あれ、ここ家から遠回りじゃ
フワ「ぇッ、優斗?!」
ダッ
フワ「、、、優斗のお兄さん?芸能人かと思った」
マユズミ「不破くんだったよね、久しぶり、大きくなったね」
フワ「ア、アザマス、お久しぶりです、ちょっと優斗と、、」
スッ
「ぁ、、」
マユズミ「優斗は今、、悩んでるみたいだから、、」
マユズミ「そっとしてあげて欲しいんだ」
マユズミ「優斗の親友の君だからこそお願いしたい、、、」
マユズミ「優斗を優しく見守ってくれないか?」
フワ「わ、かりました」
「ちょっと待てよ、俺は湊と話を、、」
マユズミ「だめだよ」
マユズミ「家で待ってる不破君のお母さんに心配をかけてしまうから」
マユズミ「今日はここまでね」
フワ「、、、はい」
フワ「じゃあな、優斗」
兄が椎名灰から黛灰になった日
俺は小4で母は兄を父は俺を引き取った
俺は嬉しかった
父は兄の話をしなくなり
自分だけの部屋もできた
でも
そんな時間も長くは続かなかった
兄が家に呼ばれるようになり
父の口癖は 「兄の方ができた」になった
それでも部活に入り友達と過ごしていれば忘れられた
それに俺には一つ目標があった
兄は大抵のスポーツで賞を取っていたが
陸上の大会は欠席したため持っていなかった
あいつを唯一超せる希望に見えた
それから6年間毎日
毎日
毎日
練習した
そして先日兄が
大学の陸上男子400m走で優勝した
俺の出場を予定していた種目でもあった
希望は絶望で終わった
ピピピピピ
そっか
もう朝練ないし早く起きなくてもいいんだ
、、、食欲ねぇ
マユズミ「あれ?部活ないのにもう出るの?」
マユズミ「あと帰るころ雨降るみたいだから傘持って行きなよ」
ギロッ
バタンッ
朝からあいつに会うなんて最悪だ、、
しかも嫌味まで
、、あれ、部活辞めたことあいつに話したっけ
父さんは大会を見に来てくれたこともないぐらい関心がない人だ
気がついてるわけない
誰に聞いた?
誰に?
昨日は頭がこんがらがって
それどころじゃなかったけど
思い返せば不自然な点がいくつもある
俺はあいつに湊の事を話してない
兄の記憶力は並外れているから
数年前に一度聞いた近所の子供の名前を覚えていてもおかしくはない
けどあいつはなんて言った?
『優斗の親友の君だからこそ』?
ろくに会ってもない俺の交友関係を知っているような言い方じゃないか?
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