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あれから4日が経った。

今日は以前書いて覚えた楽譜の回収日だ。恵奈々はカバンから楽譜ノートを取り出した。書けるものは全て書き切った。あとは教師の検閲を受けて、合格するだけだ。そう、思っていた。

「あの…、どうでしたか?」

恵奈々の心の中の半分は期待で満たされているが、もう半分は不安で満たされていた。そんな複雑な気持ちを胸に、教師からの返答を待つ。

「駄目だ。もう一度考え直してきなさい」

「え…。どうしてですか?」

半ば泣きそうな気持ちで聞き返す。

「まず、ライブとしてこんな訳の分からない歌詞は無いだろ。それに、曲の流れが滅茶苦茶で伴奏を弾く身の立場にもなってみろ」

そう。この教師はとにかく自分勝手で、生徒や他の教師などの行動に対してはとてつもなく厳しいが、自分自身と彼の妻、子供たちだけにはこれでもかって言うほど甘ったるいクソ教師だって事を恵奈々はすっかり忘れてた。

どうしてよりによって…。

「分かりました…。」

恵奈々ほぼほぼ半泣きの状態で教室を出て行った。


数日後。恵奈々は再び、教師の所へ向かった。今回のはちゃんとまともな歌詞を書いたから、今度こそ許可が下りるだろうと思っていた。

その予感は的中して、恵奈々はやっとその曲を披露するのが楽しみになってきた。

時は過ぎ、放課後。

「あれ?無いっ!」

あの作詞ノートが消えて無くなってしまったのだ。最後は確か…、机の中にしまってたはず。まさか…。

「李音ちゃんじゃないよね…。」

あの時、李音が恵奈々を推薦した時、彼女は少し意地悪そうな顔をしていたのだ。それにも気づかず、恵奈々は今まで彼女とは唯一の友達だと思って、彼女がいつものように応援してくれていると感じて、ライブの主役になる決意を固めたのだ。だから、彼女がそんなことをするとなど、思ってもいなかった。恵奈々は慌てて学校を出て、李音の家に向かった。なのにそれは、恵奈々だけが感じているちょっとした誤解と被害妄想に過ぎなかった。

この気持ち、この歌に乗せて

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