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第五話
昼食の時間。
「隣良い?」とトレバーに聞かれたのでいいよと解釈をしておいた。
それから食べながら質問攻めが始まった。
ポシェットはどうしたのか、手の怪我はどうしたのか、夜の歌声はマリーのだったのかとか、色々。
「疲れてるのに質問攻めしちゃって…ごめん」と食器を片付けながらいわれた。
「ううん。大丈夫だよ。それにモヤモヤをそのままにするのは私からしても申し訳ないし」と首を横に振った。
一応だけど、カールさんとユッタさんとゴッドフリードさん以外誰にも龍の事は言ってないからね。ユッタさんが先生にバラしていなければの話だけど…
それから午後の授業が終わってユッタさんの元へ向かった。
「ユッタさん。受け取りにきました」と医務室に顔を出した。
「あ、マリー。龍もまだまだ、小さな赤子です。一緒にいてあげてください」とバスケットと餌である赤身のお肉と青々としている草を渡された。
「部屋で管理をして下さい。大きくなって部屋で飼い切れなくなったらゴットフリード様へ相談に行くようにして下さい。それと…」と長々と説明を受けた。
「はい。ありがとうございます」と礼をしてから行こうとしたら「あと、無理は禁物です。困り事は抱え込まずに相談して下さいね」と言ってから頷いた。
部屋に戻ってバスケットを開けた。
その子はキューキュー鳴いていて私が取り出そうとしたら私の気配で甘噛みが始まった。
犬を飼った事があるので甘噛みとかは全然平気だ。
「アクアリス。私はアクアリス」と突然喋りだした。
「アクアリスって…ええ!しゃ、喋った!」と凄い取り乱している私にビビってアクアリスは頑張って立っていたところが尻もちをついてしまった。
「あ、ごめん。急に聴こえるようになったから…」と頭を撫でてやる。
「うん」と頭を擦り付けてくる。
「あ、私はマリー。よろしくね」と小さな龍を持ち上げて世話を始めた。
それからお風呂に入ってから部屋に戻ると「お腹空いたよぉ〜」と言っていたので草を与えた。
少しずつちぎって渡しているけど、半分も食べずに寝てしまうので私も早めに寝た。はずだった。
夜鳴きが酷くてキューキュー鳴いている。私はその度に要求に応えていた。
そのため次の日の授業は全然集中できなかった。
帰るとユッタさんにアクアリスを渡される。
部屋で自主勉強をしようと思ったら「お腹空いたよ〜早く」とご飯を要求されて、自学を始めてから少ししたら「トイレ〜。マリー」と呼ばれる。
お風呂上がりにも同じ事を繰り返して、寝ようと思ったらもう一度繰り返す。
夜は一晩中鳴いているのかと思う程鳴いてお陰で睡眠不足でクマがはっきり見える。
そんな日々が三週間続いた。
アクアリスは少し水色っぽく色づいたし、体も少しずつだけど大きくなっている。
「どうした?顔色悪いよ?」とカールさんにおでこを触られる。
「あ、少し睡眠不足なだけですよ。相変わらず、夜鳴きが酷くて…」と苦笑した。
「無理はしないでね。まだまだ、マリーだって子供なんだから無理して母親代わりにならなくて良いんだよ。僕だって手伝えるからね」と微笑んでくれた。
「はい。ありがとうございます。とても心強いです」と微笑み返した。
❃
カールの報告によれば順調に進んでいる反面、夜鳴きが酷いと言ってたな。
龍の子を見るのは始めてだから分からないが…農民生まれだから大丈夫だろう。
「師匠。マリーとアクアリスを連れてきました」とカールが部屋のドアをノックした。
「入れ」とドアに向かって言った。
カールと…マリーが影に隠れて入ってきた。
魔力の反応からあのポシェットに龍の子は入っているのだろう。
しかし、マリーとはカールと背が違い過ぎる。本当に六歳…いや、ちゃんとそこはあの校長だから徹底しているだろう。
というか、あの子守唄…一体マリーは…
「マリー。アクアリスを見せてみろ」と俺が言うと龍の子がポシェットから顔を出した。
「キューキュルルン」と言っているが何を言っているのかさっぱりだ。
「あれ?言葉に聞こえないのですか?」とマリーが首を傾げている。
「え?マリーには聞こえるの?」とカールが目を見開いて聞いている。
マリーはやっぱり…
「その前に両親の話の続きを聞きたい。ここにかけろ」とソファーに案内した。
マリーは少し遠慮気味だったが座った。
これからも呼び出す気でいるんだけどな…どこに引っかかるのだか…
「前日はすみませんでした。母は…いや両親は共働きで、二年前に買い出しに行って来ると行ったのを最後に…あ、でも、母に妹がいると聞いたことがあります。もしかしたら、《《フィオナリス》》という町に居るかもしれません」とマリーはハッとして口走った。
共働きか…それで二年前を最後に失踪…
父方は大丈夫そうだが、母方の家族は調べといた方が良さそうだ。
フィオナリスってあの北東にある町か…確かあそこにはもう一匹、龍がいたな…
「フィオナリス…行ってみる価値はありそうだな。それに、マリーに合わせたい龍もいる」と俺は魔法石の入ったポーチと色々入ったバックをもった。
「え?いくんですか?」とカールの口が開きっぱなしだ。
「え?一度も会ったことが無いので迎え入れてくれるのかも分かりませんよ」とマリーもカールに同情している。
「大魔導師の名を出したら大丈夫だろう。明日の朝出発だ。ゆっくり休んでおけ」と部屋から追い出した。
マリーは苦笑していたが、アクアリスの事は…どうしようも無いな。
そう思いながら布団に入った。