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Side zm
「んっ…」
目を覚ます。頭痛も、吐き気も、身体の痛さもない朝は久しぶりで、起き上がることが、嫌になってしまう。
意識が、しっかりしてきたぐらいで気づく。横をみるとショッピがいてしかも俺に抱きついているのだ。
俺の身体に顔を擦り付け眠るショッピは、いつもの感じとは違い、子供らしくかわいいかった。
「しょっぴい?」
ゆさゆさとショッピを起こそうとするが、起きる気配どころか離れる気配すらしない。
「ふふっ」
ショッピの頭を優しく撫でる。髪の毛はもふもふして、猫みたいだ。起きないショッピを見つめる。心の裏が熱くなって仕方がない。こういうとき普通だったら。ショッピに顔を近づける。
「…。」絶好のチャンスなのに、これ以上近づこうとしない自分がいる。
「また今度やな。」
頭をもう一度撫でる。この時間が幸せというのだろうか。
わからない。
ただこの気持ちは、きっと。
見つめていたショッピのまぶたが微かに動き、ゆっくり目を開く。「おはよ。ショッピ。」「んっ。あっ」
今になって抱きついていたのに気づいたのか、ショッピは顔を赤くする。
「あっ、えと、すいません。」
そのショッピは可愛くて、いつもは、見れない表情だった。
「ええで。別に。」
そんなショッピに欲情してしまいそうになる。だから急いで顔をそらした 。
「ゾムさん?」「下降りようか。」
熱を持ったような身体は、外の気温より熱い。たぶん。
鏡を見つめる。
寝癖のついた髪を直しながら自分の顔を見ていた。自分に喝をいれる。弱くてめんどくさいゾムはもうここにはいない。
何事にも強くあるべき。
大丈夫大丈夫。きっときっと大丈夫なのだから。
「ぞむさん。朝ご飯食べますよね。」
「うん。食べる。」「はーい。」
結婚したことないから解像度は低いが、この会話は夫婦みたいだ。
「結婚するか。」
「何いってんですか。」
たまたま洗面所に来ていたショッピに聞かれてしまっていたようで恥ずかしい。
「朝ごはん食べますよ。」「…はーい。」
制服を着て最後に全身をチェックして家を出る。
「一緒に家を出るって新鮮ですね。」
「そうやな〜。こっちほうが楽やなぁ。」
ショッピといつもどおり歩き出す。
生暖かい風がふく。
「ゾムさん。そういえば、今日は一緒に帰れないんですけど、うちに泊まりに来ても…というか来てほしいです。」たどたどしく最初の目的を忘れてしまうような言葉の並びは、自然と微笑んでしまう。
「ショッピと話したかってんけどな…。しゃあないか、じゃあ今日も家行かせてもらうわ。」
優しさに浸かり抜け出せない。
ショッピのためなら何でもできるような気持ちになる。
「帰りはとか暗い道は気をつけろよ。」
ただ、乱用はNGである。