テラーノベル
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第34話
次の日は……身体が怠いだけで済んだ。
思ったより、良かった。でも、脳内に魂の記憶を読み込ませたあいつはゆるせないけれど……
ま、そのおかげで助かる事もあるんだろうね。
その日は普通の修理とか……いや、普通の修理だけ。
何なら、一件だけだったし。
一日に一件あるなら、貢献していると思いたい。
あれから一日経った日の夜。
「約束の報告。遅くなってごめんね」
そう言って私は、自室のソファーにノアを座らせて紅茶を注いだ。
「危険性って……何があるんだ?」
「う〜ん……」と少し唸った後「強い呪物や呪符を解呪しようとすると、その分の対価が必要になるの」
「その分の対価……」とノアは口の中で言葉を転がしている。
「大体の魔法には、上限がある。一つを除いて」
私は、本棚から一冊の本を取り出した。
『十二種の魔法』
ま、簡単に言うと、その魔法の特徴について書かれている本だ。
私は最後から少し戻ったページを開いた。そこには、闇魔法について書かれている。
「……つまり、闇魔法で呪物や呪符を作り出している……特異魔法だから、解くのにもそれなりの代償が必要不可欠……」
ノアに私の言いたい全てを先に言われてしまった。
「そうね。桁違いの魔術師がかけたような呪物を解くのは多分、何かを失う。悪ければ自我。軽くても、どこかの感覚が無くなる」
私の前前前前世――超人時代の私は、それと同じ要領で筋肉の働きを無くし、心臓が動かなくなって死んだ。
ま、その頃から最強だったけど、どの人生でも運は悪い。
「私は、呪いがかけられているの。ま、あまりメジャーな物じゃないし、あっても何か悪いってわけじゃないけど」
必要時に呼び寄せるような……ま、その誰かとセットって感じだけどね。
誰かさん……
「悪くない呪い……? それってどういう事?」
「う〜ん……正しく言い直すと契約かな。名称としては呪いだけどね」
何とかの呪い……名称はそんな感じ。
最後に呪いって付いてたのは覚えてる。というか、呪いの括りにいる割には解くのに難しいし、効果は薄いし……ま、情報網だけ広いって事。
人脈は薄いけどさ。
朴念仁と言われた、元別世界の殺し屋で、元この世界の剣士で、元病院通いの日本人で……元別世界の超人。
私が分かる全部の事。
全部、一緒に背負わせたくないからノアにも話していない事が沢山ある。彼は考え込んでしまう子だから。
「それで、他にもあるんだろ?」
「うん。私が……って言ったら、嘘って事を伝えたくてね。ただそれだけよ。夜に呼び出してごめんね」とノアに耳打ちをした。
ふふっ。何を言ったらなのかは、その時までのお楽しみ。
出張型店舗開店から一ヶ月。
ローベルトさんが来店した。何やら、いい事では無いって事は一目見て分かった。
私はニルスさんとノアと一緒にローベルトさんとは反対側のソファーに座って向かい合った。
「……妹の、グレーテに護衛についてくれないか? きみたちだったら信用できるし、誤魔化しが効くんだ」
だから、頼む。と。
「あの、私たちじゃなくて、騎士に頼めないのは何故ですか?」
遠回しに『私たちに頼まれても……』と言った。
何で、騎士より信用されてるんだよ。ホント、誤魔化しって……え? 誤魔化しって、何が効くの?
「そうだな。最近、ケスラー家付属の騎士の中に密偵が潜んでるとの噂が流れてな。父上にも頼まれたんだ。『サントラップの従業員二人に頼んでくれ。腕は確かだ』と」
わぁ、情報漏れだぁ。
絶対、強盗の事めちゃ調べたやつじゃん。
「それに、騎士だと息苦しいだろ。同じくらいの歳で、強いのは君たちくらいなんだ。君たちは、グレーテと間違われて襲われた事もあるが、間違えないで襲われる事もあるんだ」
ヤバっ。ノアに言ってなかった気がする。
私が隣を見ると、案の定ノアの頭の上に疑問符が沢山あった。
「ごめん。言いそびれた」
私は、そっとノアに耳打ちした。
「日程は、いつ頃になりそうですか?」
「次の週――」
そこまで言った所で、カランカランとドアベルが鳴った。
「表、見てくる」
ニルスさんがそう言って客室から出ていった。
魔力からして、ラルフさん。
確か、あの三人は同じクラスだったような……
「それで、話は戻るが次の週末だ。街を歩くそうなんだが、嫌な胸騒ぎがするんだ」
来年には、聖騎士になる人がそう言うならば……
私は、ノアと顔を見出せて頷いた。
「その件。引き受けさせていただきます」
「ありがとう」
私は、あの後カールさんたちと話し合った特別プランを説明した。
一応、後払い。何があるか分からないからね。
「この、プランで頼む」
そう言って、『上級 何でも屋プラン』を指さした。
何でも屋プランは、法に触れなければ特別承諾するプラン。その中でも、上級だから、魔道具を沢山使える。レンタル代だけ増えるんだけどね。
#異世界
こはる
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コメント
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うわっ、第35話めっちゃ情報量多くて頭ぐるぐるしたけど面白かった!🔥 まずノアに呪いや代償の話をちゃんと説明するシーン、世界観が一気に深まって好き。特に「強い呪物を解くには何かを失う」ってくだりが重くて刺さる…前前前前世の超人時代の話がちらっと出てきたのも最高だわ。 そしてローベルトさんの依頼。騎士の中に密偵がいるって、もう政治的な匂いプンプンじゃん。護衛依頼くるなら次は絶対アクション回だよな? 「上級何でも屋プラン」でどんだけ魔道具ぶっ放すのか、超楽しみにしてる🔥