テラーノベル
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【死んでしまった!】
まるで手を伸ばせば吸い込まれていきそうなネオン輝く街並み。
ひんやりとした風が私の頬を撫でるかのように透き通る。もう少し着込んでくるべきだっただろうか?いやもういいか。
私の目から宝石を彷彿させる物が溢れ落ちる。
別に悲しい訳でもないし、嬉しい訳でもない。
いや少しばかり嬉しいかもしれない。ようやくこの世界から、重力から解放されるのだ。
嫌な事があった訳でも、特別な事があった訳でも無いが、ただ漠然とした未来への不安が尽きぬまま勢いに任せ屋上へと来てしまった。
屋上からみた地上は本当に綺麗だ。この電気の発電によって地球は破壊されていく。しかしそんなことはどうでもいいように感じるほどに美しく感じた。
その一方で私のせいで汚くなってしまうのではという思いもあったが、このまま二酸化炭素などを排出するよりかはマシなのかもしれない。
「日本!待て、落ち着け!誰もそんなことは望まない!お前が生きなきゃ──」
ふと声が聞こえたので後ろを振り向く。
…嗚呼、また貴方は私を邪魔するつもりなのか?
いや、すまない。貴方にそんなつもりは無いことは分かっていた。ただ何かにあたりたかっただけなんだ。
アメリカさん。貴方という国は本当に純粋だ。
純粋だからこそ傷つけることもある。そのことを貴方は理解していない。あなたの綺麗事は人を傷つけるだよ。そんな綺麗事をいうくらいならばせめて同情でもしてくれないかな。
私は静かにアメリカさんの方に顔を向け、安っぽい微笑みでその場を取り繕う。
「アメリカさん、安心してください。私は死ぬつもりなんかないですよ。ただ街を眺めていただけだ。」
嘘だ。私は死ぬつもりしかない。だってこの世界は地獄のような苦痛の連鎖ばかりで、辛いから。
「嘘だ。俺にはわかるよ…」
たかだか200年ちょっとの国が私について何を理解しているというのか?はは。笑わせるのがお上手なことで。
「アメリカさん、本当のことですよ。私をあまり困らせないでください……」
ちょっと困惑した声色でアメリカさんにまた嘘をつく
「…ごめん。」
少しばかり残っていた良心が傷ついたが、その良心はあまりにも小さかったせいであまり私には影響が無かった。
「じゃあ日本、部屋に戻ろう…」
アメリカさんは私に部屋へと戻るように促す。
私は部屋にもう戻る気は無い。
差し出してきた手に平手打ちを決め、私は階段を降りていく。
アメリカさんはどうやらその行動に困惑した様子で、ハイタッチされたのか、それとも断られたかの区別が付いていなかったようだ。
私は勢いよく階段を降りる。
アメリカさんは私を追いかけるようにして降りようとした。が、その瞬間つまづいた。
「あ。」
さすがの超大国でも頭から落ちれば命に関わるだろう。私は心配する素振りを見せながらアメリカさんのもとへと向かったが、どうやらその必要はなかったようだ。
頭から血を流していた。当たり所が悪かったようだ。
私はふとアニメのセリフを思い出す。しかし今は関係ないな。
考え事をしているうちにすっかりとアメリカの微かに残っていた鼓動は消え失せ心肺が停止してしまったようだ。ところで国に心肺などあるのか?
私は少しばかりの笑い混じりに声をアメリカだったものにかける「死んでしまった!」
そうして私も再び屋上へと戻るのにアメリカを踏みつけて行った。
運がいいのか悪いのかはわからないがアメリカの死体で足を滑らせて転落死などはなかった
そして私もフェンスをよじ登り空が反対になるのを感じた。地面が真上にある。変な気分だ。
そして───
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