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マイラ国王は欲深い人間である。 娘を差し出して魔界の財や魔界にしか存在しない貴金属などを狙っていたのだが、王女シーラが自身付きの近衛兵一人を引き連れて逃げ出したことが許せなかったのだ。
捜索隊を組んだはいいが、何も音沙汰なし。
ノアという王子は多少変わっているという噂を耳にしたが、娘の結婚相手に申し分ないと思っていたので、別の王女を輿入れさせようと画策していたところでどこぞの魔女の『お手つき』の確認が上がってきたのだ。どうせ大したことない悪魔だろうと、ろくに名前を確認せずにサインをして魔界へと送らせた。
それから一週間もしない間に『お手つき』の手続きが完了したという知らせと、王子ノアが婚約したという知らせも一緒に届いたのだ。
「な、なんだってー!?」
「どうしました、父上!」
執務室で一緒に仕事をしていた王太子シーザがペンを動かしながら顔を上げた。
「魔王の息子ノアが婚約すると魔界の王室が正式に発表したぞ!」
「ああ、そのことですか」
父の雄たけびの理由があまりにもしょうもないものだったので、シーザは執務に戻った。
「なぜそんなに悠長に構えていられるのだ、これは我が国の国益に関わることなのだぞ!」
「お言葉ですが、ノア王子の『お手つき』を承諾したのはほかでもない父上です」
シーザは呆れながらひたすらペンを動かした。
「わしは知らぬぞ!」
「父上がサインをしたから、ノア王子は魔女レーナと婚姻するのですよ。それと、忘れたとは言わせません。私の妹であるシーラがいなくなったのも、父上が欲を掻いて輿入れを進めていたからでしょう」
相手がこの国の一番偉い相手だというのに、シーザは「よくも大切な妹を」と怒りを顕わにする。
「それはだな……」
「言い訳は無用です。我が王室は民からも顰蹙を食らっていることを、努々お忘れにないよう願っております」
「父に向かって生意気な!」
「生意気で結構、上等ですよ」
シーザは何食わぬ顔で仕事を進めた。
「許さん! わしは許さんぞ……!」
レーナのもとに二通の招待状が届いた。
それは、ノアの姉ニアからお茶会のお誘いと、マイラ国王室からの召集だった。
「どうしよう! ニアお姉様からのお誘いは嬉しいけど、なんで王室から召集がかかるの!?」
召集の内容を要約すると、『レーナが本当にノアを召喚できたのかどうか怪しい、一週間後王都にて実際に王宮でやってみせろ』とのことだった。
当然ノアは怒り心頭である。
「はあ!? なにこれ、アタシ達に喧嘩売ってるの!? そもそもあんたがOK出したんでしょうが! 本当にろくでもない王ね! これは我がアンヌ国への政治的干渉と受け取るわ、こうなったら徹底的に抗議してやろうじゃないの。ちょっと魔界に戻るわ」
呼び出された本人より怒り、一気に捲し立てながらそう言ってノアは魔界へと一瞬で帰って行った。
あっという間の出来事だったので、何も言えないままレーナとレインは見送るしかなかった。
「父上! このようなふざけたものが届きました!」
「どうした、ノアよ」
息子の急な帰還に驚きもせず、ゆったりと構えているのは魔王ことアスタロトである。
「こちらをご覧ください」
ノアは挨拶もそこそこに、レーナのもとに届いた招待状をアスタロトに見せた。
さっと目を通したアスタロトはため息をつき、ノアへと返した。
「……本当に人間とは愚かな生き物よ」
「これはアンヌ国への政治的干渉と見なします。アンヌ国王室から正式に抗議しましょう」
「まあ待て。人間は相変わらず貪欲で面白いことをする。ノアよ、ニアがレーナ嬢に茶会の招待状を出したことは知っておるな?」
「はい、それが何か関係があるのでしょうか?」
父の口から愛するレーナの名前が出たことにより、何かあるのではと不安に思ったノアは、どうやら顔に出ていたらしい。
