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みんなの記憶からngが消えた話
※夢オチ
太陽の光で自然と目を覚まし、近くにあるスマホの画面を起動する。そこにはアラームより少し早い時間が刻まれていた。
「よしっ。」
体をゆっくりと起こし、メガネをかけベットから降りる。そのまま洗面台まで向かい、顔を洗う。メガネをかけ直し、毎朝しているおはツイのためにスマホを起動した。Xのアプリを開きツイートをしようとプラスボタンを押しかけた時、あることに気がついた。
「あれ、アカウントがない…」
画面の左上に見慣れたアイコンはなく、代わりに灰色の初期アイコンが写っている。私のアカウントが消えてしまった。乗っ取られてしまったのか?はたまた弊社のバグとやらか?と思いつつ、私は怖くなり、他のメンバーを検索にかける。私以外のメンバーのアカウントは無事にあった。が、私との絡みがあったツイートだけが無くなっていた。
「…なんで、?」
不安と緊張で震える左手で、自分の名前”四季凪アキラ”と検索にかけた。もしかしたら、今の自分は四季凪アキラではない”なにか”なのかもしれない。
「なんでっ、」
少しの期待も断ち切るかのように、画面に私の名前がうつることはなかった。
「…っ、」
きっと、ライバー内のバグなのかもしれない。もしかしたら私の事を3人は、みんなは、私の事を覚えていないのかもしれない。大切で大好きな3人から忘れられているかもしれないという事がどんなことよりも私の心をえぐった。
「…カフェに行けば、会えるのかな、」
ゆっくりと立ち上がり、震えて役に立たない手で一生懸命メイクをし、普段3人とお出かけをする時のような服装に着替える。
「ふぅ…はぁ、」
ゆっくりと呼吸を整え、玄関を開けた。朝ごはんを食べていないことに気がついたのは、カフェへ向かう途中でお腹がなってしまってからだった。
カランッ、(開
「いらっしゃいませぇ〜!こちらの席にどーぞー」
この人は大切なメンバーでもある渡会雲雀。ニカッと太陽の様に笑うたらいの目に映る私は知らない男性であり、ただの客のひとりに過ぎない。
『アキラぁ!!』
カフェに客として来ようと関係なく、必ず肩を組んできていたのに、その痛みすら恋しくなっている。
「メニューはこちらでーす!…あの、勝手なあれなんですけど、ラテとチーズケーキ頼もうとしてますか?」
「え、?はい、でもどうして、?」
「なんか、そんな気がして。もしかしてどこかで会ったことあります?」
たらいの言葉に驚いて、何も言えずにいるとカフェの扉が開いた。
「雲雀〜、そろそろ行くよー」
「あ、奏斗〜!ちょいまちー」
外から来たのは奏斗と荷物を持ったセラ夫。奏斗はその足でたらいの元へ行き話をしている。。一方残されたセラ夫は何故か私を見ていた。
「…」
少しずつ歩み寄ってくるセラ夫に怯えていると、セラ夫がタライではないなにかに近づいていくのに気づいたのか奏斗も私を見た。
「セラー、どした?あ、うちのセラがすみませんっ。」
「…」
謝ってくる奏斗の隣でじっとこちらを見続けているセラ夫。
「あ、あの何か…」
私が問いかけた時、セラ夫からほろっと一言。
”凪ちゃん…?”
「あ、ごめんなさい。なんか、勝手に。」
忘れたであろう記憶の中から私の名前が呼ばれる。セラ夫は驚いて口を抑える。_セラ夫が少し前こんなことを言っていたのを思い出した。
”もし、2人が、この世界の皆が凪ちゃんを忘れても、俺だけは絶対に忘れないからね。”
そう言って小指を取りだし、私の小指と絡めた。突然そんなことを言われた時は、びっくりしたし、新手の告白方法なのかと思った。ただ、前のセラ夫からは聞けなかった言葉が聞けて少し嬉しかったのを覚えている。そんなことを思い出し、目がジーンとする。
「…大丈夫ですよ。私に似た誰かと間違えたのでしょう?」
私はたらいに「すみませんが、予定時刻になってしまったので今回は帰らせていただきます。今度の機会にまた訪れますね。」とだけ言い、上着を手に取り扉に向かった。
「あ、待ってっ、!」
セラ夫の声に思わず足がすくむ。が、すぐ足を動かす。
「ばかっ、」
そんな暴言の後、後ろからの足音が大きくなっていった。その後私の左手首がガシッと掴まれた。
”凪ちゃん!!”
