テラーノベル
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第33話
カールさんと、私でソファーに腰をかけた。ノアは表にいる。
新しい家を買ったそうなんだけど、風が吹く呪物があるのか、ずーっと風が吹いて不便なんだそう。
壁に穴は空いておらず、その呪物も見当たらないという。
「……それで、ここへ」
カールさんが二人をみつめながら呆けていた。
それもそう。専門外ですか……あれ? ちょっと待って。
私、前やった事あるような……いやいや、ここは呪物屋でも何でもないから。
「はい。霊媒師にも相談したのですが、『呪物は専門外』と言われて駄目だったんです」
それで、ここにきた。
……説明がなってないけど、呪物の解呪はできるような、できないような……
「呪符という可能性はありませんか? 建てた時に仕込まれたのかもしれません」
呪符は、あのホラーラノベとかに出てきそうなやつ。
でも、効果は呪物とそんなに変わらない。
……ただ一つ、懸念がある。
反動がどう来るか、私はまだ知らない。
簡単な解呪しかやった事ないのだから。
確か、前前前世かな。学校にあった呪物を、勝手に解呪して怒られたっけ……
強い呪物を解いた友達は、一日頭痛に悩まされてたっけ……
そうなると、呪符がどんな効果なのかによってな……
「そこを含めて分かりません。解呪ができないのなら、改善できる者でも構いません」
そう言って彼は頭を深々と下げた。隣の婚約者だと思う人も一緒に頭を下げた。
「……それ、私たち任せてくれませんか? 状態によっては、解呪できるかもしれません。こう見えて、やった事あるんですよ」
私はえっへんとカールさんに胸を張って言った。
……威張ることだったかな? ま、出来るのには変わりないし、私も十歳。
「そうか。分かった。その件について、こんな、プランで考えさせて……」と言いながらプラン表を見せている。
あのプランは、考えてもらった。
値段とか、よく分からないし。
そんなこんなで、二人の家に案内させてもらった。赤髪の人は、ピーターさん。茶髪の人はマレンさん。
二人とも籍を入れてきて、数週間。あの家に悩まされてから、二週間と言った所。
パッと見て、呪物の気配しかしなかった。
……この大きさは……強力な呪符か……
「ノア。何か見える?」
ノアははっきりと首を横に振った。
わぁ……呪符じゃん……
「見えたんですか? 何かがこの家にいるんでしょうか?」
マレンさんが、私の顔色をみて怯えながら声を振り絞っていた。
「はい。ちょっと、見るわよ」
「え、えぇ……」
ノアは乗り気では無かったけれど、私の背中が遠くに行くのを見て慌てて付いてきた。
家の中は、確かに寒い風が吹いていた。残暑が残る季節とは思えなかった。
二人は、ここ三日くらい怖くて家に入れていないらしいから外で待ってもらった。
「悪感がするけど……帰っても……?」
そう弱音を言うノアをガン無視して黒い糸を追った。
場所は、リビングの真ん中……の天井。
見あげると、透明に隠された呪符がはっきりと貼られていた。
「わぁ。あんなに堂々と貼るなんて……ノア。ちょっとそこにいて」
「えぇ……いる意味ある……?」
早く戻りたいよ。
そう言ってるけれど、私が倒れたら誰が運ぶのかって問題になるから、そこにいた方がいい。
「ある。これから解呪するけど、光とか何かから避けてね。私も、こんな強いの初めてだから」
そう言って取り敢えず、私はあの呪符に着けられた魔法を一つ一つ解いて、姿を露わにした。
気持ち悪い程、字が重ね書きされていて、ノアは身震いさせている。
「こりゃ、強いね。よし、始める」
私はそう言って、解呪を始めた。
魔法と同じように一つ一つの呪いを解いていった。
数刻後。
解呪が終わった。
風は段々弱まっていったけれど、今は完全に止まっている。
「ふぅ……終わったわよ」
そう言って私は立ち上がったけど、目の前が歪んで、気が付いたら、ノアの胸の中にいた。
「大丈夫か?」
そう言ってノアは赤い瞳を心配そうに私に向けた。
「えぇ。ちょっとした脳貧血よ」
だから心配無用。
「そうか……それで、この紙切れはどうするんだ?」
「あ、呪符はまたかけられる可能性があるから燃やす」
……そうじゃないと、面倒だから……
「ま、報告よ。先ずは、ピーターさんとマレンさんにね。最後には、貴方にこの危険性を、教えてあげる」
感じる以上に危険なのよ、と。
「危険なのか?」
「う〜ん……ま、その呪いのグレードによってかな」
「は、はぁ……?」
ノアの頭は、ショートしているけれど、話すしかない。私を助けられるのはノアだけなんだから。
それから、呪符が隠れていたのを二人に言って、カールさんたちにも報告した。
前前前前世で、やった事あるとは誰にも言って無い。
……思い出したというか、あれが私に思い出させたって言った方が正しい。
ね、神様。
コメント
1件
こはるさん、第34話読ませていただきました! 今回も主人公の芯の強さが光ってましたね。十歳の体で強い呪符に立ち向かう姿にハラハラしましたし、解呪後に倒れたのをノアが支えるシーン、すごく好きです。ふたりの距離感がじわじわ縮まってる感じがたまらない…! 「前前前世」の記憶が唐突に顔を出すのも、この物語ならではの味わいですね。次はどんな呪物が待ってるのか、続きも楽しみです🌷
#魔道具職人
こはる
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#切ない
こはる
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