「なに、そなたの惚れたレーナ嬢にどうこうしようとは考えておらぬから安心せよ。だが、いずれ王妃になる娘だ、こういった難癖をつけられることは目に見えておる。ここはレーナ嬢の力の見せ所になる。ノアよ、私の言いたいことは分かるな?」
どこか楽しそうに話す魔王である父の考えが嫌でも分かったノアは、苦虫を噛み潰すような表情をしながら口を開いた。
「……レーナに、召集を受けろと仰るのですか」
「そなたの妻として力を見せることが大事なのだ。これは命令だ、ノア。レーナ嬢を愛しているのなら彼女を信じてみなさい」
「……拒否権はないのですね」
「無論だ。人間界へ行きレーナ嬢に伝えるのだ」
「かしこまりました、父上」
「ただいま、レーナ、レイン」
「おかえり(なさい)、ノア」
ノアは戻ってきたと思ったら、何やら表情は曇っている。どうかしたのだろうか。
「父上に相談したら、将来の外交練習も兼ねて実力を見せて来いって言われちゃったわ。だからね、アタシと一緒にカチコミに行きましょう」
「急にワルになっちゃった!」
悪ぶっても血筋はやんごとない王家の者。そんじょそこらのワルより品がある。
だが、ノアの言葉を反芻すると、おのずとと答えが見えてくる。レーナでは、力不足なのだと──。
「……そうだよね。私なんかがノアのお嫁さんになることが気に入らないひとだっているよね」
いつも前向きなレーナが珍しく後ろ向きなことを言っているのでノアはむっとした。
「なに弱気なこと言ってるの。アタシの隣に立つのはレーナ以外ありえないわ。それを自覚なさい」
ノアの隣に立つ権利があるのは、世界中どこを探してもレーナだけ。その事実がレーナの心を温かくする。こんなところでくよくよしていたら、ノアにも迷惑がかかる。それだけは嫌だった。はっきりと胸を張ってノアの妻だといえるよう、頑張らなければならない。
きっとまた、こんな風に試練があるかもしれない。その度に弱気になっていたらそれこそ相手の思う壺だ。
「うん、私頑張るよ」
決意を新たにしたレーナの意思を読み取ったノアとレインは頷いて微笑んだ。
「それでこそレーナね」
ふたりのやり取りを黙って見つめていたレインは「私の本を持って行きなさい」と言って秘蔵コレクションから持って来たのは、レーナがノアを召喚する時に使った本だった。
「これが必要だろう? いいから持って行きな。ただし、今回だけだよ!」
「ありがとう、おばあちゃん」
とりあえず王都へ行くことは決定したが、それより気がかりなのは、王族へのマナーとニアから送られたお茶会の招待状だった。
「どうしよう、私、基本的なマナーくらいしか分からないよ!?」
「一週間でどうにか形にすればいいわよ。あと、姉から届いたうちのお茶会のことだけれど、あれは顔合わせみたいなものよ。だから、そんなかしこまらなくていいわ」
「身内だけということは、ノアのお父さんとお母さん、ニアお姉様ってこと!?」
「そうなるわね」
「魔族の王様とお妃様と王女様!?」
「アタシは王子だけど?」
忘れていたが、ノアは魔界の王子である。
レーナのボケにすかさずツッコみを入れるノアの二ふたりのやりとりは、レインからすればもはや漫才だった。
「だって、ノアは私の家族だし……。あ、そうか。ノアの家族とも家族になるんだね。それは楽しみかな」
「あなたって子は、どれだけアタシを喜ばせれば気が済むのかしら」
「ノアだっておばあちゃんのこと家族だって思ってくれてるんでしょう? 私もそれがすごく嬉しいの。だからお互い様だね!」
「……そうね。さあ、そうとなったらマナーをアタシ自ら教えてあげるわ。アタシは厳しいわよ、覚悟なさい」
「はい、先生!」
マイラ国王室から呼び出されたのは一週間後。王都まで行くのに馬車を乗り継いでいかないと間に合わない。レーナとノアは急いで支度をして王都へと向かった。
