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(岩本視点)
阿部の話は、俺の中にあった疑問のほとんどを解決してくれた。
最初にあいつと会った時、あいつはなぜか夜の校舎で寝てた。
『…え?まさか、俺のこと知らないの!?』
『俺のこと知らない人いるんだぁ…俺、深澤辰哉。この学校の有名人だよ?』
始めた会った時のあいつは、純粋に驚いた目をしてた。
ずっと、大勢の人間から何らかの評価をされ続けてたから…
『……お前、この学校のサボり魔だって?』
俺があいつに問いかけた時、あいつは何て言った?
『あー…誰かから聞いたの?』
『サボり魔とは失礼な気もするんだけどねぇ…ま、俺が有名なのは顔がいいからじゃない?わら』
笑ってた…
笑いながら、俺から逃げたな。
文化祭前、あいつが真面目に学校に来てた時、あいつは何を思ってた?
サボり魔であるあいつを一目見ようと集まってくる生徒たち。
大勢の奴らに囲まれて、あいつは何を思ってた…?
生徒の波の中心で堂々としてた。
サボり魔って面白がってる連中に不満そうにする様子もなかった。
ただ……ずっと笑顔だったんだ。
そして……あいつと深夜に遭遇した日…
ただパーカーだけを着た姿が、なんかほっておけなかったんだ。
『岩本くんじゃん!!』
笑顔で声をかけられた時は何なんだこいつって思ってた。
そのまま帰ろうとも思った。
でも……
『ちょ、ちょちょちょ!!待ってよ〜!!』
あいつに呼び止められた。
あの時、あいつは無意識に誰かと一緒にいたかったのか……?
『お前、それが夕飯?』
公園のベンチでただおにぎりだけを食べてた。
生活リズムとかが心配になって、そう問いかけた。
『んむぅ?ま〜ねぇ…岩本くんも食べる?わら』
一瞬考える素振りを見せて、また笑って誤魔化す。
『俺はただの散歩だよ!深夜の散歩って、なんかロマンあるじゃん?』
ケラケラ笑いながらそんなこと言ってたけど、本当は家に帰りたくなかったんだよな…
『…‥お前、これからどうすんの?』
帰る気配が全くなかったあいつに、そう問いかけた。
あの時はただ疑問に思ったから問いかけただけだった。
『どうするって……どうしよ?わら』
少しだけ、困った顔をしてた。
それが俺には理解できなくて、でも、ほっといちゃいけない気がしたんだ。
あの時ほっておいてたら、あいつは……本当に、どこかに消えちゃいそうだった…
『じゃあさ、俺の家に来いよ』
『………え?』
あの時、家に連れてきて本当に良かったって、今になって思う。
戸惑いながらも素直に家に着いてきた。
きっと、その前に家で何かあったんだ。
その日はたまたま親も仕事でいなかったから、落ち着いて過ごせてたのかな。
『優しいんだね』
あいつが俺に言った言葉。
普段のあいつなら茶化しそうな気もしたけど、それをしなかったのは、明るい姿でいるのも辛かったからなのかな…?
