大地の父親の幸雄は、
「大地が頑張れば、早く病気も治るからね。でも早く病気を治すためには、今日からここでお泊まりをしないとだめなんだ」と言った。
「パパもママも一緒にお泊まりをするの?」と大地は不安そうに聞くと、
「パパとママは一緒にお泊まりはできないの」とひとみは言った。
「お家に帰りたいよ」と大地は半泣きなった。
ちょうどその時に同室の患者と母親が病室へ入ってきた。
「大地、お友達に笑われるわよ」とひとみが言った。
その友達というのは、同じ病室にいる誠という子供のことである。誠は大地と同い年で5歳だ。病気も大地と同じ白血病で、大地よりも半年早く入院しているのだ。
その時、誠の見舞いに来ていた母親の美代子が大地の家族に気付き、
「こんにちは」と言った。
「こんにちは、今日からこちらでお世話になる村山です。息子の大地です。これからもよろしくお願いします」とひとみは言った。
「大地君ですね。息子の誠です。こちらこそよろしくお願いしますね」と美代子は言うと、
「誠、大地君と仲良くするのよ」
「うん、仲良くする」と誠は言って、大地のベッドに近づくと、
「これ、あげるよ」と誠が、折り紙で作ったものを大地に渡した。
「ありがとう」と大地は言うと、ひとみは誠に、
「誠君、どうもありがとう。カブト、すごく上手にできているね。今度、大地にカブトの折
り方を教えてあげてね」と言った。
「いいよ、教えてあげる」と誠は言った。
その後、大地と誠は折り紙で遊んでいた。
そして、大地は両親に向かって、
「パパとママが帰っても平気だよ」
「大地はやっぱり強い子ね」とひとみが言うと、
「男の子だから、強いもん」と大地は自慢げに言ったのだ。
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