移動している道中ノアから最低限のマナーを教えてもらい、なんとか身につけたレーナは慣れないことで疲れてしまうが、これからはそういうことも仕事になるのだと言い聞かせて頑張った。
召集の後はニア主催のお茶会があるので、そちらのマナー講座が始まった。
そして、馬車を乗り継ぐこと五日、王都に辿り着いた。生まれて初めてやって来た王都にレーナは感動した。今までに行った大きな都市といえば魔女学園のある都市だけで、ここまで華やかな雰囲気ではなかったからだ。
「すごーい、ここが王都なんだ」
「まあ、こんなものじゃない?」
本物の王子様であるノアからすれば、王都とはこういうものらしい。ほんの少しだが、ノアとの隔たりを感じて寂しくなるレーナは、今さら気にしても仕方ないと頭を振り、観光がてら王都を楽しむことにした。
召集当日、レーナのみ招待状を持って城へと向かう。
門番に王家の家紋が入った蝋の封筒を見せればすんなりと入れてくれた。近衛兵と思しき人達について行き、王のおわす玉座の間へと連れて行かれる。
「ここに我らが国王陛下がいらっしゃいます。無礼のないように」
「はい」
レーナがやってきたことを伝えると、王は入室を許可した。
玉座に足を踏み入れたレーナは、これでもかというほど財を尽くした豪華絢爛な広間は金に覆われて目が眩みそうになる。
玉座にいたのは小太りのおじさん国王と、シュッとした今時のイケメン王太子が出迎えてくれた。
「よくぞ来てくれた、魔女レーナよ。そなたの稀有な力をこの目で見せてくれ。発言を許可する」
「ありがとうございます。紙とペンを用意しましたので、こちらを使わせてください」
レーナが鞄から紙とペンと取り出すと、国王が待ったの声をかけた。
「待て、それに何か仕掛けがあるやもしれぬ。こちらで用意したものを使うがいい」
どこまでも上から目線の王にむかっ腹が立った。同じ王族のノアはこんな風に嫌なひとじゃないからこそ、マイラ国王の傲慢さが際立っていた。
レーナは怒りをぐっと我慢して、侍女が用意してくれた紙とペンを受け取った。
レーナは鞄から秘蔵の本を取り出し、スラスラと魔方陣を書いていく。五分もしないうちに完璧に書き上げたレーナは、詠唱呪文を唱えた。
「ノアよ、我の呼びかけに応じたまえ」
いつもなら詠唱呪文を唱えれば魔方陣が明るくなるのに、今日は何も反応を示さない。こんなことは一度もなかったレーナは不安になる。
不思議なことに、召喚成功の魔方陣の明かりが発生していないのに、そこには愛してやまないノアが無表情で立っていた。
すると、王は信じられないものを見る目でノアを見やった。
「な、なぜ召喚に成功したのだ……! あれは、宮廷魔術師に作らせたとっておきの紙だというのに!」
「父上、まさか、イカサマでも仕掛けたのですか……!」
「ええい、うるさいぞ、シーザ! こんな村娘が王子ノアを召喚できるわけがないだろう! これは何かの間違いだ! そうは思わぬか、お主も!」
お主と呼ばれたのはノアで、彼はかつて見たことがないほどに怒っていた。
「息子はまだマシって聞いてたけど、本当だったのね」
レーナにだけ聞こえる声量でノアは苛立たし気に言った。
「マイラ国王陛下、お初にお目にかかります。私はアンヌ国第一王子のノアと申します。さて、先ほどの口ぶりから察するに、陛下はイカサマしたのでしょう? 『お手つき』の際にこの私を召喚したのは、紛れもなくそこにいる魔女レーナです」
ノアはレーナの書いた魔方陣を見て、「はあ」と深いため息をついた。
「これ、魔力吸収の力が働いていますね。レーナの召喚をなかったことにしたかったのでしょう」
ノアがはっきりと口にしたことで、マイラ国王もイカサマを認めた。
「……アンヌ国の王子は賢いのだな」
一国の王が、『お手つき』のもみ消しをしようとした。いくら国王だとしても、犯した罪は罰せられないとならない。それが、魔界に関わることならなおさらである。