朝になったら、あいつの姿はなくて…
俺の貸した服は綺麗に畳まれて、あいつが寝てたはずのベッドの上に置いてあった。
迷惑なんかじゃなかったのにな。
その日から、あいつは俺と距離を置くようになった。
いっつも必要以上に話しかけてくるくせに、その日からは顔を合わせても挨拶を返すだけ。
俺に、バレるって思ってたのかな…
その時の俺は、ただただ不思議でしょうがなかった。
急に俺に話しかけなくなった理由を知りたかった。
だから、俺は文化祭であいつに初めて自分から近づいた。
わざわざあいつとゲームをするための行列に並んで、あいつと対戦…
#Snow Man
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#Snow Man
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『……お前さ』
『急に俺に話しかけてこなくなったよな』
俺の質問に、あいつが動揺したのは見て明らかだった。
ゲームが上手いって言われてるあいつの手が止まってた。
俺があいつにゲームに勝ったなんてどうでもよくて、
『それで、なんでお前は……』
聞き続けようとしたけど…
『あはは!負けちゃったやー!岩本くんって、意外とゲーム強いんだね!わら』
また、笑って誤魔化された。
俺もそれ以上は聞かなかった。
あいつは、このことについて答えたくないんだなって感じたから。
それに、これ以上聞いても、俺の求めてる答えなんて返ってこなかったはずだから。
『岩本くんはさ、今幸せ?』
あいつが、急に問いかけてきた。
『………幸せなんじゃない?よくわからないけど…』
質問の意図も何もわからなかった俺は、ただそう答えるしかできなかった。
『それはどうして?』
あの時のあいつは、純粋な目をしてた気がする。
俺があいつを知りたいって思ったみたいに、あいつも、幸せを知りたかったのかな…
『どうしてって言われても………そうだな。家に帰ったらご飯が食べれて、風呂に入れて、学校に行ける。何不自由なく暮らせてる。家族の支えを感じられてる……それが幸せなんじゃないのかな?』
俺も、俺の思う幸せを答えた。
俺の思う幸せは、当たり前の生活だった。
『…………そ、っか……』
あの時、あいつは悲しそうな、苦しそうな目をしてた。
『ごめん、うまくは説明できない』
俺の説明が悪かったのかなって思って謝ったけど、そう言うわけじゃなかったんだな…
しばらくの間、あいつは黙り込んでた。
何を考えてるのか、俺にはわからなかった。
でも、あいつの顔がだんだん真っ青になってって…
手がすごい震えてて…
『………深澤?』
それが心配になって、今まで呼んだこともなかった名前まで呼んだ。
『……だ、大丈夫だよ!この後の先生からの説教を想像しただけ〜、わら』
でも、あいつは笑って誤魔化してた。
いつもいつも笑ってた。
ずっと、苦しかったんだな……
俺は、それに気づけなかった…
阿部にあいつのことを知るといいって言われてから、俺は話しかけた。
俺は、意味のわからないあいつを知りたかった。
あいつが、抱えているものを知りたかったのか…?
俺は、何であいつを知りたいって思った…?
あいつに特別な感情を抱いてるわけでも何でもない。
………そう、なんだよな…?
あいつに対する恋愛感情なんて、そんなの……
『気持ち悪いね』
あの一言が、あんなに俺の胸に残ってるのは…
「………そう、か…」
あいつは、俺の特別だったのか……
はは…知りたくなかったな…
俺、いつの間にかあいつに惹かれてたのか…
普段ケラケラ笑ってるのに、時々見せる消えそうな儚さ。
全く読めないあいつが、俺は知りたかった。
俺が、ゲイだからかもしれない。
でも、それは少し違う気がする。
きっと、俺が普通になっても、あいつに惹かれるだろうな。
「………阿部、あいつがどこにいるかわかるか?」
あいつに、会いたい……
俺は、あいつのことを知りたい。
阿部のおかげで、あいつのことをなんとなく知れたのかもしれない。
でも、それもあくまで阿部から見たあいつだ。
俺は、俺自身の目であいつと向き合いたい。
俺自身が傷ついてでも、あいつのことを知りたい。
「………照、本当に…?」
阿部に心配そうな瞳を向けられた。
心配と不安と期待の混ざった声。
阿部、俺に任せてよ。
「俺なら、救えるかもなんだろ?」
「そう、だけど……」
阿部に渡されたバトン、ちゃんと繋げるよ。
「………この日、ふっかたちが学校に来るよ」
「夏休みに…?」
阿部は、観念したようにスマホのカレンダーを指差す。
あいつが夏休みにまで学校に来るか……?
「佐久間たちと一緒に、プール掃除に来るからね」
阿部は小さく笑って呟いた。
「………頼んで、いいんだね…?」
「もちろん」
俺は、あいつを知りたい。
だから、ちゃんと向き合うよ。
俺は、あいつを諦めないから。
コメント
5件
ひぃ💛流石だなぁ(。ŏ﹏ŏ)
や、、やっぱ続きが楽しみになる終わり方すぎる、、 自分が傷ついても深澤くんを助けたいって思ってる岩本くんいけめんすぎ 💞 更新無理ない範囲で頑張ってください 🙌🏻
第24話、読み終えたよ…。 岩本くんの視点で、深澤くんとの出会いから少しずつ気づいていく心情が丁寧に描かれてて、胸がぎゅっとなった。 特に「消えちゃいそうだった」ってところと、最後の「俺は、あいつを諦めないから」で、岩本くんの覚悟が伝わってきて鳥肌立った。 次、どうなるんだろう…絶対読みたい🔥