テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
仁人side
家に帰った俺は、部屋の電気もつけないまま、ソファに座り込んだ。
頭の中に浮かぶのは、今日の柔太朗の言葉ばかり。
『仁人、俺にもう一度チャンスをください』
……本当に、柔太朗のことを信じてもいいのかな。
もしかしたら、また以前と同じような態度を取られるかもしれない。
また傷ついて、苦しむことになるかもしれない。
勇斗は「もう一度信じてみよう」と背中を押してくれた。
俺だって、本当はそうしたい。
でも、怖かった。
一度壊れてしまったものを、もう一度信じるのは簡単じゃない。
それでも、心の奥深くにしまい込んでいたはずの気持ちが、少しずつ溢れ出してくる。
柔太朗が好き。
まだ一緒にいたい。
本当は、もう一度隣で笑っていたい。
……やっぱり、俺はまだ柔太朗が好きなんだ。
俺はスマホを手に取り、メッセージアプリを開いた。
しばらく画面を見つめたあと、意を決して文字を打ち込む。
仁人『柔太朗、今日話してくれたことだけど、最後に一回だけ柔太朗を信じる。でも、また同じようなことがあったら、その時点で俺たちは終わりだから』
送信ボタンを押すと、すぐに既読がついた。
そして、間もなく返信が届く。
柔太朗『ありがとう仁ちゃん。俺、絶対に仁ちゃんを傷つけない。ちゃんと守るよ』
そのメッセージを何度か読み返す。
本当に、これでよかったのかな。
……いや、もう決めたんだ。
俺はスマホの電源を切り、ソファの背もたれに身体を預けた。
最後だからね、柔太朗。
今度こそ、信じさせてよ。
……信じてるよ。
────────────────────────
柔太朗side
仁ちゃんと別れたあと、俺もそのまま会場を出て家に帰った。
家に着いてからも、頭の中は仁ちゃんのことでいっぱいだった。
仁ちゃんは、もう一度チャンスをくれるだろうか。
俺の言葉を信じてくれるだろうか。
今日の、驚いたような、それでいてどこか苦しそうな仁ちゃんの顔が何度も頭に浮かぶ。
あんな顔をさせたのは、全部俺だ。
もっと早く気づいていれば。
もっとちゃんと向き合っていれば。
今さら後悔したって遅いのに、考えずにはいられなかった。
俺にできるのは、ただ願うことだけ。
そんなことを考えていると、手元のスマホが震えた。
画面を見ると、仁ちゃんからメッセージが届いていた。
……え?
俺は慌ててメッセージを開く。
仁人『柔太朗、今日話してくれたことだけど、最後に一回だけ柔太朗を信じる。でも、また同じようなことがあったら、その時点で俺たちは終わりだから』
……っ!
仁ちゃんが、もう一度チャンスをくれた。
たった一度だけ。
それでも、俺にとっては何よりも嬉しい言葉だった。
このチャンスを、絶対に無駄にはしない。
今度こそ、ちゃんと仁ちゃんと向き合う。
俺はすぐに返信を打ち込んだ。
柔太朗『ありがとう仁ちゃん。俺、絶対に仁ちゃんを傷つけない。ちゃんと守るよ』
送信して、スマホを胸元に置く。
ようやく、もう一度仁ちゃんの隣に立つチャンスをもらえた。
でも、これで元通りになったわけじゃない。
ここからが本当のスタートだ。
一度失った信用を取り戻すのは、簡単なことじゃないと思う。
それでも、何度だって伝えていく。
俺がどれだけ仁ちゃんを好きなのか。
どれだけ大切に思っているのか。
そして、今度こそ幸せにする。
待っててね、仁ちゃん。
もう二度と、あんな思いはさせないから。
み!
2,208
#ご本人様には関係ありません
コメント
1件
ああもう、仁人の「最後に一回だけ」って決意、すごく身につまされました……。一度壊れた信頼をまた積み直そうとする怖さと、それでも好きだって気持ちが勝つ切なさが、ソファに座り込む仕草からひしひし伝わってきました。柔太朗が「ここからがスタート」って自覚してるところも良くて、軽い再会話で終わらせない覚悟を感じました。続きがすごく気になります!