シーザ王太子が容赦なく父である国王陛下を捕えさせたので、ノアは「最後にいいものをみせてあげる」といって、マイラ国王陛下の牢行きを一旦ストップした。
「レーナの力を見せてやるわよ。レーナ、姉上を召喚なさい」
「ニアお姉様を……?」
「アタシの前のページに載ってるでしょう、いいからすぐ書きなさい!」
「う、うん」
レーナは未だかつてない速さで魔方陣を書いた。
そして、詠唱呪文を唱えると魔法陣がぱっと明るくなり、召喚に成功したことを示す。もくもくと煙が立ち消えると、そこには椅子に座りながらティーカップを手に優雅にお茶するニアがいた。
「こんにちは、レーナさん。お茶会の時間はまだ早くてよ」
「ごめんなさいお姉様! 今は緊急事態で……!」
ニアは周りを見渡して、ティーカップをソーサーに乗せた。
「どうやらそのようね。レーナさんが厄介ごとに巻き込まれているとお父様から聞いていたけれど、こういうことね」
近衛兵に囲まれ捕らわれの身になっているマイラ国王を嘲るような瞳で見たニアは、淡々と挨拶を始めた。
「マイラ国王陛下、わたくしはアンヌ国第一王女のニアと申します。そちらにいるのは我が弟でアンヌ国第一王子のノア、そして、ノアの婚約者レーナです。一体なにをしようとしていたのでしょうか、ご説明をお願いいたします」
「な、ニア王女まで……! レーナよ、貴様はただの村娘ではなかったのか!」
レーナに対し、どこまでも舐めた態度を取るマイラ国王に怒りを示したのはニアだった。
「我が国の次期王妃になんて口の利き方をするのです! これはアンヌ国への侮辱と見なします」
「そんなつもりは……」
「だったらどういうつもりでしたか、お話いただけますね?」
淫魔姉弟の攻撃、いや、口撃は止まらなかった。理詰めでマイラ国王を追い詰める。
「わしはただ、アンヌ国と親交を深めたかっただけで……!」
「それなら婚姻関係にないレーナを召集する必要はないはずですよね」
「父上! もうおやめください!」
混沌としたこの場で大きな声を上げたのは、王太子シーザだった。
「ニア王女、ノア王子、この度はマイラ国が迷惑をお掛けして大変申し訳ありませんでした。お恥ずかしい話ですが、父は我が国の王女とノア王子との婚姻を諦めることができなかったようです」
「その話も、シーラ王女が行方知らずになったことが原因ですよね。我々は無関係です。それに、マイラ国王も『お手つき』の許可を正式に出したではありませんか。それとも、陛下は名前も詳細もろくに見ないでサインをしたのですか?」
「それは……」
怒りが収まらないノアは、問い詰めることをやめなかった。
「はい、その通りです」
「シーザ!」
「本当のことでしょう。レーナ嬢、まずはあなたから謝罪をさせてください。父に代わり非礼をお詫びします」
なんと、王太子がいち村娘に頭を垂れたのだ。レーナはやんごとない身分の方からそのような対応をされたことがないし、そもそも謁見そのものが初めてなのでどうしたらいいのか分からなかった。
「その、シーラ王女のことはノアから聞いています。好きなひとと一緒にいたいのは、誰だって一緒です。たとえそれが魔族や人間であっても変わりません。ですから、どうか頭を上げてください。私は気にしていませんから」
「レーナ嬢……。心より感謝申し上げます」
レーナの思いやりの言葉に、シーザは感銘を受けたようだ。
「それと、ニア王女とノア王子、あなた方も此度の騒動に巻き込んでしまい大変申し訳ありませんでした」
再度頭を垂れたシーザは深く深くお辞儀をした。
後ろの方で「マイラ国の王太子がそんな簡単に頭を下げるな!」とひとり喚いているが、レーナ達は無視をした。
「ご理解いただけたのなら、マイラ国の非礼を許します。それでいいわね? ノア、レーナさん」
「姉上がそう仰るのなら」
「私も大丈夫です」
