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初音ミクと共に
母親が死んで、雨風の強い日だった。
私の目の前には、virtualsinger『初音ミク』の姿があった。
「ハジメマシテ、キミガヒナチャン?」
ほんとに喋ってる、ほんとに動いてる。
まるで人間のように形もある
「そうだけど」
平然を装うのに必死だった…
「ワタシハ、ハツネミク、ヨロシクネ」
「ワタシハ、ヒナチャンノオトモダチ二ナリタイノ」
「そう」
これがミクとの初めての出会いだった
「いつまで着いてくるの…?」
傘もささずに、ミクは私の後ろを着いてくる
「イヤダナァ、ヒナチャンノオウチニイッテルンダヨオ」
「はぁ?」
「ワタ、シトヒナチャンハ、オナジイエニスムンダヨォ」
母親が居なくなった今、私は、おばあちゃんの家に泊めてもらっている。つまり、ミクもおばあちゃんの家に行く訳なのだが、
(おばあちゃん驚いて腰痛くしないかな……)
「ハジメマシテ、ハツネミクダヨォ、ヨロシクネ」
「あらぁ、綺麗な子ねぇ、さぁさあがって」
「アリガトウ」
なんかすごい馴染んでるし!?おばあちゃん驚かないの!?ミクもお茶入れたりしてすっかり和んじゃってるし…!!
「ヒナチャンモスワリナヨォ」
「別にいい、部屋戻るから」
「あらぁ….」
私はコレは幻だと自分に言い聞かせながら自分の部屋に入った。まさかミクが存在して、おばあちゃんの家でゆっくりお茶を飲んでいるなんてそんなわけないじゃない!!!
「なにかの夢だよね…」
少し冷や汗をかきながら、私は眠りについた。 𝕟𝕖𝕩𝕥➯➱➩