「あま、あまの、くるな、はなれろっ……」
胸の鼓動が早くなり、思考に霧がかかったかのように深い思考が不可能となった猿山はΩとしての本能と戦いながらそう言った。体全体が赤く染まり呼吸すらも荒くしながら近寄ってくる天乃を拒否するかのように片手を前に出している。けれど、天乃がコートを渡せばαのフェロモンが十分に染み付いているそれに顔を埋めているため説得力の欠片も無い。
「あぁー、やっば」
「んっ、」
出された手を握りしめた天乃は優しく猿山の頬に触れる。それだけでピクリと体を震わせ、部屋の匂いを1層強くした。
「ほら、ここ濡れてるよ」
天乃からのプレゼントであるグレーのスウェットに出来たシミをなぞると大袈裟と思えるほど大きく体を震わせ、無意識に撒き散らした甘いフェロモンが天乃のラットを誘発させる。
「まってぇ!、うぁ♡、からぁ”ぁ”!!?あまの!やだぁ!」
「絵斗、かいとっていって?きもちいい?」
猿山の言葉は虚しく下着の中まで手を差し込み愛液に塗れた秘部に指を2本差し込む。熱い腸壁を掻き分け肥大化したしこりを指でなぞると甘い声が盛れ出した。普段とは違う甘い声と濃いフェロモンが天乃の理性をち切りに掛かる。
「うあ”ッ♡かいと”っきもちぃ♡、んぅ”」
甘い声ごと飲み込むようにしてキスを落とす。涎が垂れるのも気にせずに熱い口内を堪能していると逃げようするものだからいただけない。後頭部に手を添え、さらに口付けが深くなるように腕の中に閉じ込め唾液を飲ませる。
「ベッド、行こうか」
コクリと喉が動いたのを確認した天乃は軽いリップ音をたてて唇を離し、姫抱きにした猿山をベッドの上で天乃の服が円のようになっているその中心に沈ませる。作り途中だったのだろうか、服達は綺麗に円状になっているわけでは無く、ベッドから落ちそうになっているものや仕分け途中の服達も多く見える。
(邪魔しちゃったかもなー……)
部屋のドアを開けた時、バタバタと大きな物音が聞こえてきたことから巣作りを投げ出し急いで部屋の隅へと隠れたことは想像に容易い。いくらフェロモンの匂いが強いからといって次はいきなり扉を開けないよう心に留めた。
閑話休題、天乃が現在着用している服さえも巣の材料として猿山の顔付近に落とし本格的に猿山を押し倒す。フェロモンでできたのかと錯覚するほど甘い香りがするスウェットの中に手を差し込み、胸の熟した果実を押しつぶすように弄るとビクビクと体を震わせ両の瞳から雫を、紅い舌が覗く口からは媚声をこぼした。
「はー、らだぁ可愛い。ね、これ噛んでいい?チョーカーも抑制剤も飲んでないんだしもう噛んでもいいんだよね?」
空いてる方の手で猿山の項を触る。そこにはΩが普段、着用しているはずのチョーカーの姿は無い。あるのは傷一つ無い髪に隠された白いうなじだけだ。
いやいやと幼子のように首を横にふる猿山に対して天乃は小さくため息を零した。この質問は既に数回行われている。そのどれにも猿山は頷かなかった。
けれど、今回は少し違う。
「らだぁヒートきたんでしょ?これ、欲しいんだよね?」
猿山のヒートに合わせて有給を取り、今回こそはと入念に準備を重ねてきた。ヒートのΩの様子やそれに誘発されて起こるαのラット、そしてΩの孕ませ方すらも。いくら頼み込んでも情に訴えかけても頷かなかった猿山を今回で確実に堕とし番にするため天乃はもう手段を選ばなくなっていた。
天乃が取り出した陰性はさすがαと言わんばかりの代物であった。長さや太さは当然、カリの高さすらもΩを孕ませるための代物だということを猿山に直感させる。そして強大なソレは腹に着くまで勃起し、目の前の非捕食者を貪り食うことを心待ちにしている様子だった。
「凄い濡れてる。あとでちゃんとあげるからね」
「いらない、ほんとにいらないからぁあ”!?」
下着ごとズボンを脱がし、愛液でまみれた秘部に三本の指を差し込む。締めつけを弱めない熱い腸壁の間を細かくなぞるようにして解していると猿山からは媚声が絶え間なく上がりその声には確かな欲が含まれている。
「あ♡うあっ、んあ、だめ、そこっ♡」
「ここ気持ちい?もっと弄ってあげるね」
「やだ、まってむりむりむりい”ぃ”“っ!?♡♡いああ”ぁ”ぁ”!!」
雌堕ちスイッチー通称前立腺ーを2本の指で挟み、変形するほど強く押してやれば猿山は呆気なく陰茎から白濁を漏らした。それでも手を止めるのは愚か、胸の飾りを口に含みもう片方は引っ張るようにして弄ると絶叫にも近い声が耳元で響いた。
「あああぁぁぁぁあああ!!!!♡♡」
猿山の視界はチカチカと白く点滅を繰り返し、陰茎からは力無く白濁を漏らすだけになっている。腸壁が強く締まることからメスイキも繰り返しているのだろと天乃が悟ることは容易い。
「ところてんとメスイキ気持ちいい?そんなんでこれから大丈夫?」
「んぁ、?」
「……挿れるね」
猿山が握りしめていた枕を無慈悲に奪い、腰下に差し込む。紅い腸壁が除く秘部に亀頭をキスさせそのまま挿入れていく。
「かいと、あつい、あついっ!」
0.01ミリと言えどもその差は歴然なのだろう。先程まで握っていた枕の代わりに天乃のコートを抱きしめた猿山は痙攣したように両足を震わせる。
そして、猿山が薄い腹を掴まれたと認識した次の瞬間には猿山の記憶は無くなっていた。
*
「らだぁおはよ。早速だけどこれ飲んで」
猿山の意識が浮上し、最初に言われた言葉がこれだった。天乃の手を借りながら体を立たせ、差し出されたそれを受け取る。
「……な”に”こ”れ”」
喉から発っされた声は完全に枯れているとわかるが、もはや慣れたものなので大人しく渡された錠剤を手に取る。それは赤と白のカプセルで猿山の記憶には無いものだった。
「いいから早く」
「……ん」
怪しみながらもそれを口に入れると対の黄金が猿山の顔まじかに寄せられそのまま唇を塞がれる。舌を差し込まれると同時に何かぬるいものも口の中に入ってきた。無味無臭のそれをカプセルごと喉奥に流し込むと、舌が何かを探るように動いてからようやく外へ出ていった。
「あまの、さっきの何飲ませたの」
「あぁ、あれ?アフターピルだよ。昨日は中に出しちゃったしね。あと、それ気づいてる?」
「…それ?」
水を飲んだことで幾分かマシになった声で返事をする。まさかとは思い首裏を手で撫でてみれば、昨夜時点ではなかった凹凸がしっかりと刻まれている。
「これから、よろしくねらだぁ」
そう言った天乃から渡されたのは黄色の首輪だった。
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