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「私のノート…、まさか盗んだの?」

恵奈々は思わず口を開いていた。私のノートが、李音の机の上に置いてあったからだ。正直、私は彼女を疑いたくなかった。でも、他人の物を盗むなど、こんなことはいくら友達でも許されないことだ。こんなことは何なら幼稚園児の年少組でも理解できる。

「早く返してよ」

恵奈々は少し怒り気味にそう言った。それでも、李音という女は、ノートを手放さないでいる。

どういう神経をしているんだろう。恵奈々はイライラした。

「もういいよ。いつまでたっても返さないつもりなら、もう私たちは絶交する」

本当はこんな事は言いたくなかった。ノートを返してくれなくて、腹が立っているのは事実だ。恵奈々はただ、ノートを返してほしいと李音に言っただけだ。それなのに、たったそれだけの事で、相手を責めたくもなかったが、責めざるを得なかった。それぐらいの怒りを今は感じているのだ。

李音は何も言わない。私の顔を見ようともしない。

恵奈々は李音の家を出た。もう、覚えることができる自信すらもない。

もう、たくさんだ。

恵奈々はそのまま走り出した。途中で何度も転んで、家に着いた頃には恵奈々の体は痣だらけになっていた。

この気持ち、この歌に乗せて

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