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パンチングマシーンニキ
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shima7a
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#前世
shima7a
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第118話・ラスト
翌週。
柳城高校グラウンド。
三年生の引退試合が終わった。
最後は全員でグラウンドに整列する。
福間監督が、一人ずつ名前を呼ぶ。
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
選手たちから次々に返事が返ってくる。
そして。
最後のノック。
福間監督はバットを握った。
「いくぞ!」
カキーン!
三年生が走る。
捕る。
投げる。
また走る。
福間監督のノックは、いつもと変わらなかった。
厳しく。
力強く。
そして最後まで温かかった。
最後の一球。
カキーン!
主将が打球を捕る。
「ありがとうございました!」
全員が深く頭を下げた。
福間監督も頭を下げる。
しばらく沈黙。
そして。
福間監督が言った。
「……啓介。」
啓介が顔を上げる。
「はい。」
「ちょっと来なさい。」
啓介がグラウンドへ歩いていく。
福間監督はバットを一本、啓介に渡す。
「最後に。」
「君にもノックを打ちます。」
啓介は少し驚いた。
「僕に……ですか?」
「はい。」
啓介は守備位置につく。
福間監督がバットを構える。
「いきますよ。」
カキーン!
強い打球。
啓介が走る。
グラブに収める。
そして福間監督へ返球。
福間監督は受け取ったボールを見つめる。
「もう一球。」
カキーン!
啓介が捕る。
そして。
最後の一球。
福間監督は少しだけ間を置いた。
「これが、本当に最後です。」
カキーン!
啓介は懸命に走った。
そして。
打球をしっかりと捕った。
啓介はボールを握りしめる。
福間監督のもとへ歩いていく。
「ありがとうございました。」
福間監督は啓介の肩に手を置く。
「啓介。」
「はい。」
「私は、君に野球を教えたつもりはありません。」
啓介が顔を上げる。
「君は君自身で学びました。」
「選手として。」
「部長として。」
「そして、これからは監督として。」
福間監督は静かに続ける。
「勝つことだけを教えないでください。」
「負けた選手の気持ちを忘れないでください。」
「試合に出られない選手の気持ちを忘れないでください。」
「そして。」
「選手のそばにいてください。」
啓介の目に涙が浮かぶ。
福間監督も目を潤ませながら笑う。
「それができれば。」
「きっと君の柳城高校ができます。」
啓介は深く頭を下げる。
「はい。」
「先生から受け取ったものを。」
「次の世代に渡します。」
福間監督は頷く。
「それでいい。」
二人はしばらくグラウンドに立っていた。
夕日が柳城高校のグラウンドを赤く染めている。
福間監督は最後に。
啓介の肩を軽く叩いた。
「頼みましたよ。」
「はい。」
啓介は涙を拭いながら答えた。
福間監督はゆっくりとグラウンドを見渡す。
長い年月。
何人もの選手を育ててきた場所。
そして今。
その場所を。
啓介へ託す。
福間監督の最後のノックが終わった。
第116話 終
コメント
2件

次は啓介監督の話になるよ(笑) まだ少し続くから呼んでね
お疲れ様でした……いや、「ラスト」というタイトルに、もう胸がぎゅっとなりました。福間監督が啓介に託した言葉、「勝つことだけを教えないで」って、野球だけでなく人生の教えですよね。最後のノック、一つ一つの打球に想いが詰まっていて、涙が止まりませんでした。素晴らしい最終話をありがとうございます。