『たのしかったな! みかみ!!』
『うん!』
『じゃ、かえろうぜー! はらへってよー』
『さきかえってて。わすれものしたから』
『おう! じゃあな!』
そういって別れたふりをして、俺は……
「双子神!」
静かだ。何度でも呼んでやる!!
「出てこい双子神! 三上を返せ!!」
ふいに、脳裏に参拝がよぎった。
「ありがとな! 双子神!!」
俺は自然と誰かと手を繋いでいる気になっていた。その感覚があまりにも本当のようで俺は最初三上が側にいて、何もかも夢だったんじゃないかとさへ思った。でも、俺は無数の手を今度は振り払った! 振り払いながら 神社の回りを三回まわり参拝を終えた俺は双子神に向かって叫んだ!
「思い出したぞ! 双子神!! 俺がばかだった!! 悪い! 三上を返してくれ!!!」
「ばかが! 何やってんだよ!!」
「三上!」
そこにいたのは三上だった。泣いてる……大丈夫か? 三上!
「ありがと! 助けてくれて!!」
俺は泣いていた。良かった! 本当に良かった!!
「ほら、双子神様も許してくれてるんだから! 謝りなよ、ちゃんと!!」
「すみませーん!!!」
笑っていたような気がした。見えなかったけど、それでも三上は帰ってきてくれた。
「じゃ、帰ろうか! あ、そうだ!!」
「俺も、今度は帰らない」
「じゃ、二人で最後にお参りして帰ろうか!」
「ああ!」
手を繋いだら決して別れない。それがこの神社のご利益。ただそれだけ。ありがとな! 双子神!! 許してくれて!!!
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