「っは、」
セラ夫の声に思わず目が覚める。目の前には心配そうに見つめるセラ夫達。ここはroom4sの事務所で、私がソファで仮眠をしている間に奏斗とたらいが来ていたのだろう。
「アキラ大丈夫?涙流してたし…」
「あれ、」
右手で目元に触れると少し濡れていた。どうやら眠りながら無意識に涙を流していたらしい。ふと反対の腕を強い力で掴まれていることに気がついた。
「セラ夫、?手…」
握っていたのはセラ夫だった。
「うん、ごめんね。痛かったでしょ。」
ぱっと手を離し手をヒラヒラさせる。その表情は少し曇っている。そういえば夢の中で腕を掴んできたのはセラ夫だったし、左腕だった。
「アキラ大丈夫そ?温かい飲み物作るけど何がいい?」
「ラテがいいです。お願いしてもいいですか?」
たらいは「はーい」といいキッチンへ消えてった。
「凪ちゃん本当に大丈夫?」
「そんなに心配しなくても大丈夫よ。結構寝ちゃってたから作業に戻りますね。」
「「待って!」」
今度はセラ夫ではなく、たらいと奏斗が私を止める。振り返らずにパソコンの前まで行こうとすると、近くにいたたらいが私の腕を掴む。
「えぇ、どうしたんですか本当に。」
「凪ちゃん、俺たちに話すことない?」
「…ないですよ。やましい事も怪我もしていません。」
「でも、」
「…ただ、少し嫌な夢を見てしまった。それだけです。だから大丈夫ですよ。」
きちんと3人のいる方向へ振り向き、笑って見せた。
「…それってどんな夢?」
奏斗が少し引き気味に質問してくる。私は何も無いように答えようとした。でも、夢の内容を思い出す度に心がえぐられる音がする。呼吸もしにくい。
「…ヒュッ、」
「「アキラ?!」」 「凪ちゃん!?」
喉で息が詰まる音がした。その異変に気がついたのか3人はこちらに駆け寄ってくる。たらいは、体の力が抜け地面に座り込む私の腕を引っ張り、先程まで座っていたソファに運んでくれた。
「声聞こえる、?呼吸しっかり」
呼吸を整えようとしても、貴方たちの表情が夢の中で困惑する表情と重なり、さらに呼吸をするのを拒んでしまう。それでも3人は声をかけ続けてくれた。奏斗とたらいは手を握っていてくれ、セラ夫はただゆっくりと背中を撫でてくれた。そんな優しさを向けられて涙を出してしまいそうになったが、呼吸を整えることに集中した。
「っ、はぁ…もう大丈夫、です。」
「…ねぇ、話せる範囲でいいから話してよ。一人で背負わないで。」
セラ夫の悲しそうで、寂しそうな表情と、2人の私の手を握る力に負け、私は詰まっていた事柄が、べらべらと口から出ていた。
「そっか、」
「もう、大丈夫。うん。」
私はそう自分に言い聞かせた。こんなことでうじうじしていたって仕事は溜まる一方だ。
「本当に大丈夫?もう少し休も?」
たらいの心配する声に一瞬揺らいだが、首を横に振る。
「早く溜まった仕事終わらせて、みんなでご飯いこう。今日のお礼もさせてください。」
3人は戸惑った雰囲気を醸し出しつつゆっくり頷いた。早速潜入がある20歳の2人は準備を始める。
大丈夫なんて正直思っていない。もちろんまた夢を見るかもしれない。本当に夢のことが現実になるかもしれない。それでも前を向いて歩いていかないといけないのだ。私は自然ともしもの事を考えた。私の事を忘れていまうかもしれない、みんなの事を忘れてしまうかもしれない、どちらにせよ、どうもできないことだ。
それなら…
「…もし、私を忘れても。私はずっと覚えているからね。」
ぼそっと呟いた声は3人に届いたのか、届いていないのかは分からない。3人は一瞬だけ手を止め作業を始める。
「「「 忘れたりしないよ。何があろうと。 」」」
そんな3人の声が聞こえた気がして、そっと1粒の雫を落とした。
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ご視聴ありがとうございました!!
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コメント
1件
読みました。ぐっときました。夢オチとわかっていても、大好きな3人から忘れられる恐怖がひしひしと伝わってきて、胸が締め付けられました。セラ夫の「凪ちゃん…?」と呼びかける場面と、最後の3人の声が重なって、思わず一緒に涙が出ました。忘れないでいてくれる人がいるって、それだけでこんなに強い支えになるんですね。素敵なお話でした。