柔太朗のこと信じてやってくれない?」
仁人「……え?」
まさか勇斗からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。
勇斗「最近の二人を見てたらさ柔太朗が冷たくしてるのも分かったし仁人が苦しそうなのも分かった」
「でもさ、運命の人とは一回は別れるって言うじゃん?……どう?もう一度信じてみてもいいんじゃない?」
仁人「……まだ俺には分かんない」
「でも、勇斗がそう言うなら前向きに考えてみる」
勇斗「うん」
勇斗は少し安心したように笑った。
勇斗「さーて、俺たちも帰るか!」
仁人「うん(笑)」
勇斗は荷物を持って先に楽屋を出ていった。
俺もその後を追うように楽屋を後にした。
もう一度信じてもいいのかな。
……柔太朗。
────────────────────────
#snjn
のりもちさん
11,760
み!
2,208
柔太朗side
俺はできる限り仁ちゃんのそばにいるようにした。
今までの俺ならきっとこんなことはしなかった。
仁ちゃんが何をしているのか気にかけたり飲み物を買ってきたり何気ない会話をしたり。
そんな当たり前のことすら最近の俺はできていなかった。
だからこそ今は少しでも仁ちゃんに伝えたかった。
俺がまだ仁ちゃんを好きだってことを。
本番も無事に終わりメンバーがそれぞれ帰る準備を始めていた。
俺は仁ちゃんの元へ向かい
柔太朗「仁ちゃんちょっといい?話したいことがある」
仁人「分かった……」
少し考えたあと、仁ちゃんはそう答えてくれた。
俺は仁ちゃんの手を取り人気のない階段へと向かった。
仁人「……柔太朗、話ってなに?」
仁ちゃんは少し居心地が悪そうにしている。
そりゃそうだよな。
俺たちは昨日別れたばかりなんだから。
柔太朗「昨日の話、」
一度ゆっくり息を吸う。
ちゃんと伝えなきゃ。
柔太朗「仁人俺にもう一度チャンスをください」
仁人「……え?」
俺は仁ちゃんの目を真っ直ぐに見つめた。
柔太朗「俺まだ仁ちゃんが好きだ。俺が仁ちゃんにしたことは許されないことだって分かってる」
「だけど俺……仁ちゃんと別れたくないよ」
言葉にすればするほど、胸が苦しくなる。
本当はもっと伝えたいことがある。
今までのことを謝りたいしこれからどうしたいのかも話したい。
でも、今の俺にできるのはただ自分の気持ちを伝えることだけだった。
仁ちゃんの目を見ていると今にも泣いてしまいそうになる。
すると、
仁人「……少し、考えさせてほしい」
仁ちゃんは静かにそう言うと俺から目を逸らしその場を離れていった。
引き止めたい気持ちをぐっと堪える。
今はこれ以上困らせちゃいけない。
俺が傷つけたんだから今度は俺が待つ番だ。
仁ちゃんの背中が見えなくなるまで俺はその場から動けなかった。
……仁ちゃん。
俺、絶対に諦めないからな。
今度こそちゃんと仁ちゃんを大切にするから
コメント
1件
うわっ…第6話、切なすぎるだろ…! 仁人が「考えさせてほしい」って言ったときの“ずるいよ”って心情、めちゃくちゃ分かるわ。 傷ついた側が「まだ好き」って認めるのがどれだけ怖いか、すごく伝わってきた。 柔太朗sideも良かった。待つ側に回ったの、ちゃんと成長してる…。 勇斗のフォローも効いてたし、次どうなるか気になる🔥