「この件はこれでおしまいですね。ノア、レーナさんと仲良くね。レーナさん、来月のお茶会楽しみにしているわ。それでは、ごきげんよう」
にこやかに微笑んでニアは魔界へと帰って行った。もちろん椅子や机なども一緒に。
「さあ、レーナ、帰りましょうか」
ノアは一瞬で黒髪黒眼になった。
「でも、いいの?」
レーナ達はこれで終わりだが、マイラ国王室はこれから大変なことになるのは目に見えている。
その一因となっているレーナはこのまま帰るのが申し訳なくなった。
そんなお人よしのレーナを知っているノアは、「気にしなくていいの」と言って、レーナの肩を抱いた。
「姉上の言っていたことを忘れたの? あれはどう考えてもアンヌ国への政治的干渉と王室への侮辱よ。レーナを召集したくせにイカサマしたの。魔界に関わることで不義をしたら裁判にかけられるのよ。たとえそれが王族でも関係ないわ。こちらは命がかかっているのですもの」
ノアの言葉にハッとした。魔族は魔力が高いため、魔力の源となる魔素を発散させないままでいると、おぞましい魔獣になるのだ。
冗談ではなく本当に命に関わるため、その辺の法律やらなにやらが大変厳しいのだ。
マイラ国王は正式に『お手つき』の許可を出したにも関わらず、欲望のままレーナを貶めようとしたのだ。いずれ王になるシーザによってしかるべき罰が下るだろう。
「ノアがそう言うのなら……」
「どうぞお気をつけてお帰りくださいね」
「ありがとうございます。では、失礼します」
「失礼します」
レーナとノアは一礼して、玉座の間から退室した。
侍女に案内されつつ、ふたりは声を潜めて会話する。
「ノア、魔力が吸収される紙で召喚したのに、よく私の呼びかけに気づけたね」
すると、ノアは得意げに微笑み「それはね」と人差し指を唇にあて、ウインクをした。
「愛の力よ。『お手つき』にされた女の呼ぶ声はどこにいたって聞こえるの」
初めて知った『お手つき』のロマンチックなルールにレーナは淡く微笑んだ。
「そうなんだ、すごいね」
城の外まで着いた時、「レーナ嬢!」と大きく呼ぶ声が聞こえた。それは先ほどまで聞いていた、シーザ王太子のものだった。
「馬車を用意しました、こちらでトート村までお帰りください」
先ほどの騒動をあらかた収めてきたのだろう、額には汗が流れていた。
シーザならマイラ国はよい国になるだろうという確信があった。
レーナとノアは顔を見合わせて、ここはお言葉に甘えることにした。
四輪車の馬車、しかも王室の印が付いた馬車はよく目立つ。
レーナとノアは隣村で降ろして下ろしてもらい、馬車を拾って帰宅した。
「……うそでしょう、レーナ」
隣村に用があったメイは見てしまった。
レーナが王室マークのついた馬車から降りるところを──。
「……という訳なの、大変だっただから!」
レーナはご飯を食べながらレインに報告した。
「まあ、なんとなくそんな気はしてたよ。この国の王は傲慢だからねえ、私は大嫌いだよ」
「それに関してはアタシも同意するわ」
「ノアも何かしてくるって分かってたんだね」
「そう、だから姉上を召喚させたのよ。前にも言ったけれど、悪魔は召喚主が見えるのよ。姉上もレーナが呼んでいると気づいたから、ティータイム中でも応じてくれたのでしょうね」
召喚させてもらったニアは、優雅なティータイムを楽しんでいた。絵になるくらい美しかったので、惚れてしまったひともいるだろう。
「ニアお姉様、すごかったね」
「それはそうかもしれないわね。姉上は外交の一部を任されているもの」
「そうなんだ、ノアは?」
「アタシも少しだけ内政をしていたわ。それにしても、マイラ国王はアレだったけど、シーザ王太子はまともそうで安心したわ。早く世代交代すればいいのに」
「それは思ってても言っちゃいけないことだと思うの」
三人で楽しく談笑し、楽しいひとときを過ごす。
もうすぐ嵐がやってくるとも知らずに──。