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『いらっしゃいませ〜』
バタバタと店中を動き回る女。
キッチンには年配の男が1人。
2人で店回してんのか、結構混んでんのに大変なこった。
ま、関係ねぇけど。
マサチカ「そう、おはぎな!実弥も一緒でいいか?」
サネミ「ああ」
匡近があれほど言っていたのだ。
マサチカ「じゃぁ、注文するから呼ぶわ」
すいませーん、注文お願いしまーす
匡近がそう言うとバタバタとさっきの女が来る。
『はーい!お待たせしました!』
そう、俺たちに向かって笑顔で言う。
マサチカ「おはぎ2つとみたらし団子4本お願いします」
『は〜い、わかりまし……た!?』
俺の顔を見るやいなやびっくりして
『少々お待ちください!!』
とバタバタとキッチンの方に戻る。
マサチカ「あれ、どうしたんだろ」
……
俺の顔を見て。
逃げてったのか?
怖かったのだろうか……。
まあ、どうでもいいけど____
数分後、
『すいません!お待たせしました!!』
そう言うやいなや、俺の前にしゃがみこみ
『失礼します。』
そう言ったと思えば俺の顔を両手で触れる。
『頬、怪我してますよ』
近い____
顔見れねえ……
「……ッ////」
妹以外の女と触れ合うのは初めてだ
それにこいつの手は柔らかくて
真っ直ぐ俺を見つめる目はとても____
思わず振りほどこうとするも
『待って、消毒させて』
救急箱のようなものをあけ、綿棒で
頬の傷を消毒する。
手際よく傷口に消毒液を塗り、
ガーゼやテープを貼る。
『できた!』
ふふんとドヤ顔をする。
マサチカ「実弥!よかったね!僕も痛そうだと思ってたんだ〜〜」
『チッ別に頼んでねぇよ』
どうせ蝶屋敷で手当されんだろ
マサチカ「実弥〜ちゃんとお礼言いなよ?」
女はニコニコと笑顔で
『いや!いいよ!私が勝手にした事だし』
とだけ言いバタバタと戻る。
マサチカ「あ……行っちゃった」
あの女が勝手にした事じゃねえか
そんなん知るかよ。
傷跡が熱い。
さっき消毒したからか。
「知らね。」
そう言って俺は水を飲む。
周りを見渡す。
年配のやつらが多い店だ
昔からあるそうだし常連の客ばっかだろうか
店中甘ったるい匂いがする
『いらっしゃいませ〜!
あっ!みつよさんこんにちは〜!!』
客「実季ちゃんこっちこっち」
『は〜い!』
客「今日も可愛いねえ〜〜うちの孫の嫁に……」
『ふふ、パパが悲しむのっ!』
客「可愛いのに勿体ないなぁ〜」
『私はここでパパと2人で働けるだけで充分ですから』
常連客に話しかけられるもうまく仕事を回しているようだ
父親と2人で、従業員はおらず
回すのは大変だろうに。
と
『失礼します。ご注文のおはぎです』
女は俺たちの席に注文の品を置く。
マサチカ「わ〜美味しそうだね実弥!
ありがとうございます!」
『どういたしまして!
みたらし団子も持ってきますね少々お待ちください』
女は笑顔でこちらを見たかと思えばまたバタバタと戻る。
机の上のおはぎとやらを見る。
マサチカ「美味しそうだね〜」
甘ったるい匂い。
マサチカ「いただきま〜す!」
甘味を食べる機会は滅多になかった。
昔、母親が砂糖を固めたものを舐めさせてくれたっけ
水飴ってんだっけな
あれぁうまかったなぁ____
マサチカ「うわぁ!やっぱり美味しいなぁ〜」
そんなに美味いわけ____
おはぎを1口、口に運ぶ。
ん
これァ……
「うめぇ……」
マサチカ「でしょ!?」
『でしょ〜!?』
は?声が2つ?
マサチカ「えっ!///あっ!」
匡近の方を見るとその隣に、みき、って女がもいて笑顔でこちらを見てる。
『美味しいでしょ〜?よかった〜!!』
ふふふと微笑みながら
『私の曾お祖父さんがね!作ったんだよ〜
お米をこしてあんこときなこを練り込んで……
それで……』
嬉しそうに話す。
よく喋る女____
と
『あなたたち、鬼殺隊でしょ?』
俺たちに小さな声で言う。
マサチカ「え」
「!」
鬼殺隊は、政府公認だが世間的にはほとんど知られていない。
『このご時世に刀を持ってる人なかなかいないしそれに……』
匡近の服を見る。
『この「滅」の文字……』
そして
次の
言葉で俺は
『この服を着てる方は、命をかけて鬼と戦ってみんなを守ってるんだって昔からパパやおじいちゃんに教えてもらったよ!
いつもありがとうございます』
そう言って頭を下げたかと思えば
『いつもお疲れ様です!ゆっくり休んでってね!』
その笑顔に____
風が吹いてもねぇのに
体全身にサァァァァと衝撃が走ったような感覚。
言わなくても分かる。
俺は、こいつに一目惚れしたんだ____